気分障害の分類と症状

気分障害として分類できるうつ病性障害にはさまざまなものがあります。例えば気分変調症および月経前不快気分障害などが含まれます。一般的に、鑑別診断は適切な治療方法を確立する最初のステップです。
気分障害の分類と症状

最後の更新: 12 12月, 2019

私たちのほとんどはうつ病をひとくくりにして考えていますが、実際は様々な気分障害が存在します。この記事では、忘れられがちなその他の症状についてもご紹介します。

統計によると、5人に1人(一般人口の10~16%)が一生の間に気分障害に苦しんでいます。これらのほぼ4%が一生を通じて障害とともに生きなくてはなりません。この現象は気分変調症として知られています。

また、特有のグループに基づいても気分障害は分類されます。男女差の大きい気分障害もあれば、未婚の若者や低所得者、介護者や虐待の被害者、慢性の身体疾患のある人、高齢者などに見られるものもあります。

うつ病性障害は、生涯を通じていつでも現れる可能性があります。小児期に現れる抑うつ障害もあります。ただし、有病率は主に25歳から45歳の間に集中しています。鬱病が発症する時期は、20歳から25歳が最も多いとされています。

気分障害の期間は、人とその環境によって異なる場合があります。長年続くものもあれば、季節によって起こるものもあります。

大うつ病エピソード

最初にご紹介する気分障害は、大うつ病エピソードです。これは、最もよく知られているタイプです。この症状があるかどうかの診断は、大うつ病エピソードの基準が満たされているかどうか、およびその期間によります。

大うつ病エピソードの主な特徴は、少なくとも2週間連続して、うつの気分、関心の欠如、通常の日常活動の喜びがほとんどない期間が存在することです。それは悲しみ、苛立ち、怒りなどの感情を通して現れます。

診断するには、次のリストにある5つ以上の症状が見られるか確認します。

  • うつ
  • 以前は楽しんで行っていた活動に興味がない
  • 体重の増加または減少
  • 不眠症または過眠症
  • 興奮または精神運動の遅延
  • エネルギーの損失
  • 無価値感
  • 考える能力の低下
  • 自殺念慮

これらは、DSM-5の診断基準です。 ICD-11は、自尊心の喪失とうつ病の基本的な症状である抑うつ気分、関心の喪失、エネルギーの喪失の中の2つが満たされているかどうかを基準に加えています。この条件に当てはまる場合、軽度のうつ病と診断されます。 3つすべてが当てはまる場合は、より深刻な症状であると診断されます。

大うつ病性障害

大うつ病性障害は、最も一般的な気分障害です。このタイプの気分障害には、大うつ病エピソードのほぼすべての症状が見られますが、その期間に大きな違いがあります。特定の症状の持続時間や障害の特徴は、心理学において非常に重要です。その期間によって症状を判断するのに大きな違いをもたらす可能性があるからです。

大うつ病性障害は、少なくとも2つの大うつ病エピソードの症状が現れたときに診断されます。大うつ病性障害と診断するには、それぞれのエピソードが少なくとも2か月以上離れている必要があります。たとえば、ICD-11では、この2か月間はうつ症状はないはずであると立証しています。

したがって、大うつ病性障害の人は、1年365日うつ症状があるわけではありません。それらの症状が現れない期間が存在します。このタイプのうつ病には季節的なパターンがあるため、季節性情動障害としても知られています。特に、秋と冬が気分に非常に大きな影響を与える季節であると言われています。

気分変調症(持続性抑うつ障害)

気分変調症は持続性抑うつ障害とも呼ばれています。主な特徴は、抑うつ気分がほぼ1日中続いて、なおかつ長期間におよぶことです。この気分は毎日連続しており、最短期間は2年です。

ほとんどの日を不安定または抑うつ気分で過ごし、長期において症状が継続されている場合、気分変調症と診断されます。抑うつ気分が持続するので、大うつ病性障害のような季節性ではありません。

DSM-5は、気分変調症と大うつ病性障害が何らかの形で組み合わさり、それらが一緒に発生する可能性があると言っています。実際、大うつ病性障害は気分変調症を発症する前の症状となることがあります。

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重篤気分調節症

これは、『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)で抑うつ障害群の下位分類として追加されています。 この診断名は、子供の双極性障害の過剰診断を減らすという目的によって正当化され追加されました。6歳から18歳までの間に診断される必要があり、子供が10歳になる前に症状が現れ始めます。

重篤気分調節症は、口頭または行動で現れる重度で再発性のある怒りを指します。これらの怒りの爆発の強度と持続時間は、人の発達の程度と一致しません。患者は幼く、感情管理のレベルが低いかのように振る舞います。

最小限の研究しか行われていないため、使うにしても段階的な診断など最大限の注意を払うべきであるとされています。

月経前不快気分障害

月経周期に関連して一部の人に現れる可能性のあるさまざまな感情的および行動的変化です。月経前不快気分障害の症状は次のとおりです。

  • 激しい情緒不安定(感度の増加、気分のむらなど)
  • 苛立ちと怒り
  • 激しいうつ病と自己卑下
  • 不安

また、嗜眠、関心の低下、過眠症、不眠症などの二次的な症状もあります。これらの症状は、月経周期の大部分で現れ、月経の1週間後には消えます。

結論

このように、気分障害は様々なものがあり、その理由も単純明快ではありません。一見似ているようですが、まったく異なる痛みにつながり、治療法もまた様々です。

気分障害を分類して治療法を特定し、これ以上悪化しないように対処することが非常に重要です。たとえば、大うつ病性障害が気分変調症になることを防止するためには、それぞれ個人の要求と、彼らを苦しめる特定の不快感がなんであるのかを判断する適切な診断が非常に大切です。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。