嫌いになるのではなく、しがみつくのをやめる

· 2018年1月4日

時に、終わりを迎えるものは愛ではなく、忍耐力です。そう、暖まらない暖炉のようなぬくもりのない視線や、心に届かないハグに薪をくべ続ける意欲が尽きるのです。最後には、しがみつくことに疲れ、やる気が衰え、希望がうすれ、もう自分の場所ではなくなり、粉々になった自尊心の残り火だけが残ります。

失恋の痛手を和らげる助けを求めて専門家のドアをたたく人々の中には、心理士に「元パートナーを嫌いになりたい。忘れさせてください」と言う人がいます。そんな魔法の処方箋―胸を痛める愛や、日々を曇らせ夜を長引かせる憂鬱な思い出を全て消してくれるおとぎ話のような技術―があったとしたら、カウンセラーはみな喉から手が出るほど欲しがるでしょう。

「初めは、すべての考えが愛に属している。その後、すべての愛が考えに属するのだ」

-アルベルト・アインシュタイン-

しかし、良い専門家は、悲しみというのは役立つ苦しみだとよく知っています。そのゆっくりとしかし確かに進むプロセスを経ることによって、人は新しい成長の方法や、感情をよりよくコントロールする方法を手に入れることができます。「忘れる」ということは、学びを眠らせるということです。ここでの学びとは生きるための学び、つまりイニシアティブと新しい愛を見つける意欲を取り戻すことができる内面の旅を指しています。ですから「忘れる」という薬は、免疫力のつかない、あまり役立たない方法だと言えます。

なぜならいずれにしても、誰も一朝一夕に人を愛することをやめたりはしないからです。しかし私たちが確かにやめることができるものがあります。それは、もうだいぶ前からその価値を失った何かのためにしがみつくことです。

男性に泣きつく女性

愛が壊れた時の二つの悲しみ

もう少し自分を見てもらえるように、考えや決断や恐れや喜びを共有できるように、何度もがんばる人がいます。二人で過ごした時間は疑念でなく幸せの香りがすると、冷たさや言い訳や合わせない視線ではなくて真の欲求があったのだと、執着する人もいます。実際、誰でも一度はそんな経験があるでしょう。

ついにしがみつくのをやめたほうがいいと理解する時は、最初の悲しみ、つまり明らかな事実を前に目を覚まさなければならない辛い現実の始まりなのです。そして、その愛情の絆の現実をより明らかにし、無駄な苦しみのどん底に変化してしまう前にその関係を終わらせようとする時、ある不可欠な一連の段階を私たちは踏みます。

その一連の段階とは、

  • 感受性の鈍化または麻痺・・・二人の距離感、相手の反応や気持ちの冷たさ、または嘘の理由がよく分からない状態。
  • 切望・・・この2番目の段階では、多くの場合まだ愛を取り戻そうと固執します。同時に典型的な思い込みや自己欺瞞が現れます。「こんなことをするのは、ストレスがたまっているから、忙しいから、疲れているから…」「もう少し優しくすれば、もっと愛してくれるかも、もっと相手にしてくれるかも…」
  • 受け入れ・・・最後の段階。明らかな事実を前にして、しがみつくのをやめる重要な時期。期待することは無駄なことで、さらには自分をゆっくり重苦しく意味も合理性もなく害するだけだと分かるのです。つまり、離れるべきなのです。

これは、さらに複雑な段階、第2の悲しみが始まる時点となるでしょう。

オレンジの顔の女性にささやく男性

第2の悲しみ…しがみつくのをやめて、距離を置いてもなお、愛している

ついに決定的な別れを告げ、距離を置いた時、第2の悲しみに入ります。取り戻しようのない現実を前に、尊厳をくだき自尊心を傷つける苦しい事実を前に、最も賢い選択肢は距離を置くことです。よく分かっています。しかしどうしても不可能なことは、忘れることなく距離を置くことです。

「愛はなんと短く、忘れるのはなんと時間がかかるものか」

-パブロ・ネルーダ-

「すべてが終わって、もう救いようがない」と認めさえすれば、待合室や免疫のない場所から離れられると分かっているのです。しかし…しつこい悪魔のように心にこびりついたこの気持ちを、どうしたらいいのでしょうか?第2の悲しみは、最初の悲しみよりもさらに複雑です。なぜなら、愛されていない、あるいは逃げるべき愛され方をしていたと気づくことが辛いことなら、傷を癒し、生き延び、より強い誰かに生まれ変わらなければならないということは、より難しいことなのです。

これを知った上で、この第2の悲しみの時期を、心と身体が泣けるような時期にする必要があります。気持ちを整理し、愛する人がいないことに慣れ、無理矢理にでも恨みなく怒りなく新しい状況を受け入れる時期にしなければなりません。

青い血を流す女性

またさらに、自分というものに「執着する」理想的な時期でもあります。もちろん初めはすんなりいかないでしょうが、頑固になり、自分に期待を寄せ、新しい希望を持って英気を養う時です。第2の悲しみの時期は、自分自身にこだわることが求められます。思い出や不安を変化させ、ノスタルジーと尊厳が調和するぴったりの波長を見つけてください。顔を上げて前に進むために。

画像は、アグネス・セシル(Agnes Cecile)さんのご厚意により使用させていただきました。