子どもの遺糞症の影響:症状・原因・治療

遺糞症や夜尿症は、「排泄障害」です。4~9歳の子どもに起こり、とてもつらいものでもあります。ここでは、遺糞症とは何か、その原因と効果的な治療についてお話します。
子どもの遺糞症の影響:症状・原因・治療

最後の更新: 12 11月, 2019

遺糞症とは、夜尿症とともに排泄障害と呼ばれるもののひとつです。子どもが一定の年齢に達しても、排泄を我慢できない状態のことです

遺糞症は特に、子どもが便通をコントロールできないことを指します。夜尿症は、尿を我慢できない状態です。どちらにしても、場所によっては非常に大きな問題になります。

一般的に、およそ4歳頃、子どもはトイレで排便できるようになります。そして、服を汚さないためのオムツは必要なくなります。遺糞症の診断の前に、原因となっている物質(下剤など)や医学的障害がないかを診る必要があります。

排便のコントロールが難しくなる医学的状態もあります。例えば、ヒルシュスプルング病(腸の神経細胞の欠如)、 先天性巨大結腸症や、より単純なラクトース不耐性などがあげられます。

遺糞症

 

便秘を伴う/伴わない遺糞症

この症状の分類において、遺糞症にはいくつかのタイプがあります。溢流性の概念が関係します。便秘または溢流性失禁を伴うもの、そして、失禁を伴わないものがあります。

この2つを同じように治療することはできません。排泄障害に関して、子どもは医学的検査を受け、既往歴を診てもらうことが非常に重要です。

保持型遺糞症(便秘を伴う)

保持型遺糞症には無秩序な排便スケジュールがあります。つまり、もらしてしまうことが多くなります。また、子どもが毎日トイレに行っても、排便できないこともあります。

これはレントゲンで確認できるため、検査を受けることが非常に重要です精神的変化が原因になっているという研究結果も多く出されています。遺糞症の80%がこの型です。

非保持型遺糞症(便秘を伴わない)

溢流性失禁のない遺糞症は、トイレトレーニング、子どもの環境や家庭のストレス、敵対行動が原因になっていることが多くあります。この型の症状の場合、精神障害や反社会性障害などをきちんと調べることが必要です

DSM-5 によると、精神科の診断を受けることが一番良いと言います。これにより、反抗挑戦性障害やその他の行動障害、気分障害、精神病性障害の可能性をみることができます。例えば、子どもがうつ病であれば、遺糞症はうつ病の症状のひとつかもしれません。

 

一次性と二次性遺糞症

もうひとつの考えるべき点は、便通のコントロールの欠如が持続的であるか、そうでないかです。言い換えると、中には、便通を全くコントロールできない子どももいます。また、一年など一定期間コントロールが可能になり、その後でまた問題が生じるケースもあります。

これが重要になるのは、一次性遺糞症と二次性遺糞症の原因が異なるためです。もし、子どもが今までに便通のコントロ―ルを習得したことがないのであれば、それは何らかの形での早期の固執の結果、つまり精神的問題があるのかもしれません

(よくなったり悪くなったりする)二次性遺糞症は、いくつもの原因が考えられます。例えば、環境要因、学校や家庭でのストレス、不安などです。

もうひとつ興味深いのは、遺糞症は夜尿症と違い、夜より昼に起こりやすいということです。

 

疫学:影響を受けやすいのは?

疫学とは基本的に、ある病気を受けやすいのはどのグループかというものです。子どもの遺糞症においては様々です。4歳以上では、女児より男児が多いようです。7~8歳になると、男児が女児より1.5%多いだけになります。

 

子どもと大人への影響

障害の特性と排便に関してはタブーとされがちであることから、遺糞症は子どもにとって非常に困難なプロセスになりかねません。隠すことが難しいため、自尊心や自己像にも影響しかねません

遺糞症が発病する頃には、子どもは幼稚園や学校に通い始めます。休み時間の排便や授業中に我慢できないことは、子どもにとって非常にストレスがかかります。

親にとっても難しく、これは家の中で緊張を生む原因になりえます。しかし、これが子どもの状態であり、子どもは治すためにも親の力を必要としています。家での変化のためには、親のサポートが欠かせません。

 

病気の原因

ほとんどの病気がそうであるように、遺糞症にも様々な原因が関係します。心理学的かつ生理学的な場合もあります。遺伝的問題は証明されていません。

主な生理学的要因には、食生活や発育の問題、便意がコントロールできないなどがあります。心理的要因には、気がそれやすい、注意の欠如、多動、トイレに対する恐怖、排便の痛みへの恐怖などがあります。

学習の欠陥と関係するという理論もあります。この場合、トイレに行く必要があるという子どもの体のシグナルが、弁別刺激として、子どもに条件づけされていません。つまり、子どもはトイレに行く必要性に気づいていないため、トイレに行かないのです。

また、保持的遺糞症は、回避的行動と関係するという理論もあります。これは、基本的に、痛みや不安を回避するために、我慢することを学習するというものです。これが負の強化となり、二次性遺糞症の原因となる便秘のサイクルにはまってしまうのです。

非保持型遺糞症は、子どもが排便をきちんと学習していないためだと考える人もいます。多くの場合、子どもは何かに気を取られ、おもらししてしまうのです。括約筋が問題です。

子ども 遺糞症

 

医学的治療と行動療法

医学的治療には、一般的に、下剤や浣腸が使われます。また、特に繊維や水分の多い食生活に変えることを勧められることもあります。さらに、レバインプロトコル(1982)と呼ばれるものがあり、これには、心理教育(腸を描いて見せるなど)や動機づけが含まれます。

行動療法では、特に、便意の規則的習慣を教えたり、環境や刺激制御、他の行動の強化の見直しに焦点を当てます。そして、専門家ホウエとウォーカー(1992) は、問題の解決のためにオペラント条件づけを使ったメソッドを開発しました。

遺糞症には、様々なタイプと原因があります。自然なもので治療可能なものですが、子どもにとっては非常に不快なものです

まだ倫理的に問題にならない時に治療をせず子どもを不快な状態にさせるのではなく、遺糞症があなたに何を訴えかけているか考える必要があります。他の問題の症状として現れているのかもしれません。そのために、この障害では医学的そして精神的診断を受けることが非常に重要なのです。


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  • Bragado, C. (2001). Encopresis. Madrid: Pirámide.

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