心の安らぎと忍耐強さが人生の意味を見つける鍵
情熱のある事に没頭したり、恋に落ちたからといって、人生の意味が見つかるわけではありません。見つかったと思ったら、またわからなくなったりするものです。そこで、一体何が人生の価値や財産を見出すのに必要かというと、安らいだ心と忍耐力です。
哲学者や心理学の専門家(特にロゴセラピスト)の多くが述べるのは、私たちが慣れている現代文化に浸っていると、自分の意味を見つけ出すのが難しいという事です。色々な刺激を一度に多方面から得るため、それぞれをきちんと取捨選択するのが困難になります。そうすると、自分の意識の真の声が聞こなくなってしまいます。
「人生の目標とは生きることで、生きるということは、気をつけて、楽しく、酔っ払って、穏やかに、神のように意識を高くするということだ。」
-ヘレン・ミラー-
アダム・ステルツナー氏はNASAの研究員で、火星探査車キュリオシティをデザインし、火星着陸成功に大いに貢献した人物です。彼は、幼い時はこのような計画に人生を掲げるなど、これぽっちも思わなかったと語ります。実際、彼は幼い頃ロック歌手になりたかったそうです。自分のバンドがあり、コンサートを開催したりしていて、他の友達が大学進学を望む中、そんなことは考えもしなかったそうです。
しかし、その考えも一晩でかわります。バンドの練習を終えて、一人家路についた夜、夜空がこれまでに見たことのないくらい澄んでいたそうです。静寂と平和が彼を包み込みました。そして星を見上げると、その光景に心を奪われたと言います。もっと正確にいうと、オリオン座の三つ星に魅了され、そこに30分以上立ちすくんだのです。音、音楽、大音量に夢中だった彼は、突然静寂の中で、人生の意味を見つけ出したのです。
数ヶ月後には、物理学者になるために大学に入学し、そこから彼の冒険がはじまりました。
落ち着いて見る、考える、そして話す:人生の意味を見出すニーチェの論理
まるで、水の流れに乗っていく落ち葉のような気持ちになる時期もあります。自分の周りの物事を楽しむ時間もなく、そよ風にのって舞い上がり、少し上から全てを見渡すような余裕さえもないのでしょう。しかし、人生の意味とはワクワクするものだったり、苦手なことだったり、または気にもしなかったものである可能性もあります。
現代の文化や教育では、習慣という、私たちを閉じ込めてしまうものを強調しています。そんな中で、目下の満足感や短期の幸せなどを欲し、なんらかの中毒者になる人もいます。全てを手に入れたいという欲求があると同時に、空虚感に襲われます。ユニークで特別な存在になりたいけれど、同時に自分を特徴付けるものを排除してしまうのです。
このような、思慮に欠け不満足の人生の最中にいる間は、人生の意味を見つけ出すのは簡単なことではありません。それでは、ここでフリードリヒ・ニーチェが、この事について言った言葉を紹介しましょう。「人生の意味を見つけ出すには、物事を落ち着いて見る、考える、話すことができなくてはならない。」
「偶像の黄昏」の中でニーチェは、全ての教育者が掲げるべき1つの目標を記しています。それは彼が「貴族的文化」と呼ぶものです。しかし、上流階級のことを指しているのではありません。洗礼されて、もっと厳密な考え方を若い世代に伝えたかったのです。全ての人が人生を真の芸術的作品として生きることを望んでいたのです。
ニーチェと貴族的文化
彼は教育者が重点をおくべき3つの観点を下記のようにしました。
- 急がないで周囲を見る力をつける。現在の自分の状況に集中し、遠い未来を見ない。
- 発言と文章力も同様に力をつける。落ち着いて物事を見られるようになったら、文章力や話し方も、心から落ち着いて実践できるようにする。
- 本能だけで行動しない。そのためにはバランスが大切で、何よりも、慎重に考える必要がある。
この3つの能力を組み合わせて、落ち着いて物事を見て、考え、話すことができて、忍耐強さを生活に取り入れている人は、人生の意味に遅かれ早かれ気づくことになるでしょう。それは個人を輝かせ、アイデンティティと最も一致したものでしょう。
人生の意味を見つけるということは、靴底を減らすような苦労が必要ということではない
チベットにまで赴いて、人生の意味を見つけ出す必要はありません。世界中をバックパックを背負ってヒッチハイクする必要もありません。もちろん、色々な経験をすることでしょう。でも望んでいた答えはおそらく得られないはずです。
17世紀、禅僧であった白隠は、真実がどこにあるかわからない時は、果てしなく遠くまで探すという間違いをおこすものだ、と言いました。本当は、疑問に思うことの答えの全ては、自分の中にあるものです。
だから、人生の意味を見つけるために、靴底をすり減らしてまで旅をする必要はありません。自分を振り返り、考える頭のスペースを作り出すだけでよいのです。では、どうやってそれを作り出せばいいのでしょうか?ポイントをいくつか紹介します。
振り返り考える
- スピードを落とす。
- 人生で優先的なもの、そうでないもののリストを作る。または、あなたの気持ちを向上させてくれること、疲れさせてしまうことのリストを作る。こうすることで、人生にスペースを作りましょう。
- 自分自身に時間を費やす。1日のなかで、静かで落ち着ける時間をみつけましょう。
- 感動できる自分を取り戻す。夜に星を見上げる人になってみましょう。澄んでいる地域で起こった不思議なことや、日常の中に隠れた魔法に感謝してみましょう。
- あなたに喜びを与えてくれるものを大切にしましょう。あなたの気分をよくしてくれて、好奇心を掻き立ててくれるようなものです。そのような物の中に、人生の意味を見出し、あなたを輝かせてくれるものが潜んでいます。
そして、人生のゴールは成長するにつれて変化することを覚えておきましょう。これはいたって普通のことで、良いサインです。なぜならそれはあなたが変化している証拠だからです。これはあなたが成長し、新しい場所に到達して物事を発見し、さらに新しい希望と目標を見出しているということです。
人生とは、常に変化するものです。落ち着いて、自分の中の声を聞き取る方法を知っていれば、あなたが必要としている答えがきっと見つけられるはずです。