これまで分かっていなかった脳の97の領域

2019年10月30日
ヒト・コネクトーム・プロジェクトにより、これまで分かっていなかった脳の97の領域が特定されました。素晴らしい人間の脳には、まだまだ分かっていないことがたくさんあります。

脳は、いつになっても非常に興味深い研究テーマです。学べば学ぶほど、疑問や驚きが生じます。例えば、ワシントン大学の研究により、これまで分かっていなかった脳の97の領域が発見されました。

脳地図は、脳を視覚的に表したものです。科学者は様々な脳画像技術を使い、脳の様々な領域やその活動を示します。診断目的で行われた場合、マッピングにより、脳が健康的であるか、何か異常があるのかが分かります。

ワシントン大学とセントルイス・ミズーリ、オックスフォード、ロンドン、ミネアポリス、ナイメヘンの科学者は共同し、様々な脳地図を作りました。最新技術を使い、大脳皮質のすべての領域を特定することが目的です。その結果、これまで分かったいなかった脳の97の領域が分かりました

「なぜ、脳に興味をもち始めたのかよく聞かれるが、興味をもたない人がいるのかと私は返す。すべて“人間の性質”や意識と呼ばれるものがここから生じるのだから」

-ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン-

脳

 

研究法

分かっていない脳の領域を特定するために、210名のボランティアを集めました。若く、健康な人ばかりです。この目的は、健康な脳の研究です。

脳の様々な領域の比較や特性の認識ができるソフトウェアなど最新の技術が使われました。もっともシンプルなもので言えば、各領域のデジタルフットプリントを検出しました。

また、死後調査によるデータも含まれています。科学者は強力な顕微鏡を使い、脳の一部を調べ、新たな発見の幅を広げ、検証し、決定づけました。こうして、Nature Communicationsに、これまで分かっていなかった脳の97の領域が発表されました。

 

神経学とこれまで分かっていなかった脳の領域

神経学ができてからまだ1世紀ほどしかたっておらず、これは比較的新たな分野です。神経学者は、初めから大脳皮質はいくつかのゾーン、または、「モジュール」に分かれており、各部位で異なる、特定の機能があると分かっていました。しかし、テクノロジーがまだ正確でなかったことから、これをマッピングすることは非常に困難でした

1909年、ドイツの科学者コルビニアン・ブロードマンが初めて脳のマッピングに成功しました。彼のおかげで、51の脳の領域が明らかになりました。またブロードマンの脳地図は大部分が変わらず、現代でも有効です。

これに続き、神経科学者は脳損傷のケースを用いたデータを使い、ブロードマンの研究を完成させました。損傷、脳卒中、腫瘍により、それが運動機能、視覚などに影響するかを調べました。ところがここから今まで、脳マッピングにおいて大きな進歩はありませんでした。

新たなタイプのマッピングの主導者は、マシュー・グラッサーとデビッド・ヴァン・エッセンです。機能、局所の微小構造、接続の3つを基準とし、マッピングを行いました。この基準が、脳の様々な領域の違いを決定づけます。

脳 領域

 

このプロジェクトがもたらした新たな情報

まず、右脳と左脳の大脳皮質にはそれぞれ180の皮質領域があるということが分かりました。その中の97の領域はこれまで分かっていなかったものです。新たな脳地図により、科学者はこれらの領域を明確に見ることができるようになりました。政治的境界マップのようです。

この研究はヒト・コネクトーム・プロジェクトと呼ばれますアメリカ国立衛生研究所が経済的に支えています。これらの発見すべてが解析されたわけではなく、終わりまではまだ長いようです。しかし科学者は、これまで分かっていなかった脳の領域の機能に関する仮説を立てています。

中でも、55bと呼ばれる部位が、科学者に注目されています。これは人が物語を聞くとき、活発になります。また、少し変わっているのがPOS2です。パターンが他の部位とは異なることが分かっており、非常に特化した機能に関わると考えられています

ヒト・コネクトーム・プロジェクトはまだ表面をこすったとも言いづらい段階です。まだまだ分かっていないことがたくさんあるのです。人間のもっとも知的な機能を司る前頭前皮質は、ほとんど探索されていません。今回の初めの一歩がこれからの調査に新たな扉を開くことを願いましょう。脳に関して、次は、どのような驚くべき発見が待っているでしょう!

  • Casino, G. (2012). Conectoma Humano, el gran proyecto de la neurociencia. Alfa, (17), 16-19.