兄弟関係に関する事実
間違いなく、兄弟は人生と成長の中で重要な役割を果たします。歴史を振り返っても、兄弟に関するたくさんの物語、伝説、逸話が存在します。例えば、オシリスとイシスの伝説やモーツァルトの『魔笛』の兄弟関係などがありますよね。
自身の体験でも他の家族を見ただけだとしても、兄弟関係の重要さは皆さんご存知でしょう。これは、人の認知的発達にも影響を及ぼしえます。
親は、子どもを訓練して教育するために、たくさんの労力を注ぎ込みます。これは素晴らしいことですが、多くの親はこれが唯一の教育方法であると思い込んでいるようです。しかし、兄弟が教え合い、肯定的にも否定的にもお互いに影響を及ぼしあえることを理解していないことが多々あります。
本記事では、2つの説をお話ししていきます。(a)兄弟補償説、(b)えこひいきが原因の敵対心説です。どちらの説も、親が子どもをどう扱うかに関係しています。
「兄弟は、訓練する相手で、地道な方法で、公正性、協力、やさしさ、思いやりを教えてくれる人だ。」
-パメラ・ダグテール-
兄弟補償説
兄弟の関係は、それのみで研究されたり、調査されるべきではないということを明確にしておかなければなりません。つまり、親が子どもをどのように扱うかなど、他の変数も考慮されるべきであるという意味です。親がそうあるべきように子どもを扱わなかった場合、どのような影響があるでしょうか?兄弟は、その関係の中でこの損失を補うことができるのでしょうか。
兄弟補償説は、兄弟は親密で暖かな人間関係を築くことができるということです。親からの世話が不十分な場合も、兄弟はお互い助け合うことが可能です。別の言葉で言えば、兄弟はお互いを気遣うことで、親の愛情不足を埋め合わせるということです。こうして、親の愛情が不足していても、普通に成長することができます。
この説における研究では、有益な結果を得ています。親と子の関係の質と兄弟関係の質には、逆相関関係があります。ブライアントとクルッケンバーグの研究によれば、母親の子どもへの無関心は、年上の兄弟から年下の兄弟に見せる向社会的な行動の多さと相関しています。
これらの結果から、親の支援がないことによって、兄弟はお互いを支えて教え合うと考えられます。しかし、このデータの解釈には慎重を規すべきでもあります。他の研究では、異なる結果も出ているためです。すでにお話ししたように、兄弟関係を研究することは容易ではありません。すべてのケースで異なるためです。親の扱い以外にも、たくさんの要因が影響するのです。
えこひいきが原因の敵対心説
親のふるまいによって、子どもの間での敵対心を生む場合もあります。それが、この説の言わんとすることです。親が子どもを扱う方法に対する子どもの解釈を意味しています。
えこひいきが原因の敵対心説では、親が自分をもう一人の兄弟と違うように扱っていると感じた場合に、兄弟関係が敵対的なものに変わり得るということを示唆しています。別の言葉で言えば、子どもがもう一人の兄弟へのえこひいきを認知すると、自動的に嫉妬心を感じるようになるということです。この結果、子どもは兄弟に対して敵対的な姿勢をとります。
ヘザーリントン氏が行った研究では、親が一人の子どもに対して愛情不足である場合、兄弟関係が敵対的なものに変わる可能性があがると結論付けています。子どもは、兄弟に復讐すべく、親に反抗します。ただ、兄弟関係に影響する要因は他にもたくさん存在します。
このトピックに関連したすべての研究が、発達における兄弟関係の重要性を示唆しています。結局、兄弟は人生のどんな時も頼れる人たちなのです。
「何歳になっても、兄弟といるときは、子ども時代に戻れるものだ。」
-カレン・ホワイト-
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Bryant, B. K., & Crockenberg, S. B. (1980). Correlates and dimensions of prosocial behavior: a study of female siblings with their mothers. Child Development. https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.1980.tb02575.x