共感-難しくも人生を豊かにしてくれる関わり

· 2018年1月3日

私たちは自分の内面とつながっているわけですが、同時に外、つまり周りの人ともつながっています。その二つのつながりにおいて、共感は重要な役割を果たしています。またテクノロジーの進化のおかげで、私たちが関係を持つ世界は日に日に広がっています。

しかし、より広くより多様であるものの、情報だけではコミュニケーションツールとして足らず、共感するということが以前より難しくなっています。例えば、短い文章のみを介して対話している相手に共感することは難しいことですが、お互い顔を見て話をしている相手となら共感しやすいものです。

共感とは何か?

共感とは、他人または自分の感情の状態(感情または気持ち)と認知の状態(思想または考え)を理解する能力と言えます。さらにこの理解というのは、相手の立場に立つことによって可能になります。

これは易しくも単純でもない能力です。また、無意識に陥ってしまうステレオタイプ的な見方やヒューリスティック(経験知・直感による判断)を忘れなければ、共感することはできません。さらに、他人の世界のことですから(時には自分の世界であっても)、複雑で、できる限りの注意力を働かせることが必要です。

指切り

一方で、他の人や場合よりも、より共感を促す力のある人や状況というものもあります。例えば、自分と似た人や、助けを求めてくる人に共感するのはより易しいと言えるでしょう。似た人の場合は理解しやすいでしょうし、助けを求められればその申し出が誠実なものかどうか判断するために相手の立場に立つ理由があるからです。

共感の敵

人間というのは、部分的には、生まれた時から経験するさまざまな状況の産物と言えます。無関心は、種々の要因によるものだと言えますが、そのうちいくつかを以下に挙げます。

  • 自己中心性
  • 不信感
  • 価値感の喪失
  • 何が何でもより上位に立ちたいという競争心
  • 人種・受けた教育・社会階層の違い

その一方で、共感が欠如していると、そのしわ寄せが来るということも確かです。あたたかく率直なハグ、見返りを求めないプレゼント、親しみのある笑顔、無償でさしのべてくれる手助けなどとは疎遠になるでしょう。パートナー・家族・隣人・同僚・友人などの欲していることが理解できないのです。心理士たちは、日々何千もの患者を診察していますが、その病状は、単にアクティブリスニング(積極的傾聴)の訓練を取り入れるだけで快方に向かうと言います。そしてそのためには、共感が必要不可欠なのです。

私の自由は、他人の自由が始まるところで終わる

共感は、自分や他人に何をもたらすのか

いろいろな状況の例を挙げて、この問いに答えてみます。

  • 時々相手の立場に立ってみると、パートナーとの関係がうまくいく可能性が高まります。そうすれば、相手が愛情を欲しているということや、身体の調子やいくつかの感情の原因がわかるでしょう。お互いにネガティブ・ポジティブ両方の経験を受け入れることで、何とか生き延びるのではなく、人生を楽しむことに近づくでしょう。
  • 企業が利益を増加させる必要性や、上司がそのために必要なことを行う、ということを、従業員が理解していれば、労使関係は満足なものとなるでしょう。
  • 共感できる人になるということは、他人の限界に敏感になり、それを尊重できるようになるということです。例えば共感により、自閉症の子供をもつ親が、子供と意思疎通ができない状況で感じるフラストレーションを理解することができるでしょう。
  • それではなぜ、自分自身にも共感するべきなのでしょうか?正直に自分の強みと弱みを見直すことは、自分を見失わないために大切なことで、同時に他人とつながる機会ももたらしてくれるでしょう。
  • 生徒に共感できる教師は、より生徒たちに影響力をもつでしょう。例えば、共感することで、暴力的でいじめっ子の子供が家族のふるまいをまねているだけだということを発見できるかもしれません。生徒たちの内気・ADHD(注意欠如・多動症)・外向性・悲しみなどを理解することは、教師の役割を単純でありながら価値あるものにしてくれるでしょう。

共感できない教師は、クラスの問題を効果的に解決することができない

頭の形をした木2本

  • 親たちが、自分も子供であったことを思い出せば、自分の子供をより理解でき、世代間の溝を浅くできるでしょう。いずれにしても、親になり年をとったといっても、過去の思い出は根本的に消えたわけではなく、多くの場合はちょっとしたきっかけで思い出すものです。
  • 子供たちや少年少女たちの感情に訴えて、彼らの共感力を高めることは、いじめやいじめの傍観者などの望ましくない社会行動を予防する素晴らしい方法です。例えば、ノルウェーで採用されているKiVaといういじめ対策プログラムは、いじめの傍観者に被害者への共感を促すものです。つまり、いじめを目撃した子供たちが、いじめられている子供の苦痛を感じ、いじめを阻止したり予防したりする効果を期待しています。

このように、共感するということは、まさに関係を改善し、絆を深め、心と心を近づけるために役立つ、人間関係の能力です。さらに、多くの現代の苦痛-多くの人が感じ、叫んでみるけれども誰も聞いてくれない、分かってくれない、果てには愛されていないと感じてしまう空虚感や孤独を予防してくれるものでもあります。