急性錯乱状態(せん妄)の症状、タイプ、治療

あなたは急性錯乱状態、あるいはせん妄として知られる病気について聞いたことがありますか?この用語は何に由来し、一体何がこの病気を引き起こすのでしょうか?本日の記事では、そういった疑問にお答えした上で、さらに詳しくせん妄について説明していきます。
急性錯乱状態(せん妄)の症状、タイプ、治療

最後の更新: 12 1月, 2021

あなたは、急性錯乱状態(ACS)という言葉を耳にしたことがありますか?せん妄という名でも知られるACSは、全人口の約1〜2%、そして85歳以上の高齢者の約14%が発症する神経認知障害のことを言います。注意力の低下を伴う意識の変容と、記憶力や言語能力、そして知覚に影響するその他の認知能力の変化がその一番の特徴です。名称から分かる通り、これは通常数時間から数日間続く急性疾患で、その後症状は完全に消え去ります。

この記事を読めばお分かりいただける通り、急性錯乱状態の原因として考えられるものは様々ですが、そのほとんどが器質的要因です。その中には、特定の薬剤や病気、中毒、あるいは何らかの物質の禁断症状などが含まれます。

ACSは病原体と似ており、原因が何であれ引き起こされる症状は変わらない場合が多いものです。それでは、読み進めてさらに掘り下げていきましょう。

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急性錯乱状態、あるいはせん妄の発見

現在ACSあるいはせん妄として知られている病状は、古代から認識されていました。初めてこれを書面で説明したのはヒポクラテスで、「せん妄」という用語は紀元前1世紀にケルススによって最初に使用されたとされています。

1813年には、トーマス・サットンが振戦せん妄というアルコール消費が原因のより具体的な臨床症候群について説明しました。その後、エミール・クレペリンが各身体化障害にはそれぞれに関連した精神疾患があるのだ、と提唱しています。

そして1910年に、ボンヘッファーが様々な病気の過程で起こる5つの症候群グループあるいは急性の臨床変数について解説しました。その5つのグループがせん妄、アメンチア(精神薄弱)、もうろう状態(あるいはてんかんタイプ)、興奮、そして急性幻覚症だったのです。

急性錯乱状態とは?

DSM-5(2013年)によれば、全人口の約1〜2%にせん妄が見られるそうです。その有病率は年齢とともに増加し、85歳以上で14%という最高点に達します。また、入院患者に限定するとその割合は10〜30%に増えます。さらに、高齢者で見てみると、女性よりも男性の方がACSを発症する危険性が高いことも研究で明らかになりました。

DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)は、ACSを神経認知障害群のカテゴリーに分類しています。前述の通りせん妄には多様な原因が考えられるため、DSM-5では以下のような5つのタイプが特定されています。

  • 薬物中毒によるせん妄。
  • 薬物離脱によるせん妄。
  • 薬剤誘発性のせん妄。
  • その他の持病によるせん妄。
  • 複数の病因によるせん妄。

また、DSM-5にはせん妄に関するその他の詳細事項も記載されており、持続時間に関しては急性のもの(数時間あるいは数日間続く)あるいは持続性のもの(数週間または数ヶ月間続く)かに分かれます。活動レベルで言うと、過活動型と低活動型、および混合型が存在するため、医療従事者らはこれらの明細事項をせん妄の診断に付け加えています。

ACS/せん妄のタイプ

DSM-5では、せん妄をその病因に応じて以下のようなサブタイプに分類しています。

  • 薬物中毒によるせん妄:せん妄を引き起こし得る薬物は様々です。例えばアルコール、幻覚剤、アンフェタミンと関連薬物、大麻、コカイン、フェンサイクリジンと関連薬物、吸入剤、オピオイド、鎮静剤、催眠作用のある薬物、抗不安薬などが考えられます。
  • 薬物離脱によるせん妄:これに関しては、中毒ではなく特定の薬物からの離脱が原因となります。例えばアルコール(アルコール離脱が引き起こすせん妄は振戦せん妄として知られます)、鎮静剤、催眠作用のある薬物、抗不安薬などの服用を止めることが原因となります。
  • 薬剤誘発性のせん妄:ほとんど全ての薬剤が、急性錯乱状態を引き起こすきっかけとなり得ます。例えば、麻酔薬、鎮痛剤、抗喘息薬、抗けいれん薬、抗ヒスタミン剤、血管性高血圧の薬、抗菌剤、パーキンソン病の薬、コルチコステロイド、胃腸薬、筋弛緩薬、抗コリン作用の副作用を有する抗精神薬などです。また、揮発性物質(ガソリンやペンキなど)や殺虫剤、二酸化炭素といった毒素がせん妄を引き起こす場合もあります。
  • その他の持病によるせん妄:実質的に全ての内科疾患がせん妄を引き起こす恐れがある、というのが現実です。
  • 複数の病因によるせん妄:最後に、二つ以上の原因が考えられる場合には「複数の病因による」せん妄とされます。

ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の定義

WHOも、ICD-19のなかでせん妄あるいはACSの定義を定めています。これによれば、以下がせん妄の特徴だそうです。

  • 意識と注意の障害。
  • 認知の全体的な障害。
  • 精神運動性の障害(活動低下あるいは多動、一方から他方への予測不能な変化)。
  • 睡眠-覚醒周期の障害(不眠や日中の眠気)。
  • 感情障害。

一般的な特徴

以下が、急性錯乱状態によく見られる特徴です。

  • 病原体的な本質:先ほどお伝えした通り、これはACS患者全員が病因に関係なく似たような臨床症状を経験するという意味です。
  • 突然の発症:ACSは数時間あるいは数日間に渡って発現し続ける場合があります。
  • 患者の全身状態への影響(度合いはまちまち):これは全般的な障害です。
  • 比較的短い持続時間(これが「急性」障害と呼ばれる所以です)。
  • 完治させることが可能です。
  • その日の間中、症状に変動が見られる場合があります。
急性錯乱状態(せん妄)の症状、タイプ、治療

ACS/せん妄の治療

ACSを治療するためにはまず、そもそもの原因となっている問題の解決から始めます。したがって、医療介入のポイントはせん妄がさらに悪化しないように、素早く病状を回復に向かわせることです。

一方で、せん妄の併発病として考えられるものは、一連の介入によって予防することが可能です。また、高齢者を取り巻く環境が急激に変化することがないようにする、事故や感染などの併発問題を予防する、などといった一般的な対策を取ることで、医療従事者たちは危険因子を持つ人々の併発病リスクを減らすことができます。

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