『ラブ・アクチュアリー』:新たなクリスマスの定番映画

その公開以来、『ラブ・アクチュアリー』はクリスマスの新たな定番コメディとなりました。シンプルではありますが、この映画のメッセージは人々に希望を与えてくれます。
『ラブ・アクチュアリー』:新たなクリスマスの定番映画
Leah Padalino

によって書かれ、確認されています。 映画批評 Leah Padalino.

最後の更新: 21 12月, 2022

12月といえば、豪華なディナーや人との再会、暴飲暴食などが想起される季節です。しかし、毎年繰り返されるような習慣や伝統が溢れる月でもあります。私たちは12月になるとクリスマスツリーを買ったり、宝くじの当選を祈ったり、ヌガーを食べたり忘年会をしたりします。そして家族とのディナーを楽しみ、シャンパンを飲み、最後に今年もまた『ラブ・アクチュアリー』を観るのです。

カーティス監督の映画はすでにクリスマスの伝統で、今や定番になっているようです。いわばマライア・キャリーの『恋人たちのクリスマス』のような映画なのです。今となっては遠い昔となった2003年の公開以来、年月を経てもなお、『ラブ・アクチュアリー』はそのクリスマス精神に溢れるラブストーリーで私たちの心を掴んで離しません。

もちろんクリスマス映画はたくさんありますが、中でも『ラブ・アクチュアリー』は最も愛されている映画でしょう。本当に多くの人々がクリスマスシーズンの間、少なくとも一年に一度は観たいと思っている映画なのです。

リチャード・カーティス監督は、輝かしいキャストたちを集結させ、様々な段階の愛を反映させたいくつかのストーリーをうまく組み合わせることに成功しました。彼はある種のクリスマス神話を打ち立てたのです。

“世界に対して憂鬱な気持ちになると、いつも私はヒースロー空港の到着ゲートについて考えます。私たちが憎しみや悲しみの世界で暮らしているかのように言うのが一般的な意見ですが、私はそうは思いません。私には、愛がそこら中に溢れているように思えます”

-リチャード・カーティス、『ラブ・アクチュアリー』

魅力的なキャスト

リチャード・カーティスは『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)や『ノッティングヒルの恋人』(1998年)、『フォー・ウェディング』(1994年)などの脚本家として成功を納めた人物です。これら全てがロマンティックコメディで、面白いのが三作ともヒュー・グラントが出演している点でしょう。若い頃の彼がこのジャンルの帝王の一人であったことは確実です。

そしてグラントは、カーティスが監督も務めた『ラブ・アクチュアリー』で再び彼とタッグを組んだのです。さらにエマ・トンプソンやアラン・リックマンにコリン・ファース、リーアム・ニーソンといった他の有名俳優たちもキャスティングされました。

カーティスが成し遂げたのは、不可能だと思われていたようなことでした。彼は当時の大人気イギリス人俳優の多くを呼び集めることに成功したのです。例えばアラン・リックマンはすでに前世紀からかなりの名声を博していましたし、キーラ・ナイトレイなどの若いキャスト陣も新世紀の始まりからもう輝かしい活躍を見せていました。

このようにカーティスは有名なキャストたちを集めましたが、その中でもロマンティックコメディのスター、特にコリン・ファースとヒュー・グラントは際立っていました。この二人の存在が映画の成功を保証していたと言えるでしょう。

したがって、『ラブ・アクチュアリー』が興行成績を塗り替えたのも当然のことでした。この映画こそ、たくさんの人々が観たがっていた20世紀のクリスマス映画だったのです。

とは言え、その本当の成功がやってくるのはしばらく経ってからのことでした。主にそのヒットの理由となったのは口コミやテレビでの放送です。こうしてこの映画はロマンティックなクリスマス精神のアイコンとなりました。

『ラブ・アクチュアリー』− 素晴らしいデザート

大量のクリスマスディナーを堪能した後は、ただソファに腰掛けてリラックスしたくなるものです。そしてクリスマスの雰囲気を盛り上げてくれつつも、特に何も考えずに楽しめるようなBGMで一息つこうとします。

これこそ、『ラブ・アクチュアリー』が届けてくれるものなのです。ロマンティックで甘く、そしてウィットに富んだコメディは、冬の夕暮れを暖かな空気感で包んでくれます。

『ラブ・アクチュアリー』は深く考えずに観ることができますし、退屈でもありません。笑顔になれるシーンがいくつもあり、観ている人自身も自らの過去に思いを馳せることができます。ではその成功の秘密は何なのでしょう?それは、一連のラブストーリーを様々な観点から描いていることです。

登場人物たち

まず、初めての恋を経験して心を悩ませている少年がいます。また、長年の結婚生活が馴れ合いや不貞により壊れ始めている夫婦も登場しますし、結婚したばかりの親友の妻に思いを寄せる男性も出てきます。そして特に魅力的なのが、互いに異なる言語で話しながらも何とか相手を理解し合うことのできたカップルです。さらに、好きになった女性を手に入れるためなら何でもしてしまう、華麗なダンスシーンで魅せる首相までもが描かれています。

また、ビリー・マックという音楽的・コメディ的要素を加えてくれる落ちぶれたミュージシャンも登場人物の一人です。彼は映画の中でもかなり不敬なキャラクターです。

こうしてカーティス監督は幅広いラブストーリーを適切に伝えることに成功しました。そしてあまりにも甘い展開になりすぎると、また別の悲劇的なストーリーや気楽なシーンへと画面が切り替わります。

ご覧の通り、カーティスは感傷的なストーリーや悲劇的なストーリー、そして馬鹿げたストーリーを組み合わせ、数多く存在する愛の側面のうちのいくつかを描きだすことに成功したのです。面白いのは、彼がわかりやすい言葉を用いた点でしょう。少し誇張されているとはいえ、誰もが現実と結びつけて楽しめるような物語を彼は見せてくれました。

例えば、英国では全く女性にモテない一人の男性が登場しますが、彼はアメリカに渡ると自分のイギリスアクセントがそこではかなりセクシーと思われていることに気づきます。さらにエマ・トンプソンとアラン・リックマン夫婦の結婚生活が壊れていく様子も描かれますし、精神疾患を抱える弟のせいで自らの人生を全うしきれない若い女性も登場します。

その他のストーリーはお決まりのものであり、なんども語られているような内容であることも事実です。その例が、新婚の親友の妻に片思いしている若者の物語で、これを観た当時の人々は彼の行動はロマンティックというよりむしろストーカーのようだ、と考えたようです。

『ラブ・アクチュアリー』:新たなクリスマスの定番映画

年月を経て

このように、『ラブ・アクチュアリー』は現在のようなクリスマスの定番映画の立ち位置を確立しました。しかし一方で、いくつかのストーリーの中には現代的な価値観が見出せないことも確かです。

だからと言って映画が古びたものになってしまったというわけではありません。事実、そのメッセージは公開時と同じようにシンプルで明白なままです。しかし、アップデートされた現代的な視点から映画を分析してみると、女性たちの活躍場面が少ないことに気づくでしょう。また、LGBTコミュニティを反映するようなストーリーもありません。

どうやらカーティスも同性同士のストーリーを作っていたようですが、最終版では結局カットされてしまいました。しかしもし『ラブ・アクチュアリー』が本来より15年後に撮影されていたとしたら、一つくらいはそのような物語があったであろうことは確実です。そしてもっと多様性に富み、女性たちにも別の舞台が与えられるような映画になっていたことでしょう。

考えようによっては、2003年ははるか昔の年のように思えます。事実、その年以降私たちの考え方がどう変わっていったのかをこの映画が示してくれています。また、かつては普通のことでありロマンティックだと思われていたことが今となっては批判の的となっていることにも気付かされます。

『ラブ・アクチュアリー』 − 普遍的なメッセージ

それにもかかわらず、この映画はその古さの割には妥当な内容ですし、「愛はどこにでもあり、どんな片隅にも存在している」というメッセージも依然として普遍的です。そして観る人が自分を重ね合わせることのできるような物語が数多く語られる点が、映画のキモの一つと言えるでしょう。視聴者は、シンプルでナチュラルな会話に根付いた登場人物たちの感情に共感することができるのです。

『ラブ・アクチュアリー』では、感情を重要視した物語が描かれます。そしてそれらは現実には起こりそうもない話であるにも関わらず、誰もが大切に思うような愛という気持ちに全般的に訴えかける内容になっています。

おそらくこの映画のカギは登場人物たちの人間性やコメディの明るさ、そして冒頭と終盤の有名な空港のシーンで送られるメッセージでしょう。なぜならこれらのシーンは、クリスマスシーズン中の空港の様子をそっくりそのまま反映しているからです。空港は人々が行き交い、再会し、ハグをし、涙を流す場所であり、きっと本当の愛というものを映し出すには最適な場所なのでしょう。


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