マチルダ効果:女性、科学、そして差別

2019年6月26日
マチルダ効果は、1993年、マーガレット・W・ロシターが世に出した理論です。この歴史家は、女性の功績が男性のものよりも価値が低いと見なされている状況に名前を付け、それに抗議するためにマシュー効果をその基礎として使ったのです。

120年間の間に、何人の男性にノーベル賞が贈られたかご存知ですか? 一方女性についてはどうでしょう? その割合は衝撃的です。男性が817回なのに対し、女性は87回しかとっていないのです。マチルダ効果とは、科学の世界における性差別に取り組んだ理論なのです。

これは、女性の功績が男性と同等、あるいはそれ以上重要なのにも関わらず、女性科学者が男性よりも賞の受賞が少なかったり、称賛や認識をあまり得られていないことについて指摘をしています。そしてこの言葉が実は男性の対になる理論から来ているというのも興味深い事実です。

マチルダ効果の聖書のルーツ

マチルダ効果を理解するために、まずはその男性バージョン、マシュー効果から見ていきましょう。社会学者のロバート・K・マートンが、この言葉を作りました。彼はイエスの弟子の言葉を、人生のさまざまな側面に関わる現象をさすのに使いました。「タラントのたとえ」の中で、マシューは考えるに値する教訓を与えてくれます。

「では彼から才能を取って、10の才能を持つ人に与えよう。たくさん持っている人には、さらに与えられ、豊富な才能を持つことになるだろう。しかし何もない者は、持っているものさえ奪い取られてしまう。」
―マシュー25:14-30「タラントのたとえ」-

 

マチルダ効果:女性、科学、そして差別

マチルダ効果の対の片方、マシュー効果

これはつまり、有名でない人の功績は、すでに広く知られていたり有名な人が行ったあまり重要でないものに比べて、注目度が低く、考慮や認知がされないということを表しています。

あまり知られていない人の功績が、より有名な人のものよりも優秀なものだったとしても話題にならないのはなぜかをこの理論は説明しようとしました。スポンサーのついていない人やまだ若く有名でない人が背景に押しやられてしまうのはこのためなのです。彼らはより有名な権威の巨大な影に隠れてしまうのです。

科学の世界に飛び込んだ女性たちとマチルダ効果

マチルダ効果は、1993年、マーガレット・W・ロシターが世に出した理論です。この歴史家は、女性の功績が男性のものよりも価値が低いと見なされている状況に名前を付け、それに抗議するためにマシュー効果をその基礎として使ったのです。

女性の科学者の発見や研究が、その活動の質ではなく性別のために脇に押しやられていることに抗議をしようとしました。要するに、女性科学者がもし男性だったら得たであろう称賛や認識を得られていないということなのです。

少しずつ、女性は科学の世界に飛び込むようになってきました。今だに女性は学位が取れなかったり運転できないという国もあります。また、大学へ行き博士号をとることはできても男性と同じ状況で働けないという国もあります。

マチルダ効果:女性、科学、そして差別

女性への影響

男性が有利なのは賞を取ることについてだけではありません。賞に加えて、給与や仕事、研究費、そして出版の問題もありました。これらは全て男性が男性であるというだけで有利になる分野なのです。

そのため、素晴らしい女性の物理学者、化学者、社会学者、そして医者などが脇役になってしまいます。システムが彼女たちの功績を取り上げず、なんの説明もなしに無視するのです。女性は本来得られるべき認知を全く得られません。

マチルダ・ジョスリン・ゲイジ

ロシターは、マチルダ・ジョスリン・ゲイジを称え、これを特にマチルダ効果と呼びました。彼女は活動家であり、自由思想家、作家、そしてアメリカの社会学のパイオニアでもありました。そして、女性の平等な権利のために闘った先駆者の一人でもあった人です。

彼女の行った重要な活動の一つが、大統領選挙に立候補した最初の女性の一人、ヴィクトリア・ウッドハルを支持することでした。彼女は大家族の母親であり、自由の欠如について声をあげた著書を多く出版し、平等な機会を求めていました。

彼女の努力により、アメリカ夫人参政権協会の理事を長年務めることになりました。彼女の遺産に感化され、職業人生で不公平に苦しむ女性のために抗議をするため、マチルダ効果は存在するのです。

マチルダ効果の歴史

今日の世界におけるマチルダ効果

しかし実は、マチルダ効果のいい例は、何世紀も前だけのことではないのです。現在でもなお、女性が経験している不公平な状況があります。仕事の世界は、女性が差別に直面する多くの例の一つでしかありません。

例を見てみましょう。ノーベル賞の話に戻りますが、科学者にとってこれは世界で最も大きな賞です。リーゼ・マイトナーとロザリンド・フランクリンは科学の世界に大きな貢献をした二人の女性です。マイトナーは核分裂の発見に関わり、フランクリンの功績はDNAの二重らせん構造に関わるものでした。

しかし、どちらもノーベル賞委員会からの認識を得られませんでした。しかし、この二人の女性の働きによって同僚の男性は注目されたのです。実際、マイトナーのケースは女性による科学的な発見がノーベル賞委員会によっていかに完全に無視されてしまうかの最も良い例の一つだと言えます。

男女が平等な機会を得られる日(それがあまり遠くないことを祈っていますが)に向かって長い道のりを歩んできたことは事実です。しかし、科学の進歩が性別の問題にならないようにするためにはやらなければならないことがまだまだあることもまた事実です。その人の功績は誰がやったかではなくその内容に関わるものであるべきだということを、世界中が同意する必要があるのです。