マインドフルネス認知療法で使われる数学教授のメタファーとは?

16 4月, 2020
数学教授のメタファー(比喩)とは、すべての情報を得ずに結論を出す傾向がどのように恐ろしい結果をもたらすかを示すために使用されるマインドフルネス認知療法(MBCT)の練習です。

思考は、人に有利に働かず不利に働くケースが多くあります。問題はそれが何についての思考かではなく、どのようにそれを思い付いたかということです。多くの場合、それはあなたの心の中に埋め込まれた悪い構想に起因する認知エラーです。これは日常生活の中で問題を引き起こす可能性があります。ここで役に立つのが数学教授のメタファーです。

これらの誤った認知構想の一例は、恣意的推論と呼ばれるものです。これは、基本的には、証拠がないにも関わらず結論を出すということです。場合によっては、その結論に反する証拠が存在することさえもあります。

自分の経験から結論を導き出すことは有用ですが、周りの世界について根拠のない間違った結論に達してしまうこともあります。詳しく見てみましょう。

結論を出すことの価値

公平のために言うと、一つの特徴や具体的な事実に基づいて結論を出すことは時間と労力の節約になります。「彼は家事などをするのが好きだ」と聞いたら、「彼は料理をすることが好きなんだ」と思うのも無理はありません。そのため、次に会うときにはお互いが何かを持ち寄るポットラックディナーを提案するかもしれません。

しかし、実際は彼は料理が全くできないのかもしれません。この例の誤解は理解できると思うかもしれませんが、それが問題なのです。あらゆる状況であなたが経験する“普通の”ことには、実際には物事を間違った捉え方をしてしまう可能性があるのです。

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MBCT:マインドフルネス認知療法

MBCTは、認知療法とジョン・カバット・ジンのマインドフルネス(気づき)に基づくストレス軽減プログラムという2つの療法を組み合わせたモデルです。この2つの療法を組み合わせた当初の目的は、患者がうつ病の治療後に頻発に再発するのを防ぐことにありました。

うつ病患者の治療後の残遺症状や再発に関しては多くの研究が行われてきました。その数字は驚くもので、治療終了後の約70%の人にうつ病の認知的症状が認められました。また、治療が効果的だった75%の人でさえ、5つ以上の残遺症状が認められたのでした。

残存症状は、一般的には集中力低下、語彙の想起困難、精神的なだるさ、判断力の低下などです。

このことからも、2002年にシーガル、ウィリアムズ、ティースデールによって開発されたMBCTは今、大きな意味を持つのです。シーガル氏らは、グループセッションを想定してこの療法を作りました。そして、このセッションでは瞑想を行ったり、感情に取り組んだりすることで再発を防止しようと試みます。

MBCTは、再びうつ状態に陥ってしまった際にそこから抜け出すための考え方を教えてくれるのです。

MBCTとメタファー

MBCTではメタファー(比喩)を頻繁に用います。その目的とは認知プロセスを変え、不合理な思考を見極める方法を示すことです。そしてそこから正しい方法でその思考を対処する方法を学ぶのです。

MBCTで使用されるメタファーの一つには数学教授のメタファーがあり、メタファーで使用する物語によって生じた思考、感覚、および感情を認識できるよう(気づくことができるよう)に目を閉じます。それでは、メタファーについて詳しく見ていきましょう。

気づきを築く:数学教授のメタファー

物語の基本的な構成はこのようなものです。

学校へ向かっているクララは数学のクラスのことを心配しています。6年生のクラスをうまくまとめられるか不安なのです。なぜなら、これは秘書の職務には含まれていないからです。

この物語をグループに話したら、考える時間を少し与えてから物語の中で何が起こったのかをグループに尋ねます。ほとんどの場合、早とちりをしているため物語を間違って解釈しているでしょう。

まずは物語に登場するクララは学生であると考え始め、その次には教師かなと想像しますが、結局は彼女が秘書であるということに落ち着くのです。

結論に飛びつく危険性

この演習が示しているのは、私たちは情報を得ると結論を出し、それを変えてしまう傾向があるということです。この物語では話が進むにつれ真実が明らかになりましたが、人生でも同じようになるとは限りません。あなたが導き出した間違った結論を正してくれる人も、正す理由もないのです。

結局のところ、物事の見方や考え方を変えるのはあなた自身の責任です。他の誰かがあなたのためにしなければいけないことではありません。

もちろん先ほどの物語のクララが秘書ではなく教師であるという間違いは危険なものではありません。しかし、これは人生のあらゆる場面に当てはめることが出来ます。例えば、クララがあなたの親友の誰かだったとします。ある日、彼女が歩いているのを遠くから見つけたとします。しかし、彼女が手を振ってくれなかったら、あなたは早とちりをして間違った結論に達してしまうかもしれません。

間違った結論とは、例えば彼女は失礼である、ぼーっとしている、あなたのことが嫌いになったなどです。これらの思い込みは、実際には違ったとしても、あなたの気分に大きな影響を与える可能性があります。本当は、彼女は目が悪くてあなたが見えなかっただけかもしれません。

似たような例をもう一つ見てみましょう。友達のプレゼント代を友人と出し合うことにしたとします。あなたは既にプレゼントを購入したにも関わらず、友人の一人が辞退したのです。他の友人たちは彼女のことを恥知らずで自己的、そして思いやりがないと言います。また、誕生日の友人のことが嫌いなのだと決めつけるかもしれません。

しかし、このように結論付けるには明らかに情報量が足りていない状態です。つまり、友人たちは間違っているかもしれないのです。彼女は経済的に困っているのかもしれませんし、友人と喧嘩をした直後で衝動的に行動してしまったのかもしれません。あるいは、他の友人たちは知らないだけで、誕生日の友人と対立しているのかもしれません。

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他人に影響を与えることはあなたの責任?

このような考え方は気分に影響を与えるだけでなく、行動にも影響を与えます。思考は行動につながるのです。つまり、あなたが導き出した結論によって行動が変わってくるかもしれないということです。しかし、その結論は必ずしも正しいわけではないため、真実ではないことに基づいて行動をとってしまうかもしれないのです。

親友に“裏切られた”からと彼女と話すのをやめる、あるいは友人が“自分勝手すぎる”と腹を立てた場合、たとえそれが真実とは異なっていたとしても、本心とは違う行動に移してしまっているのです。その上、どれも実際には根拠のないことで、すべては頭の中で推測していることに過ぎないのです。

早とちりをしてしまったかも、慎重に考えずに結論に飛びついてしまったかもと感じた際、数学教授のメタファーを取り入れることが重要です。合理的な思考能力を高めてくれるだけでなく、間違った見方をすることが減少することでしょう。

  • Cebolla, A. y Miró, M. (2008). Efectos de la Terapia Cognitiva basada en la Atención Plena: una aproximación cualitativa. Apuntes de Psicología, 26(2), 257-268.