無条件の愛は本当に存在する?

2019年11月20日
無条件の愛は現実に存在しますが、それは良いことなのでしょうか?ある一定の条件や境界線を持つことは、あらゆるタイプの愛情を伴う人間関係において、私たちの自尊心と幸せを守るのに役立ちます。

無条件の愛は世界で最も純粋で高貴な感情だと言う人もいます。相手に見返りを求めず何も期待せずに愛することは、体内の細胞全てを使って誰かを愛することを意味します。

相手が誰であろうと、何をしようと、そしてあなたと一緒にいるいないに関係なく、無条件に誰かを愛することです。ヘルマン・ヘッセは、上手に愛する方法を知っている人が人生に勝つといいました。

ここでいう「上手に愛する」とはどういう意味なのでしょうか?無条件の愛は「上手に愛する」ことなのでしょうか?

実はこの質問への答えはありませんが、答えを見つけるのに役立ついくつかの考え方が存在します。まず最初に、無条件という情熱に基づく恋愛関係がとても危険なものになる可能性があることに同意する人は多くいます。条件や制限がない状態でお互いを愛する人たちは、大切な境界線を越えることがよくあります。

ここで考えられる問題点は、自尊心とアイデンティティーが危険に晒される可能性があるということです。また、親から子供への愛情は深く、本物の無条件の愛であるという人も多くいますが、子供が常に「もっと多く」要求するようになったり、親を軽視して暴君のように振る舞う子供に成長したら、どう対処しますか?

感情心理学者は、感情としての愛と、関係を設定するものとしての愛を区別することが大切だと考えています。愛することと、愛する人と一緒に生きることは別のことなのです。

この考え方についてより深く掘り下げましょう。

「無条件の愛は実際に存在します。これは私たちの深い内なる存在の一部です。これは積極的な感情ではありません。何かの理由のための「愛している」ことでもなければ「あなたが私を愛しているなら、私はあなたを愛する」ことでもありません。無条件の愛に理由や物は介在しません。それは愛の中にただ存在するようなもので、椅子や部屋、周りのすべてに浸透します。考える心は、愛の中で消滅しています。」

-ラム・ダス-

無条件の愛

無条件の愛と条件付きの関係

無条件に人を愛することは可能なのでしょうか?答えはイエスですが、その正しいニュアンスを理解する必要があります。

神経科学の研究者たちは、私たちの脳は、無条件に愛するように設計されているという驚くべき主張をしています。

脳と無条件の愛

カナダのモントリオール大学のマリオ・ボーリガード博士とジェローム・コートマンチェ博士は、無条件の愛について非常に興味深い研究を行い、無条件の愛は、中毒や依存症の過程と同じ神経機構を共有していることを発見しました。

つまり、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、オキシトシン、バソプレシンによって支配される報酬システムが存在します。

無条件の愛はロマンチックな愛に似ています。絶対的な情熱、献身、愛着、そして強い愛情が無条件の愛には混在し、脳はこの種の激しい愛を経験するように設計されています。

しかし、合理的な考えを持つ脳の領域では、しっかりと境界線を設定することを私たちに強制します。

こちらからさらに詳しく:境界線を設定する:自分を愛し守る方法

愛と恋愛関係は別のもの

結局のところ、無条件の愛は感情であることを必ず思い出してください。そして二人の関係は、別のカテゴリに分類されます。ロマンチックな恋愛関係において、愛情だけが大切なものではありません。

パートナーと良好なコミュニケーションが取れない場合、お互いをどれほど愛しているかは関係ありません。相手への共感やお互いに対する尊敬がなければ、愛情だけでは二人の関係を続けるのに十分ではありません。

この矛盾した状況は、しばしば痛みを伴う状況につながります。このような相手の場合は、相手を深く愛しているかもしれませんが、深い関係にはなるべきではないことを理解しましょう。

ご存知ですか?:交際関係にあっても自立性を保つための5つのカギ

無条件に愛しているけれど、別れるべきだとわかっています

ここまでで、無条件に誰かを愛するのは可能であることは理解できたでしょう。しかし、時にこういった愛は苦痛を伴います。間違った相手を盲目的に愛していることがわかったなら、どれだけ辛く難しいことであっても、自分自身のためにも相手と別れることを選ぶべきです。

もちろん相手と別れたからといって、前に進むことは簡単ではありません。相手との別れを選ぶことで、精神面でも感情面でも徐々に良くなっていくことは理解できても、いつまでも相手への無条件の愛情を感じ、二人の関係が終わった後でも、その感情が持続するケースもあります。

無条件の愛

上手に愛するというのは、条件と境界線を持っていること

相手とも境界線を持つのは、私たちが考えるよりもより健全で大切なことです。境界線を維持するのが簡単ではない状況もありますが、全体的には様々な人間関係を改善し、皆が幸せになるのに役立ちます。

無条件の愛は実際に存在します。それは私たちの誰もが知っていることです。しかし相手との関係性において、特に恋愛関係においては、しっかりとした境界線と条件を設定する必要があります。

また子育てにおいても、同様です。もちろん親として情熱的に、そして無条件に子供を深く愛することもできます。子供は可愛いので無条件の愛に値する!と考える人も少なくありません。

しかし、子供が望んでいるものをすべて与え、子供が望む行動をすべて認め、公共の場でかんしゃくを起こしたり叫んだりさせていいわけではありません。

つまり、相手の全てを受け入れることが、全ての物事を円滑に進めるわけでもなければ有効でもありません。誰かに愛情を持って接してより深い関係に進む時には、お互いが設定した境界線と条件を尊重する必要があります。

愛情を維持したまま、自分が快適さを感じる「避難所」を持つことも大切なのです。

  • Beauregard, M., Courtemanche, J., Paquette, V., & St-Pierre, É. ́ L. (2009). The neural basis of unconditional love. Psychiatry Research – Neuroimaging172(2), 93–98. https://doi.org/10.1016/j.pscychresns.2008.11.003