眠っている間にニューロンでは何が起こっているのか
睡眠が十分とれないと、疲れを感じやすくなりますよね。良い睡眠をとらないと心と体の両方に深刻な影響を与えてしまいます。なので、良い睡眠は神経系を持つ生き物全てにとっての必須なのです。では、私達が眠っている間、ニューロンでは何が起こっているのでしょう?
科学では睡眠が重要な機能であるということが言い続けられています。実際、長時間睡眠がとれないと死んでしまうこともあるのです。
さらに、「ネイチャー・コミュニケーションズ・スリープ」という雑誌に睡眠中のニューロンに関する興味深い記事が掲載されました。それには、睡眠にはニューロンに発生する遺伝的なダメージを軽減させる染色体の力を高める効果があると述べられています。また、その他にも睡眠の本当の目的だと考えられていることがいくつか述べられていました。
- 高分子の生合成を助けるため
- エネルギー節約を助けるため
- ニューロンの生成力を助けるため
- 長期記憶の統合を高めるため
眠っている間に起こっていること
上記に挙げた研究によると、1日を通して受ける脳細胞のDNAのダメージを修復するのに最適な時間は睡眠中だと言われています。ですので、睡眠をとると、ニューロンの遺伝的なダメージが大きく減少するのです。これによって、細胞の誤作動の可能性が減ります。
忘れてはいけないのは、長期的に蓄積された遺伝的なダメージは神経変性疾患やそのほかの神経障害に繋がる可能性を持っているということです。だからこそ、質の高い睡眠をとることは重要だと言えるのです。
ニューロイメージング法(神経画像処理)では、睡眠中の方が起きている時より分子レベルで神経細胞の染色体がDNAを圧縮、またはディコンプレス(圧縮を戻す)する力が高いことが示されています。
この遺伝的な物質修復はニューロンで観察されています。それは特に概日リズムに頼っているのです。解剖学的な構成要素に属するその他の細胞タイプではこのような回復の顕著な違いが見られないようです。
以上のようなことから、細胞ダメージの修復を促進する睡眠は他のシステムとの関係より、ニューロンにおける関係が強いという結論を出すことができます。
つまり、進化の観点で言うと人間はニューロンを健康に保つ戦略が必要だったということです。その戦略こそが睡眠で、この独特のメカニズムを持つプロセスは間違いなく最適なものだったと言えます。
一方、研究ではダメージ修復のメカニズムは反対に働くこともあるという発見もされています。実際に、遺伝子配列にあるエラーの蓄積は睡眠を介して遺伝子修復メカニズムの開始を促進することもあるようです。
さらに、脳の活動におけるニューロンのDNAを構成するヌクレオチド鎖(さ)のダメージに影響する要因には酸化ストレス、放射線、また薬物の使用が挙げられます。
重度の睡眠不足は死に至る可能性がありますが、これは何世紀も知られている事実ですが、現在では、睡眠不足によって発生する遺伝子修復の欠陥だという発見に基づいて述べられています。
ですので、私達は睡眠やそのサイクルにできるかぎり健康でいられるよう意識を向けるべきでしょう。まさに、質の高い睡眠は質の高い人生なのです。
「世界で最も良い消しゴムは良い睡眠だ。」
―オーランド・アロイシス・バッティスタ―