ポリアンナの原理:ポジティブな面だけに焦点を当てる能力

2019年3月18日

ポリアンナの原理は、エレナ・ホグマン・ポーターの小説が元となっています。この小説の主人公である少女、ポリアンナは、物事のポジティブな面だけを見るという能力を持っています。その不屈で確固とした楽観主義は、私たちがもっと幸福に暮らすための手助けとなり得るような考え方を明確に示す模範として描かれています。

この心理学的原理が提唱するように、本当にポジティブな面だけを見るべきなのでしょうか?多数の読者が疑いを持っても不思議ではありません。こういったバラ色のレンズを通すと、物事を見る時に別の観点からは見れなくなってしまうことがあります。例えば、その事項に関連があって、逃してしまうと現実がゆがんでしまうような観点です。

「このゲームは、どんな状況でも嬉しく思えるような事を探す遊びなの。」

-ポリアンナ-

マーティン・セリグマンに端を発するポジティブ心理学のブームは今、重要な変革期にあります。バッキンガム大学はこの理論の基礎を用いた教育を世界で初めて取り入れた機関ですが、こういった機関は現在その土台部分を変えようとしています。そのうちの一つが、幸福の定義に関するものです。

ある意味では、この「新しい」ポジティブ心理学は、より幸せになることだけを教えることを放棄したという言い方もできるでしょう。そういった自己救済本の中で語られる有名な幸福論は、この新しい見解にその座を譲り始めています。これは、ネガティブな事柄や困難に立ち向かうためのヒントをくれる考え方です。なぜなら人生において私たちが経験するのは、ポリアンナがかつて見ていたような素敵で楽観的な物事ばかりではないからです。

ポリアンナ

ポリアンナの原理とは?

孤児となったポリアンナは、辛辣で厳しい叔母、ポリーと暮らさねばならなくなります。それでも彼女は楽観主義を失うことなく、小さい頃に父親から教わった哲学の通りに生きることを徹底します。その哲学というのは、自分は自分の世界を変えることができるという考え方と、物事のポジティブな面だけを見る、というものでした。これにより、状況がどんなに不運なものであっても構うことなく、ポリアンナは彼女を取り巻く環境に楽観的に、そして積極的な決断力を持って挑むことができたのです。

同様に、この文学上のキャラクターは他の登場人物にも重要な影響を与えました。遅かれ早かれ、彼女の陽気な人柄は意地悪で冷淡で悲しみにくれているような人々にまで打ち勝ったのです。エレナ・ホグマン・ポーターの本は完璧なポジティブ主義のメッセージを世界中に伝えました。結果として、この楽観主義は1970年代の心理学者であるマーガレット・マトリンやデイビッド・スタングに大いに影響を与えました。

誰がポリアンナの原理を取り入れているのか?

  • 1980年代から始まった研究の中で、マトリンとスタングは、はっきりしたポジティブ思考の人々は彼らを取り巻く不愉快な刺激や危険な刺激に気づくのが普通よりも遅いということを証明しました。言い換えると、多くの人が提唱したようにポジティブな人々は現実が見えていないのではなく、ただ反応が遅いというだけだったのです。
  • ポリアンナの原理の中で言われているのは、生活の中でネガティブな事実や出来事に遭遇したとしても、ポジティブなものだけに目を向けなくてはならない、ということです。ネガティブな出来事に巻き込まれたら、最も楽観的なやり方でその状況を見つめ直す努力をすべきなのです。
笑う顔のボール

ポジティブなものに重点が置かれた、偏りのある記憶

イェール大学の著名な神経生理学者であるスティーブン・ノベーラ博士は、ポリアンナの理論に基づいて人々が作り上げる間違った記憶についていくつか研究を行ってきました。ポリアンナの原理に関する興味深い事実として、楽観主義者たちは、一般的に、人生で起こったネガティブな出来事についてあまりよく覚えていない、というものがあります。

一方でポジティブな出来事に関する彼らの記憶は最上で完璧です。彼らにとって、心の痛みを伴うような記憶は重要ではないのです。

ポジティブ思考と言語:私たちは皆ポリアンナ

2014年に、コーネル大学では私たちの言語が攻撃性に偏る傾向があるのか、あるいはもっとポジティブな方向に向かうのかを明らかにする研究を行いました。ピーター・ドッズ教授とそのチームは、10の異なる言語の中の10万語以上の言葉を分析しました。その分析対象にはソーシャルメディア内で行われたやり取りまでも含まれています。

彼らは、私たちが誰かに送るメッセージに含まれる感情は、ポジティブな方向性である事を明らかにしました。この結論は、マトリンやスタングのものと一致します。これにより、私たちはポリアンナの原理に近い考え方をするのだということが証明されたのです。

ポリアンナの原理に対する批判

心理学者の中には、これをポリアンナの原理と呼ぶ代わりにポリアンナ症候群と呼ぶ人もいます。この用語の変更は、もしこのポジティブ性が過激になりすぎた時の限度や困難な面についての注意を促す目的があります。

例えば、もし私たちが人生のポジティブな面にしか気を配らずに生きていたら、何か困難と直面した際にこれに立ち向かうのが難しくなりかねません。ポリアンナの原理はいくつかの状況に置いては役に立ちます。いつでもポジティブで明るい態度でいることで自己啓発にも繋がるでしょう。しかし、ネガティブな状況を経験し、そこから学ぶこともまた大切なことです。私たちの現実生活は、光と闇の両方でできているのです。いつでも明るい方だけを選ぶなんて不可能ですよね。

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では私たちはどうすべきなのでしょうか?ポリアンナの原理に従うのは適切なことなのでしょうか?この問いに対する答えのカギは、バランスです。理想的なのは、ポジティブな方に向きながらも、困難さから逃げ出さないような見解を持つことです。ポジティブ心理学は刺激的で影響力がありますが、自分たちの身にふりかかるものをいつでもコントロールできるわけではありません。

どんな状況にでも対処できるように準備しておかねばなりませんし、光にも闇にも、そしてその中間のグレーにも向き合っていく必要がある事を知っておきましょう。