楽観主義と健康の関係性とは?

23 8月, 2020
楽観的な人々は、失う可能性があるものではなく勝ち取れる可能性があるものの方に意識を向けています。生活にこのような観点を取り入れることは、楽観主義と健康との関係性と関連しているのでしょうか?

楽観的な人々の方が、自身の抱えている問題により効率的に対処することができます。苦境があったとしても自分にはやりたいことができるのだと固く信じており、諦めることは滅多にありません。さらに、コーピングスタイルが普通の人より積極的なものの場合が多いのです。楽観的な人々は、失う可能性があるものではなく勝ち取れる可能性があるものの方に意識を向けています。生活にこのような観点を取り入れることは、楽観主義と健康との関係性と関連しているのでしょうか?

膨大な数の研究(自己申告、医療専門家によって作成された健康予測、通院回数や心臓病経験後の生存期間の計測)により、楽観主義は良好な健康状態の予測因子であることが証明されています。これらの研究の結果に基づくと、楽観主義と健康との相関係数は0.20〜0.30であると結論づけることができます。それではこれについて詳しく見ていきましょう。

楽観主義のタイプ

「楽観主義」と聞くと、普通私たちはポジティブで好ましい結果を期待する様子を思い浮かべると思います。これは人々の心身のウェルビーイングと深く関連しています。ただ、楽観主義にも以下のような二つの異なるタイプがあります。

  • 特性的なもの:これは私たちが通常考える楽観主義です。良い結果を得ることへのポジティブで継続的で全般的な期待を指します。このタイプの楽観主義は比較的安定していると考えられます。
  • 状況的なもの:特定の文脈や状況、ストレスフルな出来事などにおいて良い結果を得ることを具体的に期待するような楽観性を指します。
楽観主義 健康

主に研究対象となってきたのは特性的な楽観主義の方で、どうすれば人々に楽観主義を一般化させられるのかを解明しようという試みがなされてきました。そんな中SheierとCarverは、楽観性尺度(LOT)というテストを開発しています。このテストは、一般化された期待、つまり、ポジティブな結果を期待する特性的な楽観性を計測するためのものです。

私たちのウェルビーイングに影響を与える要因

楽観主義とウェルビーイング、およびポジティブな効果は全て直接的に関連し合っています。自身が高レベルにいるのか低レベルにいるのかは、以下のような要因で決定されます。

  • パーソナリティ:Myers(2000年)によると、私たちの主観的なウェルビーイングの大部分は自身のパーソナリティ次第で決まるそうです。詳しく言うと、幸福感の50%が遺伝的要因によるものだと説明することができます。だからこそ、楽観主義の傾向は時間を経ても比較的安定しているのです。
  • 富:お金は幸せとイコールではありません。個人的なレベルで言うと、裕福になることと楽しさを感じられることとは何の関係もありません。実は、常により多くのお金を稼ぎたいと願っている人の方がそうでない人々よりも不幸である場合が多いのです。
  • 対人関係:他者と親しい関係性を築くことは、人間にとって基本的で欠かすことのできないニーズです。有意義な人間関係を築けている人のほとんどが、そうでない人よりも幸福を感じています。
  • 目標の達成:目標を達成することで確実にウェルビーイングを高めることができます。

ポジティブな感情と楽観主義、そして身体の健康

楽観的な人々は、問題を直接的に解決するための戦略をよく用います。その状況を自身の手でコントロールできると感じている場合は特にその傾向が強いです。彼らは自身の置かれている状況を自らの手で変えることができると考えているので、実際に行動を起こしてからそれを評価します。しかし、悲観的な人々は最初に状況を評価し、確信を持つことができて初めて行動するのです(Sanna, L.、1996年)。

ポジティブな感情は、免疫グロブリンAの増加と関連しています。この抗体は病原に対する防御機構の最前線で働いていると考えられています。これらの感情による効果は直接的なものだけではありません。幸せを感じている人には以下のような主観的効果も見られます。

  • 悲しみを感じている人よりも身体症状が現れなくなる。悲しんでいる人々の方がより苦痛を多く感じる傾向があります。
  • 悲しみを抱えている人に比べて「自分は弱い存在だ」と考えなくなる。そのため、健康状態を保つことが容易になります。
  • 自分には健康を促進するような行動に従事する能力があり、病気を抑え込むことができる、という強い自信を持てる。

“朝の間に一つでもポジティブな考えを持つことができれば、その日全体を変えることができる”

ダライ・ラマ

楽観主義 健康

楽観主義と健康の関係性の説明となるメカニズム

この二つの側面の相関関係を理解するための以下のような三つのメカニズムが存在します。

  • 生理学的メカニズム:楽観主義者のストレスに対する心血管反応性は通常よりも低く、免疫状態は高くなります。つまり、整体防御力が普通よりも強く、健康問題にも悩まされにくいということです。
  • 情緒的メカニズム:楽観主義と健康との関係性は、情緒状態を間に挟んだ間接的なものです。ネガティブ思考は、心血管系および免疫系の機能低下に繋がります。
  • 行動的メカニズム:楽観主義者たちは悲観主義者よりも健康に良い行動をたくさん行う傾向があります。健康的な行動、つまりエクササイズをしたり飲みすぎないようにしたり、バランスのとれた食生活を心がけたり、危険な行為をしないといった行動の仕方は、実際により良い健康状態を保つのに役立ちます。

決定的な自己申告

数多くの研究により、楽観的な人々は悲観的な人々よりも満足感の高い形で病から回復する傾向があることが結論づけられています。この考えを支持するような証拠は次の通りです。

  • 外科手術:このタイプの手術を経験した患者に対して縦断的に行われた研究では、ある決定的な結果が得られました。手術前、楽観的な患者たちの示したネガティブな感情や敵意、抑うつ感情などは、その他の人よりも低いレベルだったのです。
  • ガン:乳ガン診断プロセスの間ポジティブな態度を貫いた女性たちは、医療介入の前後両方で通常よりも低い苦痛レベルを示しました。
  • HIV感染者:楽観的なHIV陽性者の見せる病気の進行に関わるネガティブな感情や不安は通常の患者のものよりも低レベルであることがいくつかの研究で示されています。
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楽観主義とこれがもたらす影響についてご紹介しましたが、ここから先も目標達成を目指してポジティブな態度を維持するかどうかはみなさん次第です。ただ、確実に言えることが一つあります。それは、ポジティブな精神状態を貫くことで、健康状態や気分、そして全体的なウェルビーイングを改善できるということです。