婦人科ガンと不安感の関係性とは?

本日の記事では、婦人科ガンを患う女性たちに弊害を与え得る不安感やその他の精神状態についてお話しします。女性たちの健康へ悪影響が及ぼされることを避けるために、治療は不可欠です。
婦人科ガンと不安感の関係性とは?

最後の更新: 26 7月, 2020

女性のガン患者は男性のガン患者よりも苦しみが強いのでしょうか?これが、私たちが本日答えを出そうとしている疑問です。そのために今回は、婦人科ガンの患者に現れる気分の変調や不安感に関する研究を見ていきましょう。この分析により、ジェンダーに基づくアプローチが患者にとって有益なものなのか否かを判断しやすくなるかもしれません。

ガンはどんな形態のものであれ、個人の生活のあらゆる側面に弊害をもたらすストレスフルなライフイベントです。ガン患者それぞれの独自の経験は、数多くの要因から影響を受けます。例えば家族からのサポートや交友関係の輪、年齢、利用可能なリソースなどの要因です。また、ジェンダーという要因も、患者の経験が培われる上で大きな役割を果たすかもしれないことが、学術文献などで提唱されています。

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男性と女性のガン罹患経験に見られる違い

特定のタイプのガンに対する感受性は、男性と女性とで異なります。ジェンダーに基づく観点がなぜ重要なのかを理解する上で、この事実が重要なのかもしれません。

ボラス(2015年)は、婦人科腫瘍(乳ガンはこのカテゴリーに含まれるとする)は女性に見られる全ての腫瘍のうちの40%を占めている、と述べました。男性に関しては、前立腺ガンによる腫瘍が占める割合はほんの22%で、もっと多いのが肺ガンや大腸ガンです。

また、男性のガン患者と女性のガン患者とでは生存率も異なります。スペインの例を見ると、女性に最も多く見られるガンである乳ガンの5年生存率は83.8%です。そして前立腺ガンの生存率は84.7%である一方、肺ガンとなるとそれが一気に10%に下がります。肺ガンが男性に見られる腫瘍全体に占める割合は50%です。結果として、女性ガン患者の死亡数は男性ガン患者よりも少ないように見えます。ただ、症状は同一ではないという点に注意することが重要です。

乳ガン治療に求められるもの

女性の主な死亡原因の一つが乳ガンであるという事実は、ガン治療にも大きく関わる事実です。症状は人によって変わってきますので、それぞれのガンが必要とする治療や対応も同様に異なります。

女性に最も多く見られるガンである乳ガンのケースに関しては、ジェンダー(社会的かつ文化的カテゴリー)が重要な役割を果たしているようです。

カニカリ、ゴンカルベス、ピレ、コスタ、およびコスタ(2012年)は、乳ガンにより身体的な不快感を感じたり患者の自己像の変容が起こるため、ライフスタイルの変化という要素もこの病気に含まれるはずだと指摘しました。

彼らは乳ガンを患う女性たちの経過を観察し、彼女たちの自尊心が低くなっていることや性欲がかなり減退していることも発見しました

さらに、彼らが参照した別の研究では、乳ガン患者の不安症状やうつ病の有病率が臨床的に見て非常に高いことが提唱されています。ここで話題にされているのは、緊張状態や不特定の恐怖感、そして全般的な心配といった症状です。

手術前段階にいる患者が感じている懸念

オリバレス(2004年)は、婦人科ガンの心理学的側面を研究しました。そのうちの一つである不安症状は、手術を終えた患者に関しては回復の前兆であることが判明しています。

乳ガン患者の不安症状が重視されるのは、手術前に不安のレベルが高いと、手術後の痛みや苦痛が強まってしまうことがこの研究者によって明らかにされているためです。また、こうなるとさらなる薬物療法が必要になったり、入院生活が長引いてしまいます。

サーモン(1992年)もオリバレス(2004年)と同様に、手術前の不安症状と手術後の不安症状の程度の間には正の相関があることを発見しました。また、彼は術後のうつ症状とも正の直線関係があることも明らかにしています。

ガンを抱える女性たちは何を不安に思っているのか?

乳ガン患者の不安をより理解するためには、乳ガンを抱える女性たちの具体的な懸念事項を調査することが重要です。

一般的に考えてもこの病気がストレスや恐怖の元になることは容易に予想できる一方、モタ、アルダナ、ボオルケス、マルティネス、およびペラルタが2018年に行なった研究では、女性ガン患者に不安感を生み出す具体的な要因が特定されています。以下がその主な要因です。

  • 死が近いという感覚。
  • ガンに対する誤った思い込み。
  • 自分自身の苦しみを予測してしまうこと。
  • 家族や友人の苦しみを想像してしまうこと。
  • コントロールを失っているような感覚。
  • 信念の揺らぎと、超越への欲求。
  • 過度に注意深くなる、あるいは十分に注意力を持てていない状態。
  • 刺激の欠如、あるいは過度な刺激を受けている状態。
  • 健康状態:体力の低下、吐き気、拒食症、嘔吐など。

患者が経験する不安感の種類は、彼女たちの年齢やガンの種類によって異なります。例えば乳房切除術を経た女性たちはよく、欲求不満や悲しみ、不安感、うつ病といった症状を報告します。

乳ガン患者にとって、経験する不安が家族生活や社交生活の妨げとなってしまうことが多いようです。

ガン経験後のボディイメージとセクシュアリティ

ガン患者の多くが、病気の深刻さがピークにある時期に不安感を経験します。さらに、婦人科ガンを患う女性たちは生理学的変化も味わうことになるので、それがガン闘病後のウェルビーイングに大きな影響を与えます。

ガルシア-ビニエグラスとゴンサレス(2007年)によれば、自信や情緒面の安定、強靭さ、ポジティブな感情、そして自尊心が、生涯を通じて個人の自尊心を条件付けるそうです。ガンを経験した後、多くの女性たちがこれらの要因のいずれかに関して苦しみを味わっています。

セバスチャン、マノス、ブエノ、マテオス(2007年)は、ガン闘病には大抵手術がつきもので、身体面でも変化が起きることが多いものの、そういった身体の変化に内包される心理社会的な意味合いは特に女性たちにとって甚大である、と主張しました。

これは、私たちの社会では、女性性を語る上で胸がかなり重要視されているためです。例えば、片方の乳房を失うことが、女性らしい部分が消えてしまうことであるかのように感じる女性たちは多くいます。

それだけでなく、胸はセクシャルパートナーを惹きつけ、捕らえておくという女性の能力においても欠かすことのできない役割を担っていると考えられてもいます。乳ガンの手術や治療を経験することで、この点に対しても何らかの影響が出てきてしまうことが普通です。

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セクシュアリティの問題を経験するのは乳ガン患者だけ?

婦人科ガンを患う女性たちは、そのガンの種類に関係なく、悲しみや自己像の問題、セクシュアリティの問題、そして不安感を経験し得ます。こういった問題は乳ガン患者に限られた話ではないのです。

オリバレス(2005年)は、子宮頚ガンの患者が治療後5年間にうつ症状や不安症状、そして慢性的な性の問題を経験することを説明しました。この研究では、子宮ガン患者のなかで、55%の女性たちがセックスが困難になり、33%の女性たちが治療後に一切セックスをしなかったことが明らかになっています。

婦人科ガン患者の身体の健康には、メンタルヘルスを好調に保つことが必要不可欠

どのような治療であれ、患者によって異なる結果がもたらされます。ここまでの内容では、恐怖や悲しみ、不安感、そして自尊心の減退が婦人科ガン患者に共通する要因であることを見てきました。

ここでもう一つ指摘しておく必要があるのが、こういった心理的な変化が実は病気自体の発達を促進してしまう恐れがあるという点です。それを踏まえると、女性ガン患者が適切なメンタルヘルスのケアも受けられるようにすることの重要性がより分りやすくなると思います。

治療を、化学療法だけで終わらせるべきではありません。女性たちには、医療介入が始まる前に感じる不安感に対処するためのリソースが必要です。したがって、胸や膣が女性のセクシュアリティや女性らしさを決定づける、などの誤った因習的な通説を打ち破るためのメンタルヘルス教育プログラムを提供し、自信や自尊心を治療目標の土台にしていくことが望まれます。

究極のゴールは、ただ患者の身体的な健康だけでなく、全体的なウェルビーイングの向上を目指して定めるべきなのです。


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