ロス・ローゼンバーグとヒューマンマグネット症候群

ロス・ローゼンバーグとヒューマンマグネット症候群

最後の更新: 26 11月, 2018

ヒューマンマグネット症候群とは、心理学者でありセラピストでもあるロス・ローゼンバーグによって確立された概念です。これはまた、とても売れた本のタイトルにもなっています。それは、ローゼンバーグが発見したある現実について書かれています。その内容は、私たちは遅かれ早かれ私たちを苦しめることになるような人に、強く惹かれてしまうというものです。

この理論によれば、人々の間の「化学反応」と私たちが呼んでいるものは、機能不全の魅力でしかないのです。この化学反応には二つの衝動があります。一つは愛、もう一つは戦争です。つまりは、最終的には問題になってしまうような人に、私たちは強く魅力を感じるのです。

これが、なぜ私たちが安定と愛情を与えてくれるような素晴らしい人を探そうとしない人がこんなにも多いのかについての理由を説明しています。恋愛のこととなると、「正反対の人同士が惹かれあう」というのを聞いたことがあるのではないでしょうか。ヒューマンマグネット症候群は、その理由を説明してくれています。

「本質的に機能不全である「共依存のダンス」には、二人の正反対ですが、バランスの取れたパートナーが必要です。それは相手を喜ばせ、与えようとする共依存者と、常にかまってほしく、人をコントロールするのが上手なナルシストの二人です。」
―ロス・ローゼンバーグ―

ヒューマンマグネット症候群の行動

ヒューマンマグネット症候群に苦しんでいる人は、相手に出会った時に強い魅力を感じています。その人は特別で、自分たちには他にはないつながりがあるという激しい感情を抱きます。また、その人と親密な身体的つながりを得たいと強く願います。そして最後に、できる限りその人に近づきたいと思うのです。

人々はこの強い魅力に我を忘れ、そのためとても強烈な恋愛が始まります。相手が「最愛の人」であるという風に感じます。その人が自分にとって完璧なマッチングであり、自分を幸せにしてくれる人なのだと思うのです。

しかし遅かれ早かれ、問題が生じます。それは嫉妬からかもしれませんし、意見の相違や独占欲など、本当に色んな事が原因になります。その瞬間、かつてあなたをものすごく幸せにしてくれた人が、苦しみの源になり始めるのです。お互いに深く傷つけあい、総力戦に備えて塹壕を掘ります。そんなことをするのに、別れるのはとても難しいのです。

傷つけあうのに別れられない恋愛関係

ナルシシズムと共依存

ローゼンバーグによると、ヒューマンマグネット症候群の典型的な形は、二つのタイプの人間で構成されてます。それは、共依存者とナルシストです。彼はまた、全ての恋愛関係にはある程度の共依存が存在していると指摘しています。しかし本当に問題になるのは、それがこの関係性の主な特徴になり、大きな面倒を引き起こしてしまうときです。

共依存とは、一切の制限なくパートナーの一人が相手に自分を捧げるという意味です。自分のできる限りを捧げようとし、それを遮るものも限界も存在しません。もう一人の人物は、ナルシストで、このような常に自分に尽くしてくれるパートナーがいることが大好きです。愛情や注目、ケアでもってそれに応じます。この時点では、全てが完璧にバランスが取れ、調和しているように思えますね。

共依存とナルシシズム

しかしすぐに、ナルシストがさらに多くを要求するようになります。相手が自分のすべてを捧げているのにも関わらず、何かが欠けているように感じるのです。時がたつにつれ、自分が受け取っているものでは物足りなくなってしまいます。そしてもっともっとと要求し始めるのです。

共依存者は、自分は十分ではないのだという風に感じてしまいます。相手は自分のことは本当は必要ではないのではないかと考えます。そして不安でいっぱいになり、もっと相手に与えようとしますが、最終的には相手の無関心さに不満を覚えてしまうのです。

終わらない苦しみ

ヒューマンマグネット症候群に苦しむ人は、時間をかけて、つらく息の詰まる関係を築いてしまいます。しかし相手へ感じる魅力はなくならないのです。時には、お互いに傷つけあったために、魅力を一層強く感じることもあります。

そしてなぜか共依存者はコントロールされ続けることを望みます。ナルシストの方は絶望的に「崇拝する追従者」を欲しています。それが本当にお互いを傷つけあうだけのこの関係性が終わらない理由なのです。そして最後には、バランスが崩れた状態のままになるのです。

ここで起こっていることは、中毒症状とそう変わりません。最初は本当に心地よく、幸福感でいっぱいでした。これを「幸せ」と呼ぶ人もいます。時がたつにつれてこの心地よさがなくなってしまい、苦しみが代わりに訪れても、最初に感じた喜びがなくなってしまったということを受け入れようとしないのです。強迫観念的に、あの素晴らしい感覚を探し求めるのです。

なくなった感情を追い求めてしまう

心理学的な観点からは、共依存者とナルシストは正反対です。それがお互いを補完しあうという理由になっているのです。こういった人々が、相手を「自分の良い方の半分」と呼ぶのを聞いたことがあると思います。それはこの場合は本当ですが、実際はノイローゼでしかないのです。

ヒューマンマグネット症候群は、私たちがなぜ自分を苦しめる人を「愛する」のかについて語っています。それはこういったことが起こると、真実の、嵐のような力強い愛ではなく、関係の中でどんどん強くなるノイローゼになってしまうのだということを説明してくれているのです。

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