サピオセクシュアリティとは一体何?

23 1月, 2020
サピオセクシュアルの人々にとって、深くて親密な会話ほど魅力的なものはほとんどありません。身体的な外見を重視するのではなく、彼らは知的な繋がりを重要に思っています。

サピオセクシュアリティという言葉は、もう一つの性自認を表す用語としてますます広まってきています。2014年にニューヨークタイムズが、彫刻のような完璧な肉体よりも、人は興味深い会話に気持ちを掻き立てられるという内容の記事を出しました。魅力の性質が変化しつつあるのでしょうか?

その答えは完全にイエスです。サピオセクシュアリティは、他者の知性に魅力を感じるセクシュアリティと定義されています。サピオセクシュアルの人々にとって、興味深い会話は精神的な前戯のようなものであり、知性は強力な性的誘惑ツールなのです。もちろん、知性とエロティシズムの間の結びつきは古くから存在していて、プラトンでさえ紀元前380年にこれについて発言を残しています。

現代と過去とで異なるのは、これが非常に多くの人に広まっており、科学者たちに対してこの用語を認識させようという試みが行われている点です。彼らは物知りで知的で、考えるきっかけをくれたり好奇心や尊敬の念を起こさせるような人物に会うと、深く惹きつけられるのです。

“脳も心のように、感謝してもらえる場所へ向かうものだ”

ロバート・マクナマラ

サピオセクシュアリティ

頭脳が誰かの最もセクシーな特性となるとき

“サピオセクシュアリティ”という用語へのよくある批判として、エリート主義者ではないのか、と責めるものがあります。つまり、もし魅力が高度な知能に左右されるのであれば、平均的なIQの人々や知的障害のある人々は完全に阻害されてしまう、という批判です。

しかしサピオセクシュアルはこの魅力の感じ方は全くエリート主義的ではない、と主張しています。自分たちの願望は高い知能を持つ人と一緒にいたいということではない、と彼らは言っているのです。そうではなく、言葉や知識を介して情緒的に繋がり合えるような相手を見つけることを目指すセクシュアリティだということです。

純粋に知性にのみ魅力を感じることは本当にあり得るのか?

2017年に、ニューヨークタイムズはサピオセクシュアルを自認する人々のインタビューを記した、非常に興味深い記事を発表しました。あまりにもたくさんの恋愛関係がオンライン上で始まる現代という時代に彼らが語ったのは、それまでの自分たちの他者との交流方法について感じていたフラストレーションや退屈さでした。

この記事でインタビューされた人々にとって、写真を交換しあったり身体的外見を基にした表面的な会話をすることはは非常に残念なものに感じられたのです。そのため、ワクワクするような奥深い会話を楽しめそうな相手を見つけたとき、興奮を感じ、惹きつけられたということです。

そうは言っても、本当に会話だけで誰かに性的に惹きつけらることなどあるのでしょうか?西オーストラリア大学による研究では、18歳〜35歳の人の8%がサピオセクシュアルである、と結論づけられています。しかし、一説によれば、“OkCupid”などのマッチングサイトでは、サピオセクシュアルは30歳〜45歳の人々の間でより広まっているようです。

この研究の主導者であるGilles Gignacは、一部の人にとっては知性が性的魅力を感じる要因となる、と結論づけています。知的な男性あるいは女性は、従来のありふれた浅薄さを超えたところに連れ出してくれるため、性的な興奮を引き起こすというのです。また、私たちには知性を他人に敬意を払える、優れた意思決定ができて理解力のある人物と結びつける傾向があります。

サピオセクシュアリティ

知性とは、別の種類の美しさである

サピオセクシュアリティに疑いを持つ人々は多くいます。しかしこういった新たな言語的パラダイムはより頻繁に登場するようになっているのです。プルビオファイル(雨好きの人)やビブリオファイル(本好きの人)といった言葉は、古くから存在していた考え方を説明するために発明されてきた用語です。

ここではっきりさせておかねばならないのが、サピオセクシュアリティは性的指向とは一切関係ない、ということです。性教育者でインディアナ大学の公衆衛生教授であるデビー・ハーべニック博士をはじめとするこの分野の専門家は、サピオセクシュアリティとはアイデンティティである、と説明しています。

多くのヘテロセクシャル、ホモセクシャル、そしてバイセクシャルの人々がサピオセクシュアルを自認しています。彼らは知性を性的な魅力と捉え、身体的外見は特に関係ないものだ、と考えているのです。しかし前述の通り、本当に相手の見た目を気にかけない人々がいるという事実は、なかなか飲み込みづらいものです。

とはいっても、サピオセクシャルの人々が美しさを認識できないわけでも、美を拒絶しているというわけでもありません。彼らはただ、外見の美しさでは知性に感じるのと同じ類の興奮や魅力の引き金とはならない、と主張しているだけなのです。彼らは会話や言葉遊びに刺激を覚えます。それは単に一方の人物から相手へ流れていくような会話であったり、重要な話題を深く掘り下げる会話だったり、本物の恋心を抱けるような会話なのです。

  • Gignac, G. E., Darbyshire, J., & Ooi, M. (2018). Some people are attracted sexually to intelligence: A psychometric evaluation of sapiosexuality. Intelligence66, 98–111. https://doi.org/10.1016/j.intell.2017.11.009
  • Walton, M. T., Lykins, A. D., & Bhullar, N. (2016). Beyond Heterosexual, Bisexual, and Homosexual: A Diversity in Sexual Identity Expression. Archives of Sexual Behavior, 45(7), 1591–1597. doi: 10.1007/s10508-016-0778-3