制御不能!誰かこの世界を止めて!もういっぱいいっぱい

2019年1月26日

あなたは、全てがもう手をつけられないほどに制御不能だと感じたことはありますか?あまりに切羽詰まっているために、一瞬でいいからこの世界を止めたいと思ったことはありますか?こうした状況は、もう無理だと思った時に誰もが経験したことがあるでしょう。日々の辛くて単調な仕事やストレスは、通常、穏やかな精神状態をもたらしてくれるものではありません。

切羽詰まった状態にある時、不満が募り苛立ったり怖れをなしてしまいがちです。こうした気持ちは時に怒りや自暴自棄といった形で表れます。そうした精神状態は全て、その状況を打開するのに正しい道を見つけるのが難しい思考へとつながっていきます。

まずは行動する前に、自分に何が起こっているのかを理解しなくてはいけません。時として、必要なのは、息をして、自分の気持ちを徹底的に分析するだけだったりします。制御不能だと感じた時にはどのような手順を踏むのが良いか、見ていきましょう。

恐怖のはたらき

恐怖という感情は、脳が自分の存在を脅かすと判断する状況に遭遇した時に襲う感情です。 現実には、恐怖はあなたを怖がらせるのではなく、行動にうつす準備をさせることが目的の感情です。恐怖はあなたを守りたいのです

恐怖という感情が起こる生物学的なメカニズムは、生存に関わる中枢機能を司る爬虫類脳に備わっています。そして、感情と保護反射神経を司る大脳辺縁系にも備わっています。更には、偏桃体も大脳辺縁系にあります。脳のこの部分が、恐怖や不安といった感情を引き起こす役割を担っている部分です。

頭を抱える女性

その一方で、心理的な面では、恐怖は環境に順応し、自分を守る感情です。ですが、この感情は時に自分が置かれている状況に対して不釣り合いな反応を引き起こすことがあります。

更には、恐怖は怒り、悲しみ、半狂乱的な幸福感として表れることもあります。ですが、恐怖がどのような偽の感情でその正体を隠そうが関係ありません。重要なのは、制御を失った時にその状況に自己肯定的に反応することです。まず、自分は恐怖を感じているということを受け入れなければいけません。そうすることで、恐怖をコントロールすることができるようになります。

制御を失った感覚

恐怖の虜になり、全てが制御範囲外になってしまったと感じたり、制御不能で今起こっている出来事に対して何もできないと感じた時、苛立ちや無力感を感じることが普通です。問題は、恐怖に囚われてしまうと、自分に起こる出来事はめちゃくちゃで、解決なんて絶対できないと思い続けてしまうことです。こうした気持ちが制御不能の感情となります。

この制御不能の感情に支配されてしまうと、固まってしまいます。

こうしたことを踏まえた上で、恐怖と制御不能の感情を合わせると、そうした状況は、自分が現状から抜け出すために世界が止まって欲しいと願うようになるのにぴったりの組み合わせになるのです。残念ながら、世界は止まってくれませんし、状況や人というのは自分の気まぐれで変わってくれません。では、どうすればいいのでしょうか?

朗報は、ちょっと休んだっていい、ということです。事実、内省するために一旦休むことは、次に来る問題を解決するのに役立つ大切な手段です。なぜって?それは、そうした休息を取ることによって別の視点から現状を観察することができるので、より効果的な新しいアプローチを探すことができるからです。

このアドバイスは、いわゆる勢力範囲や制御範囲に基づいたものです。勢力範囲や制御範囲といわれる考えは人文主義心理学者によって広く使われているものですが、特にオーストリアの神経学者であり精神科医であるヴィクトール・フランクルによって展開された理論と関連があります。

勢力範囲または制御範囲とは

制御範囲とは、自分の環境を地形的に見る方法で、自分が環境に与える影響とその環境が自分に与える影響を理解する方法です。そのためには、以下の3つの勢力範囲を広げる必要があります。

  • 注意の範囲:最も制御のきく範囲。思考や行動に関連する。
  • 影響の範囲:完全ではないがいくらか制御のきく範囲。対人関係や家族、職場関係とそうした人間関係の管理と関連する。
  • 心配の範囲:自分に対しては影響力があるかもしれないが、自分では影響を与えることができない範囲。気候、交通状態、他人の考えなど。

なので、制御不能に感じ、世界に止まって欲しい、現状を受け付けることができないためにここから立ち去りたい、と感じている時は、しばしそこで踏ん張って、上記の範囲について考えてみましょう。現実的な行動を計画できるように、現状をそれぞれの範囲に区別し認識しましょう。

自分では影響を与えることのできない範囲をコントロールしようとするエネルギーは全て無駄であり、確実に恐怖や苛立ちと遭遇することになります。

考え込む男性

勢力範囲の意味とは

各範囲を区別し、明確にすることができるようになり、自分の行動の影響範囲が分かってきたら、混沌の現状がほんの少し和らぎます。自動的に、制御不能の恐怖が生み出す麻痺の感覚も弱まっていきます。

自分の行動が影響を及ぼす範囲を分析し、何よりも自分には自分をコントロールする力があると気づいた時に、制御不能の感情が弱まっていきます。

一つ、心に留めておくべき大切なことがあります。頑張って影響力を与えられる状況があっても、最終的な結果はあなた次第ではないかもしれないということです。ですから、エネルギーの大半は、自分なりに現状と立ち向かうために注いでください。

自分に最も近い範囲、つまり自分が最も影響力を持つ範囲は自分自身です。不要な重荷から自分を解放する方法は、努力とエネルギーの大半を自分の行動に注ぐことです。自分のしてきたことに満足できるようなれば、現状が自分の望んでいた通りにならなくても、自分がそれによって影響を受けることがなくなります。

止まれ・・・

世界に止まってくれと頼む前に、一旦、自ら停止し、再度自分にフォーカスしましょう。結局のところ、最も大切なことは自分のしてきたことに満足できるかどうかです。正直に自分は最善を尽くしたと思えるようになったら、そう思えるおかげで最終的に結果は良くなります。

多くの場合、自分が置かれている状況はその状況を変えたいという願望とは別のものです。つまり、あなたはその状況をコントロールすることができないのです。ですが、絶対的にコントロールできるものは、自分の感じ方や考え方です。思考や感情は環境により著しく影響を受けますが、そうした感情や思考をコントロールできる力の大半はあなたにあります。ここにこそあなたはフォーカスすべきなのです。

自分を傷つける状況を変えるという選択肢が自分にはないとしても、苦悩に対してどのような態度を取るかは必ず選ぶことができる。

―ヴィクトール・フランクル―