心理学と社会学の類似点・相違点

02 3月, 2019

社会心理学と社会学、あなたはその違いをご存知ですか?同じように聞こえるかもしれませんが、別物です。一方で、どちらにも共通する事柄というのは確かにありますし、互いに補い合っている部分があることも事実です。

 

初めは社外学と心理学の二つしかなかったのですが、心理学のある分野が社会的なプロセスやグループにおけるプロセスに興味を持ち始めたことがきっかけで、社会心理学が誕生しました。社会心理学」という名前は心理学と社会学が組み合わされたところからきているので、名前が似ているのです。

同様に、社会学の方も心理学が着目するような個々のプロセスに関心を抱き始めました。人々とそれを取り巻く環境との間の交流が、社会学者の関心の的となったのです。

これはつまり、社会学の焦点がマクロな視点(全体像)ではなくなったことを意味します。ですので、おそらくあなたもお気付きのように、一方がもう一方の進展に多大な影響力を持っていましたし、逆もまた然りなのです。最終的にはどちらも一緒に進展してきました。

最近では、どちらの分野の研究も専門化が進んできています。両方とも、もっと具体的で特定の事柄に注力するようになりました。これは、どちらも互いから遠のき始めたことを意味しています。

こうして、社会学者は社会構造(Bourdieu, 1984)や移民(Castles, 2002)といったマクロな不確定要素に注目するようになりました。そして社会心理学の方は、集団同一性(Tajfel and Turner, 2005)または影響力(Cialdini, 2001)といった、ミクロな要素へと焦点を当てるようになりました。

愛憎関係

また、ここで指摘しおくべき点が、どちらの学問も研究対象は同じという点で、それは人間の行動です。とはいえ、社会心理学の方がもっと心理学に近く、直接的にであれ間接的にであれ、周囲の環境がいかに人間の活動や言動に影響するかを研究しています(Allport, 1985)。

一方、社会学は社会や社会的行動、そして社会を作り上げる集団について体系的に研究する学問です(Furfey, 1953)。基本的にはどちらの学問も人と人との関係性について研究しているのですが、その視点が異なっているということになります。

実は、この観点の違いが、二つの学問の距離を広げているのです。その主な違いというのが、心理学では社会的要因が個々人にもたらす影響について研究するのに対し、社会学は社会的現象そのものに焦点を当てているところです。別の言い方をすれば、社会心理学は人間の行動を個々人レベルで研究しますが、社会学では集団レベルで研究するということです。

心理学と社会学の類似点・相違点

社会心理学

社会心理学の最大の目標は、個人と社会との間の相互作用を分析することです(Moskovici and Markova, 2006)。この相互作用というのは、異なるレベルで起こるものであり、学者たちはたいていこれらを個人内・個人間・集団内・集団間という作用に分類して考えます。

基本的には人間間の作用、そして集団間の作用ということです。個人間の作用(人と人との違い)に関しては、情報の処理やそれらの情報を集団間でどう扱うかといったことを研究します。そして集団間の場合(集団と集団との違い)は、個人がアイデンティティを確立する上でその集団が果たす役割とは何か、に焦点を絞ります。

社会心理学では、社会現象をいつも念頭においてはいますが、それがメインの研究テーマとなることはありません。代わりに、そういった社会現象がどう個々人に影響を与えるのかについて研究するのです。ですので、基本的に社会心理学では個人の性格の違いに関係ないところで、そういった社会的要因がどう人々に影響するのかを正確に理解しようとしているのです。

社会学

社会学では、私たちの社会構造を形作る組織がどう出来上がり、どう維持され、どう変わってきたかについて研究します。加えて、あらゆる社会構造が集団や個人の行動に与える影響や、社会的相互作用によるこういった構造の変化についても研究します。

別の言葉で言い換えるためにリチャード・オズボーン(1994)の言葉を引用します。「社会学は一見明白に見えること(私たちの社会がどのように機能しているのか)について、実際にはいかに複雑かを理解していない人々に対して説明する学問だ。」つまり、私たちが日々の生活において当たり前のように行なっていることにも、思いも寄らないような解説が存在し得るのだということです。

心理学と社会学の類似点・相違点

両方の学問で大きな役割を果たす学者達

心理社会学においても社会学においても、重要な学者は数え切れないほどいるのですが、その中でも本当に抜きん出ている数名がいます。学問の世界に足跡を残した全ての偉大な学者をここで取り上げるわけにはいきませんが、今回はこの二つの学問分野で出てきた最も有名な研究者たち数人による理論や方法論をいくつかご紹介します。これらはまた、この二つの学問の違いを理解するのにも役立つでしょう。

  • まず、ピエール・ブルデュー(1984)は何よりもまず、ハビトゥスという概念を提唱した学者として知られます。これは、私たちが物事を見たり行動する際に使用している一連の枠組みです。要するに、ハビトゥスは私たちの思考や知覚や行動に多大な影響力を持っているということを意味します。

この理論では、ハビトゥスが社会階級を説明するための基本要素となっています。社会階級は、そのハビトゥスが持つ特性によって形成されるのです。これが意味するのは、ある行動をすることがその人を特定の社会階級に押しやることになる、ということです。

  • ヘンリー・タジフェルは、ジョン・ターナー(2005)とともに社会的アイデンティティという理論を展開しました。この理論によれば、人々の行動を調整するようなルールがある集団に自己を同一化するには、そこに至るための分類プロセスがあるそうです。集団と自分との境界が曖昧になればなるほど、そのルールに従いやすくなっていきますし、集団に居続けるために何らかの犠牲を払う人までいるのです。

ブルデューが、私たちが世界を見るときの枠組みが行動を決定づける、と述べているのに対し、タジフェルはある集団に属し、そこのルールに従うことが私たちの行動を左右する、と考えているのです。まとめると、両者とも同じことについての研究ですが、ただ視点が違うというだけなのです。

Bibliography

Allport, G. W. (1985). The Historical Background of Social Psychology. In G. Lindzey & E. Aronson (Eds.). The Handbook of Social Psychology. New York: McGraw Hill.

Bourdieu, P. (1984). Distinction: A Social Critique of the Judgment of Taste. London: Routledge.

Castles, S. (2002). Migration and community formation under conditions of globalization. International Migration Review 36 (4), 1143-1168.

Cialdini, R. B. (2001). Influence: Science and Practice. Boston: Allyn & Bacon.

Furfey, P. H. (1953). The Scope and Method of Sociology: A Metasociological Treatise. Harper.

Moscovici, S. & Markova, I. (2006). The Making of Modern Social Psychology. Cambridge, UK: Polity Press.

Osborne, R. (2005). Sociology for Beginners. Icon Books, Ltd.

Tajfel, H. and Turner, J. C. (2005). An integrative theory of intergroup contact, in Austin, W. G. y Worchel, S. (eds.) The Social Psychology of Intergroup Relations. Chicago: Nelson-Hall, pp. 34-47.