失業と健康の関係

05 3月, 2020
多くの人が、失業に伴うネガティブな影響や人の全般的な健康被害に気づいているでしょう。ここで、失業と健康についてより深く学びましょう。

働くことで、収入源となり努力と価値を表す金銭的報酬を得ることに加え、私達は社会的関係を育みます。それだけでなく、働くことは個人のアイデンティティを築く道具にもなります。そのため、失業は人の生活の様々な分野にネガティブな影響を与え、特に健康に与える影響は大きいものです。社会的・精神的影響に加え、失業と健康には強い関係性があるのです。

失業と健康の科学において、長年議論されていることがあります。具体的には、失業が健康に影響を与えると考える人と、不健康であることが失業につながり、新たな仕事を見つけなければならない状況を作ると考える人がいるのです。

これに関する研究が行われ、失業は人の身体的、精神的健康に直接影響を与えることが分かってきました。そして、健康が仕事を見つけられるかどうかに与える影響の方が小さいことが示されています。この結果から、失業と健康の関係は双方向にあると結論付けられています。

失業 健康

 

失業により健康状態は悪くなる

失業は、期限のないコントロール困難な状況であるため、重要なストレッサーになることは間違いありません。さらにこれは外的な要素の結果であることが多く、さまざまな教科刺激へアクセスできなくなります。それだけでなく、この状況を変えてそれに適応できるような様々な個人的リソースを持つ必要があります。

失業に関わる小さなストレッサーには、経済的リソースの欠如、家族問題、人間関係問題、求職、助けやリソースの探索、拒絶と向き合わなければならないことなどが挙げられます。

ストレスの多い状況に陥った時、特にそれが長期にわたる場合、できるだけ良い方向で問題と向き合えるように、体に変化が起こります。

その変化として、視床下部―下垂体ー副腎系(HPA軸)は、コルチゾールを分泌します。これは自然な反応ですが、この活性化が繰り返されると活動とコルチゾール値の変性につながります

専門家の中には、失業と異常なコルチゾール分泌パターンの関係など、この変性と様々な病気との関連性を指摘する人もいます。しかし、このパターンは年齢や性別により異なります。つまり、誰もが失業の影響を受けますが、その影響は一律ではないということです。

「職務の中での死は英雄的だが、無職での死は愚かだ」

-大場つぐみ-

 

失業の影響

失業と全般的な不健康には関連性があります。国によっては、医療保険や収入がないことが問題のこともありますが、その影響には医療的なサポートの有無とはまた別の問題もあるのです。

何より、失業者は仕事のある人と比べ、主観的健康状態が明らかに悪くなります。身体的症状としては、失業に関連する健康の変化に心臓血管系のリスク、肥満、糖尿病など慢性的ストレスとの関連があることは驚くべきことではないでしょう。また、薬物乱用などの健康問題も起こりえます

さらに、様々な心理的健康問題もあり、幸福感、自尊心、気分が低下し、不安が高まり、性格さえも変わってしまうこともあるのです。

失業 健康

 

健康が失業に影響する

これに関して、仕事を続ける力であるメンタルヘルスの影響に焦点が当てた研究が進んでいます。失業により、メンタルヘルスに一連のダメージを受け、失業者はそこから抜け出しにくい悪循環にはまります。そして、メンタルヘルスが低下している人は、仕事を失いやすく、仕事を見つけにくくなるのです。さらに、生活の中で健康を悪化させる要因は他にもたくさんあります。

不安度の高い人は仕事を失うリスクが高まり、また幼少期の不安が大人になってからの失業に関係します

また、落ち込みにくい人は仕事を見つけやすく、これは特に男性で顕著であることが分かっています。反対にオーストラリアで行われた全国調査では、男性のメンタルヘルスは将来雇用されるまでの期間との関係がより強いことがわかりましが、それが雇用の可能性を高めたり下げたりするものではないと示されました。

これらの多くの研究では、臨床の場にいる人が対象となっています。ですので、一般の人を対象とした情報と比較することが必要となるでしょう。

  • Olesen SC, Butterworth P, Leach LS, Kelaher M, Pirkis J. Mental health affects future employment as job loss affects mental health: Findings from a longitudinal population study. BMC Psychiatry. 2013;13.
  • Vélez Coto, M., Valls Serrano, C. & Caracuel, A. (2019). Estrés en el desempleo: ni oficio ni beneficios. En Peralta-Ramírez, I.M. Un villano llamado estrés. Madrid: Pirámide