嫉妬と受動攻撃性
嫉妬と受動攻撃性は、相伴うことが多いものです。心理学的観点から、両者は複雑で、関係の終わりにつながる可能性さえ含んでいます。また、捨てられることへの恐怖、恥、怒りなどの要素もこの状況に関係します。ご存知の通り、嫉妬に年齢、文化、性別は関係なく、危険で破壊的状況を生むことにつながりかねません。
シェイクスピアの物語では、絶えず変化する人間の感情を表現する彼の才能が顕著に表れています。現在でも最も有名な作品の一つにオセロがあります。これは嫉妬を深く追求した物語です。この物語には、非常にユニークで永遠のマキャベリ的悪役イアーゴが登場します。
オセロの熟練した意地の悪い使用人であるイアーゴは、オセロの妻デスデモーナが彼を裏切っていると信じ込ませ、オセロを怒らせます。イアーゴは、強迫的な嫉妬の炎に油を注ぐ、危険で強迫的な内なる声を表しているのです。
彼は、強迫的で不信な心を完璧に表現しています。彼はオセロの嫉妬を大きくし、繰り返させ、ついには死へと追いやりました。
イアーゴは悪役にもかかわらず、作品の中で1100ものセリフが与えられたことから、シェイクスピアの役の中でも最も重要な人物の一人と考えられるでしょう。これは、ハムレットやリチャード三世に並ぶほどのセリフ量です。
嫉妬は、精神の病気で最大の敵だとミシェル・ド・モンテーニュは言っています。
嫉妬と受動攻撃性
嫉妬と受動攻撃性が重なることが多いのには、明確な理由があります。嫉妬する人は、直接的に、またはオープンに嫉妬を表現しません。つまり、あなたが誰かと話すと嫌、あるいは他の人と過ごしたり笑顔を向けたりするとイライラし、不快になるなどといったことを、直接的に相手に伝えることしません。
その代わり、嫉妬深いパートナーは受動攻撃的な行動をとります。はっきりと自分を表現するのではなく、怒ったり相手を脅し恥をかかせる、または操ろうとします。間接的な罰として無視をすることもよくあります。
この種の攻撃的行動は受動的に始まりますが、状況によってはより積極的で有害な行動になりかねません。
詳しくみていきましょう。
嫉妬ともう一人の自分
イアーゴとオセロは、嫉妬の非常に興味深い面をうまく表しています。それは、嫉妬が持っている「もう一人の自分」のような面です。それは何かを信じさせ、あなたをさらう外からの声のようなものです。嫉妬する人が行う行為は、「通常」の自分なら決してしないようなことです。
外の声である嫉妬は、放棄や裏切りへの恐怖を大きくします。人を信用できなくさせ、危険でない時に危険だと感じる原因にもなります。嫉妬のレンズを通して見ると、おかしな考えが突然論理的に見えてくるのです。
カリフォルニア大学のデヴィッド・デステノ教授の研究によると、この声は「脅かされた自己」の象徴だそうです。嫌な思いをさせられたというあなたの一部が、受動攻撃的な行動の引き金となっています。
嫉妬や受動攻撃的な部分は遺伝する?
この種の行動には、遺伝的基礎があるという理論も存在します。嫉妬や受動攻撃性は遺伝子にあると考える心理学者や人類学者がいるのです。これは生存と子孫繁栄に基づく進化の結果が今の人類であるという考えです。
また、裏切りへの恐怖や一人になりたくないという思い、社会的競争が、この一連の感情や思考の引き金になっています。これにより、心は過度に心配し、強迫的になります。そして怒りがそれを引き継ぎます。こうなると、行動的攻撃性や明らかなリスクがみられるのです。
嫉妬はコントロールできる?
嫉妬に対処するためのカギは、絶対的で永続的な忠誠はないという明確な事実を理解することです。誰かを愛することは、相手を信頼することです。所有することではありません。健康的な愛に、怒りやコントロール、過度の心配はついてきません。
嫉妬的な行動の中には病的なものや、ストレスが精神的妄想に関連している場合もあります。病的な嫉妬であれば心理セラピーが必要です。ですので、嫉妬をコントロールできるかという質問の答えは、人は皆ユニークで、その解決法や治療が異なるということになるでしょう。
セラピストは、人をコントロールしようとする行動(携帯のチェックなど)を減らすことや強迫的思考の不活化などに焦点を当てます。また、自尊心の向上や、不安や放棄への恐怖を減らすことも大切です。
しかしこの中で、誰にでも共通することがひとつだけあります。それは、変わろうとする意志が必要だということです。自分の嫉妬が健康的な関係の妨げになっているということを意識しなければなりません。これらのポイントはすべて分かりきったことのようですが、心にとめておくことが重要です。
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- DeSteno, D., Valdesolo, P., & Bartlett, M. Y. (2006). Jealousy and the threatened self: Getting to the heart of the green-eyed monster. Journal of Personality and Social Psychology, 91(4), 626–641. https://doi.org/10.1037/0022-3514.91.4.626