ショック療法の利点と危険性について

ショック療法とは、患者をある強烈な情緒的経験に晒すことで行動の変化を起こそうとする目的のもとに行われる治療です。
ショック療法の利点と危険性について
Gema Sánchez Cuevas

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

最後の更新: 31 5月, 2020

「ショック療法」と一口に言っても、ここには実はそれぞれかなり異なる様々な療法が含まれています。それぞれに共通しているのは、その名の通り、多大なインパクトを与えるものだという点です。このインパクトとは、人の脳内で変化を生み出す力のある刺激のことを指します。

今わかっている限りでは、史上初めてショック療法を試したのは古代ギリシャ人たちで、彼らが過度な興奮状態に陥った人々に対してそういった治療を施していたことが知られています。このタイプの不安障害を、患者を窒息させることで治療していたという言及があるのです。これが、「一つの強い情緒的経験が、それ以前の問題のある経験を消し去ることができる」といういささか疑問点の残る考え方の始まりでした。

“不安が感覚を麻痺させる一方で、恐怖は感覚を研ぎ澄まさせる”

-クルト・ゴールドシュタイン-

ショック療法自体は、精神医学の分野から生まれました。まず精神医学者たちが始めたのはインスリン・ショック療法とカルジアゾール・ショック療法です。これらの化学物質を過剰に投与すると、精神病患者の症状が改善すると思われていました。その後電気ショック療法が開始されます。この治療法には懐疑的な意見が広く見られるものの、現在でもなお使われている治療法です。

年月を経るごとに、専門家たちは様々な治療法を「シ ョック療法」というカテゴリーに追加していきました。これらは、熱い石炭の上を歩くものから、大勢の人の前で個人の失敗について発表するというものまで多岐に渡ります。しかしどれを取っても原理は同じで、患者をある強烈な情緒的経験に晒すことで行動の変化を起こそうとする目的のもとに治療が行われています。

ショック療法の略史

ショック療法の妥当性や効果を評価するのは簡単なことではありません。人間を、トラウマになるかならないかすれすれの事象に晒せば、何らかの変化が生まれることは明らかです。問題なのはその変化が果たして本当に修正したい問題を解決してくれるのか?ということなのです。しかしその答えがイエスだとしても、この変化は長続きするのでしょうか?

ショック療法 利点 危険性

ショック療法には、物議をかもすような側面がたくさんあります。治療者たちが精神疾患の治療のためにこれを正式に使い始めたのは16世紀のことでした。しかしその効力を支持するようなデータには信頼性がありません。それが、ショック療法を実践していた人々がその情報をまとめていなかったことやそれを科学的に扱っていなかったことの理由です。

その後、イタリアの神経学者ウーゴ・チェルレッティが非常に興味深い観測を行いました。屠殺される前のブタに電撃を与えると、ブタたちが落ち着くことを発見したのです。これを受けて、彼は同じことを人間にも試してみようという考えを抱きました。

ショック療法の利点と危険性

従来のショック療法は今なお存在しており、いまだに物議を醸しています。ショック療法は多くのケースで脳にダメージを与えるのです。このダメージにより、不安精神病のいくつかの症状が消失します。しかし、ほとんどの場合(全てではないにせよ)その対価は非常に高くつくようです。

ショック療法が永久損傷や心停止を引き起こしたという記録もあります。つまり、死をもたらしかねないということです。また、こういった治療過程を経た後で植物状態になってしまう患者がいたことも報告されています。

精神科医たちは今でも電気ショック療法を使用し続けていますが、主に使うのは深刻なうつ病に対してですこの療法から効果を得られた、と主張している人々は世界中に何人もおり、彼らが正しいという可能性もあります。しかしまた、この治療を患者が重い罰則のように感じている可能性もあるのです。そういった患者は医師が望まない行動を控えているのかもしれません。いずれにせよ、議論が存在しているということです。

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ショック療法と心理学

現在は、上記のものよりは穏やかなショック療法が登場しています。心理学者がこれを使用するのは主に恐怖症治療の際です。この手法は患者を彼らが恐れているものに直接触れさせるというもので、心理学者たちが患者にこれを強制します。ただ、その行為が行われる間は心理学者も患者に付き添います。

このような療法が行われると、患者は「真の苦痛を経験した」と報告します。セラピストが彼らを恐怖に直面させる前、患者は恐怖を感じています。しかし恐怖心と逃げずに向き合うことができると、それまでとは正反対に、彼らは自らに自信を感じることができるようになります。一般的に、ショック療法での暴露は一度だけにしなければなりません。恐怖症を失わせるには一度で十分なのです。しかし、中には漸進的な暴露療法を行う心理学者もいます。全ては状況次第で変わってくるのです。

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人間にまつわるその他あらゆるテーマと同じように、この問題に関しては最終的な決断を下すことはできません。心理学の世界ではどんなことであれ絶対的な真実と見なすことはできないのです。人は一人一人が独自の存在ですので、一人の患者には有効な治療法が、別の人には悲惨な結果をもたらすこともあります。メンタルヘルスの専門家たちは、受け持つ患者一人一人を分析しながらこの治療を行なっていかねばなりません。ショック療法あるいはその他の療法を取り入れるのはその分析が済んでからにすべきです。


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