シンセティック思考とは?どんなことに使われる?

シンセティック思考とは何でしょう?どのように使われるのでしょうか?今回の記事では、その具体例をいくつかお見せします。また、シンセティック思考と分析的思考との違いについてもお話ししますよ。
シンセティック思考とは?どんなことに使われる?

最後の更新: 21 2月, 2021

シンセティック思考(統合的な思考)とは一体何なのでしょうか?詳細を見ていく前にまず、思考とは頭脳の生み出す産物であるという事実を思い出しましょう。思考は、合理的なものや論理的なもの、あるいはそれより抽象的なもの(イマジネーションなど)も含め、様々なプロセスを経た結果として出現します。

高名なアメリカ人教育者で哲学者でもあったジョン・デューイ(1859-1952年)は、思考を、私たちがすでに知っているものや記憶しているもの、および知覚しているものが生み出す結果であると定義しました。

デューイによれば、これら三つの様相を用いることで、私たちは事象に意味を与え、アイディアを作り出すことができるのだそうです。しかし幸運なことに、考える方法というのはたった一つしかないわけではなく、多数存在します。熟考に繋がるような思考プロセスもあれば、主張や分析、統合、要約、そして探究などに繋がるプロセスもあるのです。

本日は、その中でも具体的にシンセティック思考という思考法について深く掘り下げていきましょう。その定義は?目的は?この思考が使われる例としては具体的にどんなものがあるのでしょうか?この記事の中でその答えをお伝えしますよ。

シンセティック思考

シンセティック思考とは?

シンセティックは英語で「synthetic(総合の、統合的な、などの意)」と綴りますが、この語源「synthesis(総合、統合、合成などの意)」はラテン語由来の言葉です。しかし、さらに詳しく調べてみると、実はこの言葉はギリシャ語の動詞に端を発することがわかります。この言葉が示しているのは、その最も興味深い、あるいは顕著な部分に焦点を当てることにより成り立つ全体としての成果です。メリアム=ウェブスター辞典では、「synthesis」を「全体を構成するためのパーツや要素の合成物あるいは組み合わせ」と定義しています。

これでシンセティックの意味がおわかりいただけたと思います。では、シンセティック思考とは何なのでしょう?これは、学習中の対象物あるいはプロセスの次元を減らし、それらを要約したりより小さな塊へと結集させる必要がある時に用いられるタイプの思考です。この塊は、各セクションの持つ最も傑出した部分が集まってできています。人はこの塊を作ることで、個別にではなく全体として多様な部位を見ることができ、物事を単純化することができるのです。

シンセティック思考を用いることで、私たちは一つの現象あるいは事象を、より大きな価値体系の範囲内でそれらが担っている役割(あるいは機能)によって説明することができます。

具体例

シンセティック思考は、人体の様々な器官を学ぶための手段として用いることが可能です。例えば、それらの器官をより大きなシステム(内分泌系、消化器系、心血管系、神経系など)の一部として捉えることができると同時に、これらのシステムがさらに大きなシステム、つまり人体そのものの中で機能しているということを把握できます。大きなシステムの中のより小さな構成パーツについて考えることが、シンセティック思考を利用する一つの方法なのです。

会話や討論で結論にたどり着く過程でも、この思考が役立ちます。また、文章や経験、本、映画などを要約する際にもシンセティック思考が使用されます。

分析的思考との関連性

分析的思考は、シンセティック思考とは正反対の思考です。分析的思考の目的はある事象をより小さな、独立したパーツへと分解していくことにありますが、シンセティック思考では逆に、様々な情報を一つにまとめます。

また、分析的思考には各パーツの解決と説明を試みると同時に、これらの説明を結集させて全体を定義づけようとする働きもあります。しかしシンセティック思考では、より小さなパーツを集めて意義のある全体像を作り出すという、これとは真逆のことが行われるのです。

これらの概念をさらにわかりやすく、理解しやすくするために、病院で働く医療従事者たちのチームを想像してみてください。ここで分析的思考を用いた場合、あなたはチームに所属するメンバー一人一人を個別に分析するでしょう(貢献度、関心の高さ、担う仕事などについて)。

しかしシンセティック思考を使うと、あなたはチームの各メンバーを見てこれを全体として、つまり一つのチームとして結合させます。つまり、そのチームが結集することで何を成し遂げられるのか、どんな強みが得られるのか、全体としてどんな働きをしてくれるのか、などについて考えることになるのです。

シンセティック思考

シンセティック思考の創出

先ほど、私たちはなぜ分析的思考に言及したかというと、この思考をシンセティック思考と組み合わせることで、システム思考と呼ばれるものを作り出すことができるからです。システム思考を働かせると、様々なパーツから成る全体を解釈し、そこから意思決定を行うことが可能になります。

また、この思考にはその他の解釈も存在します。例えばフランシスコ・サエズの定義によれば、システム思考とはいかにして様々なシステムが機能し、互いに交流し合い、そしてどのように相互に影響を与え合っているのかを理解しようとする思考なのだそうです。つまり、非常に広範囲に及ぶタイプの思考であり、異なる物事を互いに関連させ合うような思考だということです。

今回の記事では複数の思考タイプを扱いましたが、それぞれに役立つ場面は異なります。しかし結局一番大切なのは、認知の柔軟性を持つことです。要するに、手元のタスクに対処する際にはどのタイプの思考を選んでも構いません。

ここまで見てきた通り、シンセティック思考は物事をまとめたり、決定的な情報を結集させる際に使うことができます。だからこそ、学問的なタスクを行う際や、情報を要約したりカギとなる思想を見つけたりする必要がある際にはこの思考が役立つのです。

“私たちの全ては、私たちが思考してきたものの成果である”

-ゴータマ・シッダールタ-


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  • Espino, O.G. (2004) Pensamiento y razonamiento. Pirámide.
  • Gabucio, F. (Coordinador), Domingo, JM, Lichtenstein, F., Limón, M., Minervino, R., Romo, M., Y Tubau, E. (2005). Psicología del pensamiento. Barcelona. Editorial UOC

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