頼み事の複雑な世界

頼み事の複雑な世界
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

今まで、たくさんの頼み事を人に聞いてもらい、助けてもらったでしょう。それでも、人はその有難さを忘れがちです。反対に、お願いしたのに忘れられたことは記憶に残ります。頼みをきいてもらうと、様々な事情で、借りがあるような気分になります。本来、与えること、そして与えられることは、とてもシンプルで思いやりがあり、謙虚で誠実な行動で、自由であるべきなのです。

ドイツの哲学者ニーチェは、彼の著書の中でこう言います。「奴隷となった魂の多くが、誠意と言うロープで首を絞めながら、頼み事への感謝を人生をかけて表現する心理学の観点から見た関係の力学は複雑であり、興味深いものです。与えたり与えられることは、良い人間関係の証です。そんなポジティブであるべきものでも、いくつかの要因が重なると、嫌な雰囲気へと変わってしまいます。

「頼み事が増えると、痛みも増す。」

-作者不明-

人に、お願いがあると言われた時、瞬時に頭の中の警報が鳴り始めたことはありませんか?たくさんの質問が頭の中に浮かびます。お願いって?重大なこと?時間がかかったり、何かを諦めなきゃいけない?嫌な雰囲気にならない?

これらの質問が頭の中に浮かんでいる時でも、口ではそのお願いに「いいよ。何でも言って」と答えているのではないでしょうか。特に、仲の良い人からお願いがあると言われると、このような状況に陥りがちです。お願いがどんなことであっても聞かなければ、という思いが生じるためです。これは、感情とプレッシャーが入り混ざった結果です。その人との関係が深いほど、頼み事の心理を知っておいた方が得でしょう。

それでは、詳しく見ていきます。

頼み事

痛みを伴う頼み事の世界

誰かに何かしてもらった時、私達は感謝します。ただ、そこで相手に「借り」があると感じてしまうと、状況は複雑になります。「脅されている」と思い込むのです。かすかですがはっきりとしており、絶対的なものです。ここで、2008年のアメリカ大統領選の例をご紹介します。とても興味深く、深く分析する価値のある話です。

選挙活動と言えば、支援者が候補者を支え、候補者は経験やリーダー性、法改正、公約などを語るものです。ところが、ジョン・マケインが大統領選に立候補した時、支援者は大きなミスを犯したのです。

彼らは、大統領候補者マケインを、戦争のヒーローとして紹介しました。マケインは、戦時中兵士として国に大きく貢献しています。捕虜として痛めつけられた時代もありました。そこで、マケインは「讃えられるべき」であり、皆、彼に借りがあると支援者は言ったのです。

この「借りがある」というフレーズはどの演説でも使われました。ただ、このフレーズを人の脳は脅しとして解釈するということに気づいた支援者はいなかったのです。借りやプレッシャーを好む人はいません。人に何かをしてもらったからと言ってベニスの商人のシャイロックのように、自分の体の肉を要求されるようではかないません

ハート

このような出来事は日常茶飯事です。プレゼントをもらったら、何かお返しします。結婚式やパーティーに参列する場合、招待のお礼に何か手土産を持っていくことが「必要」とされる世の中です。現金やプレゼントを持って参列することになります。人に何かをしてもらった時、何かを返さなければと勝手に条件付けします。また、相手のお願いを受け入れられない場合、批判されるのも覚悟しなければなりません。

頼み事の悪循環から抜け出すには?

世の中に、ある種の悪い空気が流れていると言えるでしょう。社会心理学は、良好な人間関係における頼み事の特徴について、最もポジティブで充実した関係では、要求やお返し、小細工や脅しなしに与え与えられることが可能だと言います

「与えたことは忘れよ。与えられたことは忘れるな」

-中国の諺-

上の言葉は、「お願いする」ことがある、生活のどのような場面でも生かすことができます。家族や恋人、友達、職場の仲間などにお願いすることがあり、それにより絆を深めることもあります。一方で、「あなたのためにしてあげる」や「こんなに色々してあげたんだから、次はあなたの番」という言葉が生活にあふれているのも事実です。

人間関係

このようなネガティブな状況で何ができるでしょうか?次のアイディアを参考に考えてみてください。

  • 私がしなきゃという思いからお願いをきくのは止めましょう。心から人に何か与えるべきです。しなければならないからという理由は、良いとは言えません。自分の価値観やアイデンティティを高めるため、自由に応じましょう。
  • 頼んでいないことやしてもらいたくないことで、人の手を借りないようにしましょう。自分の犠牲が大きくなったり、不快になるのであれば、何もしてもらわない方が良いのです。
  • 自分の内なる声と直観に敏感になりましょう。何かお願いされた時、頭の中で瞬時に判断してしまいがちです。
  • 適切で論理的な理由があったら、頼みごとを断っても良いのです。相手が気分を害したら、その反応が正しいものなのか、考えてみましょう。

最後に、人は自由にお願いを聞くべきだと言うことを頭にとめておきましょう。お互いに信頼することで関係は成立するのです。それが強迫に基づいていてはいけません。一番喜ばれるのは、何も言わなくとも察してくれることです。何かをすると同時に、相手のニーズへの理解を示すことにもなります。愛と敬意の表れです。


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