東洋の生命力:気の力

気は、常に体を流れる生命力と定義され、気が静止したりそこに変化が生じると病気になると言われます。東洋では、健康な体があって初めてそこに健康な心が宿ると考えられているのです。
東洋の生命力:気の力

最後の更新: 07 7月, 2020

武術の達人が瓦を素手で割っている場面を見たことがあるでしょう。手を怪我することなく瓦を割るというのは理解しがたく、不可能にも感じます。その秘密は、東洋において何世紀も前から道教に通じる「気の力」にあります

気の力を働かせるのは武術の達人だけではありません。伝統的な中国の医師も気の力を使っています。自分が望むように集中、解放、流れをつくることができる生命力が気と呼ばれす。西洋では「エネルギー」と呼ばれるものに似ているでしょう。

気とは命を与える力であり、すべてを統治すると東洋では言われます。太極拳、鍼、レイキなどの東洋の技の主な目標は、気の流れを作り、具体的な目的のためにそれを再集中させることです。

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気の力の原則

東洋では4000年も前から気の力について語られていると言われています。そして当初から、気は体内を川のように流れているという考えがあります。中国医学ではこの川を「経線」と呼びます。

東洋人の考えでは、気は呼吸と瞑想を通し流れています。適切な呼吸をすることにより、宇宙のリズムと同調するという考えに基づいています。また、瞑想により、生命力の静止や停滞の状態を打ち破り、気が体や精神を流れるのを助けます。

時と共に、生命のエネルギーの流れを作るのは呼吸と瞑想のみではないと言われるようになりました。そして、気のバランスや調和を取るために動きが取り入れられ始めました。

どんな動きでもいいというものではなく、それは特別な動きで、太極拳や気功などに分類分けされています。

気のタイプ

東洋人によると、気という生命力は、末端を含む体のいくつかの部位に分けられていると言います。中でも凝縮されているのが腎臓と言われており、健康や生命を生み出しています。さらに、体の外にも存在すると考えられています。

生命力の種類の例を次に示します。

  • Zhong qi:呼吸から得られるエネルギーで、体全体が機能するのに必要な燃料のような役割があります。酸素がエンジンとなり、筋肉や臓器、聴覚や声の機能に影響を与えます。
  • Taste chi:このエネルギーは地球から得られるもので、また、すべてのプロセスが栄養の吸収のために行われます。この種類の気は、血と切っても切り離せません。食物の味により、どの臓器に働きかけるかが決まっています。辛味は肺、酸味は肝臓、甘味は脾臓、苦味は心臓、塩味は腎臓に影響します。
  • Wei chi:この種の気は食べ物から生じ、感染を予防し肌や髪につやを与えます。しかし、これを証明するものはありません。
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気の働き

東洋では、心の健康と体の健康は切り離すことができないと言われます。この2つのどちらかのバランスが崩れると、すぐに他方への影響が及びます。

気は人を生かし、健康にし、またバランスを取り、体や心が弱ったり崩れたりするのを防ぐために流れています。

気がうまく流れていないとされる初期兆候には、尿や汗など体液の過剰生成があります。気の力においては、生命力である気が、本来あるべきようにうまく流れていないと、病気になると考えられます。

バランスを取り戻すには、瞑想や呼吸、体の特定の部位への圧力(針やマッサージ)、太極拳が必要とされます

また、気の流れは、スピリチュアルな次元にも左右されます。感情面でいうと、人はまず平穏の状態を求めます。穏やかな心により、エネルギーのバランスを構築し直すことが可能になります。そこで、自由で開放的な心にとっての障害にならないよう、人は健康な体を維持するように努力します。

気の力を体の特定の部位に集めることは可能です。武術では、手や腕、脚に気を集中させます。東洋では、弱そうに見える人が瓦を割ったり、重力に逆らうように跳躍できるのは、気の力のおかげだとされています。


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  • Maratea, A., Franco, A., & Jáuregui, S. (2013). El Chi o energía vital.


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