運動失調:症状、原因、治療
健康に影響するものは数多くあり、それは生活の質にも関わります。また、私達の動きにも影響します。運動失調と呼ばれる特徴的な臨床症状があり、筋肉運動の整合、姿勢、随意調節の問題が生じるのが特徴です。
動くために筋肉を調整することができなくなるというのがその兆候です。症状は様々な理由で現れます。ここでは、原因、診断、治療についてお話します。
運動失調とは?
運動失調という言葉は、古代ギリシャからきており、「指令がない」という意味です。痙攣がなく、あらゆる動きの調整の改変が生じます。運動失調は、歩行、胴体、手足、またはこれらの組み合わせに影響します。さらに、次のような症状がみられることもあります。
- 眼振:不随意に目が動く
- 構音障害:音や言葉をはっきりと出せない
- 低緊張症:緊張、筋緊張の減少
- 測定障害:必要な距離を調整する動きができない
- 拮抗運動反復不全:異なる動きを交互に素早く行うことができない
- 嚥下障害:飲み込みが難しい
- 歩行困難または、歩行能力の喪失
- 筋肉運動の協調、精密さの欠如
- 認知的変化(思考プロセスに関わる)
- 感情的変化:非常にやっかいな状態のため、情緒不安定になる
多発性硬化症など他の病気と一緒に運動失調が現れることもあります。また、運動失調のみが現れることもありますが、非常に稀です。子どもも大人も運動失調を発症します。サラマンなど(2013)は、子どもの慢性的運動失調の疫学を分析する研究を行っています。この研究は、「Developmental Medicine and Child Neurology(発達医療と子どもの神経学)」という雑誌に掲載されています。
運動失調の原因は?
後天性運動失調:その患者がもつ他の病理によって現れます。
- 中毒:例えば、一酸化炭素、アルコール性小脳変性症など
- 自己免疫:亜急性小児変性症に関連したものやグルテンによるものなど
- 栄養失調:ビタミンE欠乏症、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、亜急性連合変性症など
- 神経変性疾患:多発性硬化症、脊髄小脳失調症など
- 癌:髄芽腫、星状細胞腫、血管芽腫などの癌が運動失調の原因になりうる
先天性運動失調:遺伝で、常染色体劣性と優性があります。
- 劣性:フリードライヒ運動失調がもっとも一般的です。脊髄小脳路、皮質脊髄路、歯状核、後根神経節細胞の神経変性によって起こります。
- 優性:病気の経過により、発作性と進行性があります。優性運動失調には、脊髄小脳運動失調、先天性小脳性運動失調、小脳虫部形成不全などがあります。
お分かりのように、運動失調には、様々なタイプがあります。今の所、この病気の治療法は見つかっていません。ただ、患者を苦しめる症状を緩和することはできます。
運動失調の診断
運動失調の診断には、いくつかのテストがあります。
- 指―鼻:人差し指の先で自分の鼻を触るように言われます。次に、医師の人差し指を触るように言われます。
- かかと―ひざ:まず、仰向けに寝ます。かかとをもう一方の足のひざにつけ、そこから足の骨に沿ってかかとをスライドさせるように足首へ向かって動かすよう指示されます。患者は、目を開けた状態で、そして閉じて、両方の足で行います。
- 急速交互エクササイズ:両手を同時に、両方向に回転させるよう医師に言われます。
- 筋電図:神経の状態を測ります。
- 心理学診断:患者の実行機能を評価する脳心理学的診断です。
運動失調の治療
この症状の治療は限られており、この病気に対する特別な治療はありません。治療は、リハビリを目的とする傾向があります。
さらに、心理学的介入は重要です。まず、患者に何が起こっているかを理解する助けになります。そして、その症状に対する思考や感情のコントロール法を学ぶことができます。最後に、大切なのが患者の世話をする人もこの心理学的介入に関わり、どのようにケアをしたらよいか学ぶことです。
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