ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:緊急かつ重要な権利

09 8月, 2020
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは、贅沢品であるべきではありません。財政事情や人種、そして国籍や宗教にかかわらず、どんな人でも医療サービスへアクセスできる状態が理想的です。

様々な国々で未だ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の医療保健サービスを、必要な時に良心的な金額で受けられる状態のこと)は一時的で一部の人しか持たない贅沢品のままです。実際のところ、どんな社会機構であれ先進的で文明化した社会を自認するのであれば、この問題を第一に憂慮しなければなりません。

ここで私たちがお話ししているのは、先進国は市民の社会的ステータスや貧富にかかわらず全員の健康を考慮し、関心を払い、最優先事項として扱うべきだという事実についてです。

医療サービスを民営化することを選んだ国々では、短期的にも長期的にも深刻な社会的影響が起きています。民営化に伴い、多くの命が失われているのです。世界でも最も有力な大国の一つであるアメリカ合衆国は経済的覇権の明白な一例で、この国では比較的多くの人に医療保障が提供されています。しかし、その人口のうち約25%が診療費をまかなう財力を有していないのが実際のところです。

アメリカの現実として、数多くの家庭が健康保険に加入できていないという事実があります。その結果、症状の軽い・重いに関わらず病気に対して適切な診断や治療を受けることが不可能になっているのです。多くの場合、ただ脚を骨折しただけで、あるいは子どもを産むだけで、莫大な費用がかかってしまいます。

また、もう一つ無視することのできない問題があります。それは、移民たちの健康問題です。こういった人たちは、武力紛争から避難するため、あるいは仕事の面でより良い機会を得るために故郷の国々を離れざるを得なかったような人々です。現時点で、全員に無料の医療サービスが提供されていないという現実は、救われるはずだった命がその分失われるということを意味します。そういった状況下では、そしてパンデミックが巻き起こっている状況下では、被害はとてつもないものとなり得るのです。それでは、このトピックについてもう少し掘り下げていきましょう。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:永遠に未精算のままの勘定項目

1948年の4月7日に、世界保健機関(WHO)が設立されました。それ以降、私たちはこの日を世界保健デーとして祝っています。なぜ今そのことに言及したかというと、この誰もが知る、この世界に必要不可欠な組織が追求している最優先事項を強調しておきたいからです。WHOは人々の心身のウェルビーイングを守り、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを推進することを目指しています。

では、1950年代半ばから現在までにどんなことが成し遂げられてきたのでしょうか?言うまでもなく、それほど多くの成果が得られていないのが現状です。実は複数の国々で無料の全市民対象医療保健サービスが強化されてはきたのですが、それでもまだこの問題に関しては大きな格差があり、対策が遅れている地域が多数あります。そのため、WHO自体が、全世界の人口のうち約50%の人々が基本的な医療サービスにアクセスできていない、と述べているほどなのです。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ 権利

医療サービスを受けられない人々:見過ごされ、見捨てられている人々の存在

医療サービスは社会にとって足手まといになるようなものではありませんし、裕福な人だけが受けられる贅沢品であるべきでもありません。実際には、医療サービスは全員に平等に与えられるべき権利なのです。この理由から、資源や財源の乏しい国々を除く各国には、そして様々な国籍、人種、宗教の人々を擁する国々にはまだまだやるべきことがたくさん残っていると言えるでしょう。

先進諸国にはユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する規則があり、各流通業者や保険会社、そして病院にはその法律を守る義務があります。ただ、製薬業界は常に人々のウェルビーイングや特定の病気の根絶を第一に考えているわけではありません。多くの場合、彼らの主要な目標は市場を開拓し、需要を高め、競合することなのです。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジなしに発展は見込めない

世界保健デーに、諸医療機関が強い警告を発しました。彼らは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジが実現していない国々でのコロナウイルスによる影響は壊滅的なものになるだろう、と主張したのです。そしてそれは、実際にこれまでに起こっていたことです。つまり、少なくとも「壊滅的」な影響がすでに各地で見られています。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの権利が保証されている国々ですら甚大な被害を受けたのですから、平等な医療サービスが用意されていない地域ではどれほどの困難が起こるのかは容易に想像がつくでしょう。

パンデミックによる衝撃に対して、技術的な面でも個々人の面でも備えができている国などほとんどありません。医療システムの整備を疎かにしてきた国々には深刻な結果がもたらされるであろうことは間違いないでしょう。なぜなら、人々の健康が優れていて、全員に対して(平等に)医療が提供されている状態がない限り、国家は安全な場所にはなり得ないからです。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:緊急かつ重要な権利

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは人間性の基本

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは、全ての社会制度の支柱となるべきものです。一部の人々の意見とは異なるかもしれませんが、予算をケチってギリギリでまかなえばいいような領域ではないのです。また、民間医療を優先させようとして全人口への医療サービス供給を放棄しても意味がありません。実のところ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは社会の発展に欠かせないメインのエンジンなのです。その質と強さを確保することが非常に重要です。

さらに言うと、政治的見解はこの件に関しては何の意味も持ちません。本当に重要なのは国家の道徳心、倫理的価値観、そして誰一人として見捨てないという人間としての義務感なのです。医療や効率的なテクノロジーやリソース、研究や開発、治療、そして予防などに十分な額の資金を投じることで、社会全体が利益を得ることができます。

現在、これまで以上にこのトピックについて深く考えるべき時が来ています。医療機関やそこで働く人々のことを考えても、こういった人たちへのケアを疎かにすべきではありません。彼らは十分に尊重されるべき存在です。この困難な状況下で、唯一私たちに希望を届けてくれている人たちなのです。将来この世界をもっと素晴らしい場所にしていけるよう、過去から学ぶべきことを学んでいきましょう。