うつ病の人は自分自身をどう見ている?

31 10月, 2020
うつ病につながる多くの「道」が存在します。今回は、その中でも特に他に類を見ないものについて考えていきましょう。

私たちは皆、それぞれなにかしらと闘っています。仕事、家族、人間関係など、非常に多くの様々な方法で、新しい挑戦は毎日起こるものです。多くの場合、うつ病が停滞する原因は、自分自身との闘いであると考えられています。

専門家は、うつ病の人自身が症状の影響を拡大する傾向があるという点について述べています。 コパラ=シブレイ博士が発表したレポートによると、落ちこんでいる時には、その症状よりも自分自身についての気持ちに焦点を当てた方がよいとされており、後者はまた、うつ病の根本的な原因である可能性があります。専門家も、症状だけでなくこの状態の根本原因を治療する方が良いと述べています。

この研究の結論は、ヒギンズの自己矛盾理論を裏付けています。この理論によれば、自己には実際の自分、理想の自分、そして「なるべき」自分という3つの領域があります。コパラ=シブレイ博士の調査によると、実際の自分と理想の自分との間に食い違いがあると、うつ病を発症する可能性があるそうです。

うつ病 自分自身

自己矛盾の原因は?

私たちは、多くの変数に基づいて自己概念を構築します。そして「自己」を単一の存在であると信じがちですが、実際にはこれは真実ではありません。

まず、自分を定義する自己、つまり実際に存在する自分であり本来の自分が存在します。さらに、自分がなりたいと思う自分自身や理想的な自分など、「平行」した自己があります。ヒギンズが説明したように自分が「なるべき」自分である責任ある自己も存在します。これは、自分の習慣や社会的役割に基づく、自分がなるべきだと感じる自分です。

たとえば、有能で、知的で、勤勉な人の場合、自分の特性を仕事場で表現したり発揮できない場合、そこに対立が生じます。この場合、実際の自分と理想的な自分との不一致が、うつ病を発症するための「肥沃な土壌」を提供する可能性があるのです。

本来の自分と理想の自分との間の距離を認めることを根拠とするもう一つのものが、心理面のウェルビーイングと関連のある自尊心です。

自尊心が低いと、うつ病にかかりやすくなります。研究によると、自尊心が低い人は脳の灰白質レベルが低いことがわかりました。これは他の人が自分のことをどう考えているのか直感的に理解するのに役立つ領域です。

うつ病と内なる自分との対話

実際の自分と理想的な自分はそれぞれが密接な関係にあり、これは自分自身が語る自分と、他の人が自分をどう見ているのかという話に基づいています。実際の自分と理想の自分の間に大きな違いがない場合は、自尊心は高くなります。

うつ病の症状を発症している場合は、実際の自分と理想の自分の間に重大な不一致が生じ、それに対処しなくてはいけない状態になっている可能性があります。

うつ病の人が内なる自分との対話を試みると、実際の自分が理想とする自分と遠くかけ離れているような感覚を覚えます。さらに、その距離をなくしたい場合は、内なる対話の内容を変更することをお勧めします。この場合、理想の自分に近づくために、どのような改善をするべきかに焦点を合わせるのが良い開始地点となるでしょう。

マインドフルネス

自分自身を語る方法を変えても役に立たない場合は、マインドフルネスの実践が素晴らしい対策の一つになるでしょう。マインドフルネスは、実際の自分と理想とする自分の間に生まれるギャップを埋めるのに役立ちます。

マインドフルネスと呼ばれる瞑想の持つ直接的な利点は、自分の考えを判断せずに観察する方法を学ぶことができるという点です。自分を批判すると言う考えを手放すことは、うつ病の症状を大幅に改善するのに役立ちます。段階的に自分を受け入れるのも、実際の自分と理想的な自分を近づけるもう1つの方法です。

うつ病 マインドフルネス

自分の理想に本当の自分を反映する

理想の自分に本来の自分を反映するというのは、完璧を目指すと言う意味ではありません。その代わりとして、自分には改善の余地があると認めることが大切です。自分に優しく大切に扱うことで、目標を設定し、不要な目標を取り除くのにかなり役立つ環境を作り出すことができるでしょう。

否定的な感情やネガティブな精神状態は、実際の自分と理想の自分との距離がかけ離れるという悪循環に陥り、最終的にはうつ状態になる可能性があります。

今回ご紹介した対策を講じることで、自分自身への期待をコンロールするのに役立ちます。その結果、起こりうる可能性のある欲求不満を正しく管理するのにも役立つでしょう。この意味で、うつ病は自分の内面的な矛盾に注意を払うための第一歩となります。また、うつ病は矛盾を特定して対処する必要があると知らせる兆候でもあります。それに気づくことで、メンタルヘルスとウェルビーイングの改善につながるはずです。

Bak W. (2014). Self-Standards and Self-Discrepancies. A Structural Model of Self-Knowledge. Current psychology (New Brunswick, N.J.), 33(2), 155–173. doi:10.1007/s12144-013-9203-4

Kopala‐Sibley, Daniel; Zuroff, David C. (2019) The self and depression: Four psychological theories and their potential neural correlates. US National Library of Medicine National Institutes of Health. doi: 10.1111/jopy.12456.

Pillay, Srini (2019) How Does Your “Sense of Self” Relate to Depression? New research explains why self congruence matters. Psychology Today