ヤコバ・サワドゴ、サハラ砂漠に打ち勝った人物

世の中には、少年ダビデが巨人ゴリアテを倒した物語を彷彿とさせるような画期的なアクションを起こす人々がいます。そんな一人がヤコバ・サワドゴで、彼はサハラ砂漠に戦いを挑み、古代の知恵を信頼して活用したおかげで見事勝利を勝ち取った人物です。
ヤコバ・サワドゴ、サハラ砂漠に打ち勝った人物

最後の更新: 10 1月, 2021

ヤコバ・サワドゴには、大学の学位も、気候変動が起こっていることを知らせるニュースも必要ありませんでした。彼が暮らすのは、サハラ砂漠に接するブルキナファソという国です。そこで彼が目の当たりにしていたのは、一年ごとに雨の量が減っていく様子でした。また、雨不足が作物に悪影響を与えていることにも彼は気づいていました。

この天才的な人物は、サヘルと呼ばれる地域で暮らしています。これはサハラ砂漠とスーダン・サバンナの間に位置する地域で、気候が不安定なことから時折過酷な飢饉に見舞われます。その中でも特に悲惨で大規模な飢饉が起こったのは、1968年〜1974年のことでした。そしてその飢饉が終盤に差し掛かっていた頃、ヤコバ・サワドゴはある運動を開始します。

それから何年も経過した2018年に、サワドゴがその人間社会をより良いものにするための健闘を讃えられてライト・ライブリフッド賞(「第二のノーベル賞」とも呼ばれる)を受賞するまで、国際社会は彼のことを認識していませんでした。その後初めて、彼が人々のため、そして地球のために行ってきた、静かな、しかし素晴らしいとしか言えない偉業がついにスポットライトを浴びるようになったのです。

ヤコバ・サワドゴ サハラ砂漠に打ち勝った人物

ヤコバ・サワドゴとサハラ砂漠

きっと誰しもがサハラ砂漠の存在を知っているはずです。何千年間にも渡って、数々の伝説の舞台となってきた地ですからね。しかし、ほとんどの人に知られていないことがあるとすれば、それはこの砂漠の北端および南端に暮らす人々がなんとかこの地で暮らす手段を模索してきたこと、そしてコミュニティが生まれ始めたものの、砂漠の過酷さと常に戦い続けてきたということでしょう。

20世紀に、アフリカ大陸は人口増加と海外企業(ほとんどが鉱業や採掘の会社)の流入を経験しました。その結果、生態系の自然なサイクルは変容し始めます。そしてこれによる最大の影響を即座に受けたのが、ヤコバ・サワドゴの故郷ブルキナファソをはじめとする、サヘル地域の国々だったのです。

1960年代の後半には、ブルキナファソ内の砂漠化が進み始めました。肥沃な土地を砂が侵食し始め、飢餓が日常的な問題になったのです。そこで暮らしていた多くの人がこの土地にはもう見込みがないと考え、逃げ出す決意をしました。しかし、サワドゴの頭にあったのは全く別の戦略でした。なんと彼はこの地に留まり、砂漠と戦うことを決意したのです。

古代の知恵に頼る

ある地域を砂漠化が襲っている時、通常であればその解決策として徹底的な調査が行われて専門的な診断が下され、砂漠化プロセスを逆行させるための複雑で大規模な対策が講じられるのが一般的です。しかし、ブルキナファソにはこの手の専門家はおらず、明確な研究も行われず、ましてやプロジェクトに費やせるような何百万ドルもの資金もありませんでした。

しかし、サワドゴのコミュニティにとっても地球にとっても幸運なことに、上記の様な事情があるからといって彼の試みが止まってしまうことはなかったのです。彼と友人のマチュー・ウードラオゴは、彼ら独自の調査を開始しました。二人の決断は、この現代的危機に対して先祖たちの知恵を拝借するというものでした。この地域では、長年に渡って人々が作物を育ててきました。そのため、古来から伝わる知識には砂漠化に対抗するためのメソッドが豊富に含まれていたのです。

この志の高い二人は、土壌を回復させるために古代から伝わる二つの技術を採用することにしました。その一つ目が「コルドン・ピエル(仏語で”石の列”を意味する)」と呼ばれる手法です。これは、大地にこぶし大の石を並べて列を作って雨水を確保し、それが地面に染み込むまでに時間がかかるようにして、水分が無駄にならないようにするというものでした。

決まり手

そして彼らが採用した二つ目の技術が、「ザイ」と呼ばれる別の伝統的農業技法です。これは、種を植えたすぐ横に穴を掘り、その植物のための水分を供給するというものでした。サワドゴは伝統的技法にいくつか改良を加えたのですが、掘る穴を大きめにする、というのがそのうちの一つです。

彼はまた、掘った穴を肥料や葉、小枝、野菜の切れ端などの有機物で埋めるというアイディアも実践しています。この時の彼は気づいていなかったかもしれませんが、おそらくこの決断こそがプロジェクトを成功に導いた究極の決め手だったと言えるでしょう。

有機物を穴に入れてみると、予期していなかったあることが起こりました。シロアリたちが有機物に惹きつけられてやって来たのです。すると、シロアリの掘ったトンネルが、土地をさらに耕し、植物を成長させやすくする手助けをしてくれました。欠けていたパズルのピースをシロアリが埋めてくれたとも言えるでしょう。この生き物たちのおかげで土が柔らかくなり、土壌内で維持される水分の量も増えたため、作物は成長し始めました。

ヤコバ・サワドゴ、サハラ砂漠に打ち勝った人物

砂漠に対する勝利

砂漠に命を吹き返させるというサワドゴの驚くべき戦いを世界が発見するまでには、それから40年もの年月がかかりました。今や、彼が不毛だった土地を肥沃な土壌に変えて回復させた総面積は300万ヘクタールにも及びます。

その輝かしい功績にも関わらず、サワドゴは満足していませんでした。伝統的技法が効果を発することに気づくと、彼はそれを学びたいと望む人全員に教えて回ったのです。サワドゴはオートバイに乗って村から村へと旅する生活を数年間続けました。そして訪れた先々でそのコミュニティにとって絶対的に重要な戦略を人々に伝えたのです。

ヤコバ・サワドゴが自身のコミュニティに残した遺産は、この上なくかけがえのないものでした。彼の物語から、私たちはたくさんの大切な教訓を学ぶことができるでしょう。彼は私たちに、「どんなに困難な状況に思えようとも、決して諦めるな」と教えてくれたのです。またこれは、汎用的な解決策が常に最善だとは限らないこと、そして常識や常識の過信により、取り返しのつかない事態が引き起こされうることを示す完璧な例でもあります。

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  • Puig, J. (2019). Sensibilidad por el medio ambiente y cristianismo. Scientia et Fides, 7(1), 73-96.