予言の神、アポローンにまつわる神話

アポローン神話は古代において驚くほど重要視されていました。この神話により、芸術家であり無慈悲な戦士でもあった神の物語が伝えられています。
予言の神、アポローンにまつわる神話

最後の更新: 06 1月, 2021

アポローン神話は、古代ギリシアでゼウスの次に尊敬されていた神についての神話です。彼は非常に重要な存在だったため、アポローン信仰は密かに中世の時代まで残り続けました。そして実を言うと、今日でもいまだに彼に救いを求めて祈願する信者たちがいることが知られています。

アポローン神話が重要視されているのは、この神の持っていた力がとてつもなく強大だったためです。彼は、周囲の者たちから芸術や予言の神として、真実の光明を与えてくれる存在として、疫病や伝染病や突然死の支配者として、そして人々に癒しを与え、邪悪な力から守ってくれる神として認識されていました。

また、アポローンは美や調和、バランス、そして完璧さをも支配しています。若者たちに成熟性を与える役割も担っており、羊飼いや船乗り、弓術家たちの守護神でもありました。加えて、弓と矢の最高神でもあり、さらに、音楽と詩歌の神でムーサたちの長でもあり、そしてデルポイの神託のパトロンでもあります。

アポローン神話の起源

神話によれば、アポローンはオリュンポスの最高神ゼウスと、ティーターン族の女神レートーとの間に生まれたそうです。ゼウスは初め、レートーと姉妹関係にあったアステリアーに惹かれ、強引に彼女を手に入れようとしました。しかしそれに怯えた彼女は彼のしつこさから逃れるためにウズラに姿を変えてしまったそうです。それにもかかわらずアポローンは彼女を苦しめ続けたため、ついに彼女は海へ身投げしてしまいました。するとその部分からオルテュギアー島という島が生まれたそうです。

その後ゼウスはレートーを愛するようになり、彼女も同じように彼に恋心を抱くようになりました。彼女は子を身ごもりますが、ゼウスの正妻であるへーラーが二人の秘め事を知り、レートーを激しく追求し始めます。そしてへーラーは自身の娘で出産の女神でもあるエイレイテュイアにレートーの出産を妨害するよう頼んだため、彼女は7日間に渡って難産による恐ろしいほどの痛みに苦しみました。

しかし、他の神々たちはレートーに同情を示します。レートーは双子を妊娠していたため、神々たちは女の子の方、つまりアルテミスの誕生を許可し、即座に大人へと成長させて彼女に母親が弟であるアポローンを出産するのを助けさせることにしました。レートーの苦しみは、アルテミスに生涯処女でい続けることを決意させたほど凄まじいものだったそうです。

予言の神 アポローン 神話

アポローン、異彩を放つ存在

それでも、レートーの受難はアポローンが誕生した後も終わりませんでした。へーラーはまだ夫の裏切りに怒り狂っていたため、ピュートーンという蛇の怪物を送り込んで一家を殺害しようとします。しかしここでも神々たちはレートーの運命を不憫に思い、アポローンをたった4日間で成長させてこの怪物を殺させました。

アポローンは千本の矢によってこの聖なる大蛇ピュートーンを倒しますが、神聖な生き物を殺した罪によって彼は罰を受けねばなりませんでした。そしてこの怪物が死んだ場所にはデルポイの神託所が建てられ、彼はその守護者となります。その後、彼はこの場であらゆる予言をピューティアーたち(デルポイの神託所に仕えた女官たち)あるいは占い師たちに囁いたそうです。

へーラーはレートーへの追及の手を決して緩めなかったため、彼と姉アルテミスは最後まで母親を守り続けた、と神話は伝えています。例えば、二人は母を複数回に渡ってレイプしようとした巨人ティテュオスを殺しました。さらに、レートーを散々からかっていたニオベーの14人の息子たちも彼ら二人によって殺害されています。

予言の神、アポローンにまつわる神話

人間になった神

神話によると、アポローンには数え切れないほどの子孫がいた一方で、恋愛面では不運だったそうです。彼はカッサンドラーに好意を抱き、予言の力を授けましたが、彼女はそれを拒絶しました。その後彼はキューピッド(エロース)の矢の効力でダフネーに恋をしますが、彼女の方は同じ感情を抱いておらず、彼を拒むために樹木へ姿を変えてしまったそうです。

アポローン神話はこの神が関わった複数のエピソードを伝えていますが、その多くが暴力の物語です。中でも特に有名なものは、ゼウスがキュクロープスにアポローンの息子の一人であるアスクレーピオスの殺害を命じた時に起こりました。その復讐としてアポローンはキュクロープスたちを殺したため、それによって罰せられることとなります。ゼウスに人間界へ送られた彼は、人間のように苦しみを感じながら生きねばなりませんでした。

また、アポローンが優れた竪琴奏者だったことやトロイア戦争に参加していたことにも触れておくべきでしょう。この戦争で彼はトロイア側に味方し、パリスがアキレウスを殺害するのを助けました。なぜなら、アキレウスにはそれ以前に息子のヘクトールとトローイロスを殺されており、恨みがあったためです。その後アポローン神話はローマ神話へと受け継がれて、アポローンは最も尊敬され、讃えられた神の一人となりました。

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  • Vozmediano, M. M., & Pelaez, A. M. (2018). Análisis cuantitativo y perspectiva de género como nuevo significado en el mito de Apolo y Dafne. Arquetipo, (17), 81-102.