明らかになった精神疾患の主要なリスク要因

09 9月, 2020
アメリカ合衆国で最近行われた研究により、幼少期に経験した苦難が精神疾患の主なリスク要因であることが確定しました。このような経験は心身の健康状態に深い爪痕を残すのです。

いまだに精神疾患の大部分は科学の力でも暴ききれていないままです。こういった病気の原因は、遺伝学から社会学に至るまで、たくさんの分野で継続的に探究されています。そんな中、徹底的な調査の結果、ある研究グループが精神疾患の主要なリスク要因が幼少期の不遇な経験であることを結論づけました。

不遇な幼少時代と言うと、よく連想されるのが身体的あるいは精神的虐待を受けていた、家族がいないあるいは身近な人を亡くしたなどのトラウマが残るような経験をした、などの境遇でしょう。この点でも再び形式科学と精神分析学がどちらも関連してくるのは非常に興味深い点です。

幼少期の苦難が精神疾患の主なリスク要因であると言う主張は、デル・メディカル・スクール(テキサス、オースティン)で行われた研究結果から導き出されたものです。デルのムルヴァ神経科学クリニック精神医学部門の部門長および、インスティチュート・フォー・アーリー・ライフ・アドヴァージティ・リサーチの室長を務める学術博士で教授のチャールズ・ネメロフ博士がこの研究を主導しました。

“子どもたちを良い子にする最善の方法は、彼らを幸せにしてやることだ”

オスカー・ワイルド

精神疾患 リスク要因

精神疾患の主要なリスク要因

この研究を実施した研究者たちが指摘したのは、幼少期の困難な経験が精神疾患の主要なリスク要因であることだけではありません。彼らはまた、こういった経験はその他の深刻な結果をも引き起こす恐れがある点にも触れています。

まず、困難な、あるいはトラウマが残るような経験をした子どもは、安定した環境で育った子どもと比べて寿命が短くなるのだそうです。この研究では、虐待を受けることと、その後の肥満や発作、糖尿病、ガン、心血管障害などの病理の進行の関連も明らかになりました。

精神医学の観点から見ると、虐待を受けている子どもたちは依存症、特にアルコール依存症を発症する危険性が高くなります。また、うつ病やその他のあらゆる精神疾患に苦しむ可能性も高くなります。さらにこの研究では、この種のトラウマ的経験があるとセラピーでの治療が困難になってしまうことも指摘されました。

気がかりなデータ

研究により、これまでの予測では子どもたちのうち四人に一人が何らかの虐待やネグレクトの被害者であることが示されています。最も多いのが、精神的虐待やネグレクトを受けたり、あるいは親から見捨てられてしまうといったケースです。

収集データによれば、うつ病を患う患者の46%、そして双極性障害患者の57%が幼少期にそのような経験をしていたそうです。また、このデータからは虐待が始まった時期が早ければ早いほど、その悪影響はより深刻なものになるという結論も得られました。さらに、こういった患者を救うことは他のケースよりもずっと困難です。

同様に、虐待の度合いや期間といった要因にもその影響は大きく左右されます。いずれにしても、あらゆる形態の虐待が永久に治らない傷跡を子どもたちに残してしまうと言う事実を研究者たちは強調しています。そしてそれこそが精神疾患の主要な危険因子であると主張されているのです。

虐待を受けた子どもたちのケア

この研究で明らかになった事実の一つとして、精神的な虐待やネグレクトが最も多い虐待の形態ではあるものの、同時にリアルタイムで対処されていないことが最も多い虐待形態である、というものがあります。これはなぜかというと、これらが明白でわかりやすい痕跡を残さない隠れた暴力形態だからです。

事実、親や保護者のそういった行為に晒されていた子どもたちの多くが、大人になってからもメンタルヘルスの専門家に相談しに行こうとしません。自身が虐待の被害者であるとはつゆほども思っていないのです。

こういった子どもたちは最終的に、人生や己のパフォーマンスに失望することとなります。しかし、その原因を自分が育った環境にいた大人たちの過去の行為に見出そうとすることはありません。多くの人が、虐待とは物理的な暴力があって初めて成立するものだと信じ込んでいるのです。

精神疾患 リスク要因

精神疾患の危険因子に関する驚くべき要因

この研究でわかっている事実の中でもかなり衝撃的なのが、これは世代間の遺伝性のトラウマに関連しているということです。この現象に関しては、ホロコースト生還者のユダヤ人を対象に広範囲的に調査が行われましたこれは、深刻な精神的トラウマを経験した人々の精子や卵子で発見された変形と関連しているようです。

こういったケースではエピジェネティックメカニズムを通じてトラウマによる影響が遺伝的に次の世代へと引き継がれるのだ、と専門家は指摘しています。これにより、多くの人々が外傷後ストレスと同種の特殊なタイプのストレスを感じやすくなってしまう可能性があります。

最後になりますが、この研究者たちは虐待を受けた子どもたちの脳内での変化についても強調しています。こういった子どもたちの灰白質の量は少なくなり、腹内側前頭前皮質および背外側前頭前皮質も薄くなってしまうそうです。これまでに分かっている事実をさらに探究していくためには、このテーマに関する更なる研究が求められます。

Se identifica principal factor de riesgo para trastornos mentales – Medscape – 17 de feb de 2020.