アルカトラズからの脱出:サスペンスと自由

2019年10月18日
アルカトラズからの脱出は、刑務所を題材にした映画の中でも、もっとも有名は作品の一つでしょう。自由の尊敬を純粋に描いた作品です。作品の最後まで続くサスペンスは、観ている私たちにも臨場感が伝わってきて、窒息しそうな感覚や、閉所恐怖のような感覚にさせます。この記事では、アルカトラズの獄中について紹介します。

「アルカトラズからの脱走」は、世界で最も孤立した場所からの、生存の確率が低い脱走を描いたものです。また、アルカトラズは「もっとも危険な犯罪者」が収容されていた場所です。この作品は、ある程度実際の話に基づいており、ドン・シーゲルが1979年に制作しました。それ以降、この作品の存在をことを考えずに、他の刑務所関連の映画を観る人は少ないでしょう。

冷たくて悲惨な監禁状態の描写や、窒息してしまいそうなサスペンスがこの映画の見どころです。体が椅子にはりついて、目はスクリーンに釘付けになるでしょう。イーストウッドの謎をひめた表情、他にないロケーション、そして実際の話に基づく点がこの映画の鍵となりました。なぜか、実際の話に基づいた映画はより多くの人の興味をそそるものです。

島に設置された、監視が厳しく行き届いた刑務所は、凶悪犯を監禁するには最適の場所であったはずでした。しかし、そこから脱獄した者は何人かいます。脱獄者が生き延びたかどうかを知る人はいませんが、それが理由でアルカトラズは世界で知られる場所となりました。映画は、このイメージに色をつけ、全体的な想像を可能したことにより、観客がそれぞれに憶測を立てられるようにしました。

ドン・シーゲルは卓越した刑務所映画を残しました。彼はドラマと深い悲しみを映画にもたらし、観客をアルカトラズに収容されていた囚人に共感させました。囚人たちは、自由を求めて、生き延びていたのです。

アルカトラズ、監房の暮らし

アルカトラズ島は、カリフォルニア州、サンフランシスコ湾付近に位置します。昔は軍事要塞として使用されていましたが、アル・カポネなどを収容していた場所としてよく知られています。29年間刑務所として使用され、その後はアメリカの原住民が使用していました。現在、アルカトラズは国立公園となっています。

政府の刑務所として使用されていた期間は、刑務所に務める職員とその家族の住居も島にありました。アルカトラズの主な機能は、極悪な犯罪者を収容することでした。他の刑務所では負担となっていた受刑者や、社会復帰が不可能と見なされた受刑者などです。アルカトラズは近づくことができず、万全の監視が行き届いた刑務所でした。囚人は他の囚人と話すことさえも許されていませんでした。

アルカトラズ刑務所に対して、謎のミステリーや恐怖感が大きくなっていきました。凶悪犯が収容されている一方で、虐待行為が行われているという噂が後を絶たなかったのです。また、指をバラバラに切断したり、自殺する囚人の数も増えました。

アルカトラズからの脱出

アルカトラズの評判は長年の間最悪で、本当に何が起こっていたのかは、今も謎に包まれたままです。それにも関わらず、噂は大きくなるばかりでした。しかし、刑務所の環境は、噂によるほどに悪いものではないと主張する人たちもいました。また、囚人の中には、アルカトラズの食事の方が自分が今いる刑務所よりも良いので、そちらに移してほしいと願い出る者もいました。どのような場合にせよ、アルカトラズに関する論争が止むことはありませんでした。アルカトラズは悪意に取り憑かれた様な場所だったのです。

実際のストーリー

アルカトラズが刑務所として機能していた最後の数年は、囚人の厳しいルールが排除されたり、相当緩くなりました。脱獄しようと試みた囚人は何人かいた様ですが、その中でも2つ有名になった例があります。

  • 「アルカトラズの決戦」はその一つで、職員2人、囚人3人、計五人の死亡者を出しました。その他にも怪我人が数人いたとされています。
  • 2つめは、1962年6月11日に起きた、アルカトラズからの脱獄で、唯一の成功例であり、映画の題材となった話です。

この脱獄計画の黒幕は、フランク・モリスで、麻薬の所持と武装強盗で刑に服していた、平均よりも高いIQを持つ人物です。ジョンとクラレンス・エングリン兄弟も彼と脱獄に成功しました。また、アレン・ウェストも計画に参加し、脱獄する予定でしたが、換気口でのハプニングにより脱獄には至りませんでした。計画は完璧で、囚人は証拠を残すことなく消え去りました。FBIは彼らが死亡したと発表しましたが、真実は謎のままです。

エングリン兄弟の母親が、母の日に2つの花束を受け取ったという話もあります。また、彼らがまだ生きていることを証明するかの様な写真も見つかっています。2013年、FBIは、ジョン・エングリンからの手紙をうけとりました。内容は、脱獄は成功し、その時彼は病気であったとするものでした。その後FBIはもう一度事件の捜査を再開しました。本当に何が起こったのかを知ることはないかもしれませんが、こういった謎がストーリーをより一層魅力的にするものです。

なぜ人はこのような話に惹かれるのか

このような話に惹かれるのは、想像を掻き立て、解放されたいという彼らのゴールに共感できるからです。この作品は私たちの想像に映像を植え付けることで、脱獄がどんなに素晴らしいものであったかというのを可視化してくれます。社会から隔たれた刑務所で苦悩の末自由を手に入れるという目的を達成するという話は、凶悪犯をヒーローの様に描いています。

アルカトラズからの脱出:自由への狭き道

アルカトラズからの脱出

映画は、まるで幽霊が出てきそうな、真夜中のアルカトラズ島のシーンから始まります。雨と音楽がシーンをより一層際立てます。そこに、フランク・モリスが守衛に連れられて、刑務所へとやってきます。灯台が遠くに見え、画面が少しづつ島に近づいてきます。とても効果的な始まりで、全ての要素が完璧に描かれており、観客をストーリーの中へと誘っていきます。

この作品では、フランク・モリスは、ほとんど言葉を発しない、静かな人物として描いています。彼の表情は冷たく、感情が少しも伝わってきません。クリント・ーストウッドはこの主人公を完璧に演じきっています。またシーゲルはイーストウッドの謎めいた表情、行動、表現力を最大限に活かすことに成功したました。

作品を通して、観客は、フランクが普通の人間よりも、はるかに秀才であるということを徐々に理解していきます。しかし、本性を知ることはできません。彼の役をとりまく謎めいたオーラには素晴らしいものがあります。同じ様に、他の囚人や職員も、作品を通して、実によく描かれています。

アルカトラズからの脱出

「アルカトラズからの脱出」は刑務所の暗闇と、囚人達の苦悩的な生活に観客を引き込んでいきます。この作品で、モリスがどれだけ鋭い人間かというのがよくわかるでしょう。鈍いリアリズム、脱獄計画、そして、それがどのように実行に移されたかが事細かに描写されており、そのことがこの作品を最高傑作にしているのでしょう。張り詰めた感覚は、作品の終盤にかけてさらに大きくなります。

サスペンス

このストーリーをすでに知っているかどうかは関係ありませんし、脱獄計画の詳細をすでに知っているかどうかも関係ありません。この作品が素晴らしいのは、最初の数分で得る緊迫感が、作品を通して最後まで続くという事です。この緊迫感は、何かを知っているからこそ得られるものです。

例えば、最後どうなるかすでに知っていても、どの様にして脱獄犯がそれを達成したのかを知りたくてたまらなくなります。彼らの恐怖や、不安、そして苦悩を作品を通して感じ取ることができます。登場人物の自由に対する欲望はとても強く、脱獄がバレるかもしれない、または銃で打たれて死んでしまうかもしれないという恐怖感が彼らを止めることはありません。

そして、映画の終盤に近くと、少し息抜きできる場面があらわれます。安堵の波がやってくるのです。作品のはじめに感じた、窒息してしまいそうな雰囲気の暗闇の中に一筋の光が見えます。

最後に

アルカトラズからの脱走は、20世紀最大のミステリーの一つを掘り下げる機会を与えてくれます。実際のストーリーの様に、はっきりとした結末はありません。この作品は巧妙に、非言語のコミュニケーション、そして、苦痛的で息が詰まりそうな監禁環境が作り上げる雰囲気を描いています。しかし、作品を通して、根底にあるのは自由の欲求です。ですから他の映画や、サスペンスに影響を与え続けているのです。

最後に残された質問は一つ、自由とはなにかです。彼らは結局生き延びなかったのかもしれません。もし生き延びていたとしても、そうでなかったとしても、かれらは結局自由だったのではないでしょうか?なぜなら、死は、生きていることよりも自由であるからです。なぜこのストーリーに人が惹かれるのかは、私たち人間誰もが欲している「自由」を描いているからなのです。