アルコール依存症の神経生物学

2019年11月14日
アルコールは脳にどのような影響を与えるでしょうか?神経生物学によってその答えを導き出す試みがなされています。

人間の行動を説明する神経解剖学および神経機能的フレームワークがあるように、アルコール依存症における神経生物学も存在します。この記事では、アルコール中毒の人間の脳で何が起こるかをご説明します。

アルコールは最も広く使用されている合法薬物です。それは大きな社会的および経済的負担を負い、身体的および心理的依存を生み出します。 WHOによると、アルコール依存症の人口は世界中で1億4000万人にものぼり、早死の要因ワースト5位と言われています。

結核からHIV、感染症まで、アルコール消費に関連する多くの病気や症状があります。アルコール摂取後、問題や依存症がある場合、脳はどうなるのでしょうか?それを解明するために、アルコール依存症の神経生物学が登場しました。

アルコール依存症の神経生物学

アルコール依存症の原因とその拡大には、生物学的、心理的、社会的、環境的要因の相互作用が関係しています。

アルコール依存の原因として最も有力であるのが遺伝的要因です。アルコール依存症の先天的性質は最大60%を占めると言われています。

アルコール依存症

生化学的な観点から見ると、アルコール依存症のリスクは、アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素で構成されるタンパク質をコード化した遺伝子の変異と関連しています。

研究者は、遺伝的起源に加えて、トラウマとなる衝撃的な出来事を経験した後に発生するMAO-A酵素(モノアミノオキシダーゼA型)のレベル低下など、他の潜在的な神経生物学的原因も示唆しています。

MAO-Aのレベル低下は反社会的行動の増加に関連しており、アルコール依存症の危険因子です。

他にもアルコール依存症の原因はあります。学習経験や人格特性などが挙げられます。結果は同じですが、神経生物学的効果とは異なる要因と言われています。

ご存知でしたか?:
アルコール依存症と習慣の違い

ホルモンと神経伝達物質

科学者は、アルコールが直接的または間接的に、広範囲において神経系の神経伝達物質と相互作用することを証明しています。この相互作用は、エタノール脂溶性の性質により発生し、エタノールは血液脳関門(BBB)を通過して脳に到達します。

エチルアルコールと相互作用しやすい神経伝達物質とホルモンは次のとおりです。

  • ギャバ
  • グルタミン酸
  • 内因性オピオイド
  • ドーパミン
  • アドレナリンとノルエピネフリン
  • アセチルコリン
  • セロトニン
  • カンナビノイド
  • 副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CLF)
  • ニューロペプチドY
神経生物学

アルコール依存症は、内因性動機と報酬システムの生理的調節能力の不足によるものです。人間の行動に影響を与えるこれらのシステムには、脳構造が関与しています。つまり辺縁系、扁桃体、海馬、尾状核、側坐核、前頭葉などのシステムです。

システムの機能障害は、アルコール依存症、アルコール中毒、または禁断症状に影響を及ぼします。

こちらもご参考に:
神経生物学からみる中毒

アルコール依存症の影響

アルコール消費は、抑制効果と中枢神経系抑制効果をもたらします。前者は、脳の構造の閉塞と変化、ならびに思考、反射、または倫理的価値などに関連するプロセスによって特徴付けられます。さらに、特定の感情の衝動性を促進しコントロール能力を低下させます。

これにより非常に関連性の高い認知機能が永続的に影響を受けます。これらには、実行機能(行動に関連する認知プロセス)前頭葉、記憶の問題、視覚空間能力の不足、運動および眼球運動の制御問題が含まれます。

アルコール消費において実行機能は、衝動性、鈍感な感情、判断力の低下、集中力の欠如、脱抑制およびモチベーションの喪失などの形で現れます。

抑制不能

アルコールの抑制が効かなくなり、通常ではしないような振る舞いをすることがあります。アルコールは、一時的な自由の感覚、共感、感情の増加を提供します。

通常、脳でアルコール依存が発生するには、長期に渡ったかなりの量のアルコール消費が必要です。

アルコール依存症の発症は、アルコール消費が脳内にもたらす正の強化によって説明できます。 この物質の摂取は、脳の報酬システムを活性化し、脳がより多くを消費したいと感じる快適な感覚を生成します。

アルコール依存患者を助ける方法は多く存在します。 アルコールの解毒プロセスを開始するには、医師に相談することが最善の最初のステップでしょう。

今回ご紹介したようにアルコール依存症の神経生物学は、アルコール依存がどのように、どんな時期に起こるのか説明しています。しかし、なぜそれが起こるのかを説明するのは非常に困難です。 様々なアプローチが依存症に苦しむ人々にとって大きな助けになることを願わずにはいられません。

  • Herrero Carcedo, C. (2018). Alcoholismo y epigenética. Publicación independiente.
  • Rey-Buitrago, M. (2915). Genética molecular del alcoholismo. Revista de la Facultad de Medicina de la Universidad Nacional de Colombia, 63, 483-94.