新しいテクノロジーは治療ツールとして使えるか?

· 2019年3月14日

新しいテクノロジーは私達の習慣や生き方を変えてきました。今日、私達はスマートフォンなしでは家を出ることもできず、メールやソーシャルネットワークを常にチェックしている状態です。こうした新しいテクノロジーは今後も残っていくものでしょう。なぜなら、私達はとりわけこのテクノロジーを中心に生活を築き上げてしまっているからです。

こうした新しい形のコミュニケーションやそれが示唆するものを手放して、昔を懐かしむ人も何人もいます。ですが、こうしたテクノロジーがあることで、私達の生活の質が(必ずとは言えませんが)ずっと良くなることは否めません。心理学の分野では、新しいテクノロジーに重大な利点が様々あるため、治療ツールとしてどんどん使われるようになっています。

時に新しいテクノロジーはコストを抑えるため、忙しい生活を送っている人や旅行が多い人にサービスを提供するため、あるいは、様々な状況を厳しい管理体制がなされた状態でシミュレーションできる疑似体験療法を施すために使われています。テクノロジーが使われたツールは心理学において、特定の恐怖症やアルツハイマー病、不安障害や強迫性障害などの様々な疾患を治療するために適用され始めています。

シミュレーション治療

バーチャルリアリティ

認知行動的観点から特定の恐怖症を治療する方法の一つとして、恐怖の対象となっている物への曝露があります。ですが、恐怖症によっては、実際の曝露は難しく、危険とすらなり得るため、心理学者はテクノロジーを利用し始めました。例えば、飛行機に乗る恐怖を治すには、訓練中のパイロットが使用しているのとよく似たフライトシミュレーターを使います。

バーチャルリアリティは、恐怖の対象となっている物や状況に逐次接近させるのに有用な方法です。動物への恐怖や人前で話す恐怖にも適用が可能です。この方法は、バーチャルシミュレーションがより現実的になるにつれ、より頻繁に使われるようになっています。

バーチャルリアリティの他の利点は、家庭で治療を受けられる可能性があることです。当然、テクノロジーが訓練を受けたセラピストに取って代わることはできませんが、クライアントが自宅で取り組むべき課題をより安易なものにすることは可能になります。時間や場合によっては金銭面においても節約が可能な資源です。バーチャルリアリティは恐怖症を治療するだけでなく、補完療法としても優れています。

コンピュータでの認知刺激

認知刺激とは、ある特定の認知機能を訓練することを目的とした介入方法の一種です。病気によって影響を受けた機能を強化させたり、改善したりするのに使われます。この方法は、通常、認知症の人に使用され、記憶や言語、その他の関連した機能に効き目があります。

認知刺激プログラムはタブレットやコンピューターを活用したものが多く開発されています。この方法は実に多用性に富んでおり、治療内容を低価格かつ個人に合わせてカスタマイズすることが可能です。

高齢者にとっては、新しいテクノロジーは使い方を学ばなければいけないので、こうしたものを使うこと自体が刺激となります。科学的研究の多くが、良い効果が見られた新しいテクノロジーによる認知刺激を使用しています。

ソーシャルネットワークとテクノロジー

心理療法でテクノロジーを使用することで見える未来

心理療法業界においても、テクノロジーを目にする機会がだんだんと見られるようになることは必至です。例えば、既にスカイプでのセラピーセッションを提供している心理士が存在しますし、その日の気分を記録するために作られたアプリも既に存在します。メンタルヘルスが良くなると謳うアプリをいくつも見つけることもできます。テクノロジーの提供が増え続けると共に、どれが自分にとって役に立つかを見極められるようになることが大切です。

全てのアプリがメンタルヘルスを改善するという約束を果たしてくれるわけではありません。選ぶ時は、その効果や理論を支持する研究があるかどうかを見ましょう。いずれにせよ、アプリは決して専門家の代わりになるものではありません。ツールや資源として有用であり、セラピーの効果を強めたり、より効果が出やすくしてくれるかもしれませんが、実際の心理士に代わるものでは決してありません。

最後に、心理検査の実施におけるテクノロジーの役割を特筆しておきたいと思います。テクノロジーは評価段階を劇的に短くすることができるため、迅速な結果報告が可能になります。この方法だと、心理士や心理学者は検査内容を採点する必要がなくなり、結果を読み取り、その考察を他の検査結果や評価と照らし合わせることが可能になります。そのため、正確な評価ツールを作成するのにより多くの時間を費やすことが可能になるのです。

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