永遠のデジャブを生きる「ルイ・バー症候群」

あらゆる新しい状況をすでに経験したよう感じることを想像できますか?これが、 ルイ・バー症候群の人の生活です。

最後の更新: 25 1月, 2021

季節は夏です。家族でトランプをしながら、最近あったことについて話しています。突然、前にもこれを経験したように感じること…これが、デジャブです。では、常にこんな風に感じたらどうだろうと想像できますか?それが、最初に記録されたケースの人の名前が付けられた「ルイ・バー症候群」の人が常に経験していることなのです。

デジャブとは一体何でしょうか?その名前はどこから来ていて、なぜ、どのように起こるのでしょう?そしてデジャブは病気なのでしょうか?

デジャブとは?

デジャブという言葉はフランス語で、「すでに見た」と言う意味があります。異常を感じる記憶錯誤を表すのにこの言葉は使われています。実際には経験していないと分かりつつ、経験があるように感じることです。その結果、新たな状況や出来事、何かの発生に親近感を覚えます。さらに、「奇妙さ」や「疎外感」を感じることも多々あります。

デジャブという言葉は、1876年、フランスの哲学者エミール・ブワラッグにより初めて使われています。雑誌『Revue Philosophique de la France et de l’Étranger』で、前世の経験であるのように感じるという雑誌の読者の意見への反応として書かれました。ブワラッグは、「J’ai déjà vu ce que je vois(今見ているものはすでに見たものだ)」と自身も同様の経験があると答えています。

心理学者エドワード・B・ティチェナーは、デジャブは、脳が経験の意識的な知覚を「建設」し終える前の物事や状況に対する簡単な像であると説明します。知っているような誤った感覚として現れる「部分的知覚」の一種のようなものなのです。そして1896年、フランスの精神科医Francois-Léon Arnaudがデジャブという言葉を作りました。Arnaudは、患者であったルイのケースを医学心理学会で発表しました。

ルイ・バー症候群

ルイは、ベトナムに行った後引退した34歳の陸軍将校でした。彼には非常に変わった症状がありました。現在と過去が混ざっており、また、過去数か月や数年でデジャブを継続的に経験していたのです。

ルイはFrancois-Léon Arnaud医師が働いていたVanves Health Houseを訪れました。初めて訪れた日に、彼がすべてを見たことがあるように感じたことも驚くべきことではないでしょう。また、過去にここに来た時に「感じた」ことを感じることができるとも言っています。これは、déjà senti(すでに感じた)と言われる現象です。医師に会った時も、医師が彼に会ったことはないと言った時、そのようなふりをしているのだとルイは信じていました。

彼がここを訪れたことはないという証拠がありながら、彼は「2つのパラレルワールド」を生き、すべてを2回経験していると固く主張したとArnaudは言っています。

病気ではないデジャブからルイ・バー症候群まで

デジャブは普通のことです。実際、三分の二の人が経験しています。しかし、慢性的デジャブは正常ではありません。神経損傷と関連していることが多々あります。実はルイの症状は、ベトナムで受けた何らかの病気によるもので、それが神経系に影響を与えたと考えられます。

Arnaudは、正常なデジャブと病的なデジャブとの違いを、よりシンプルで効果的に説明しています。健全な人のデジャブは稀で一時的なもので、以前にも見たあるいは経験したことがあるという感覚は、幻想でしかないと認識しています。一方で、このような経験を実際にしたことがあると強く信じている人は病的デジャブです。

今、ルイのケースを分析すると、最も適切な診断はデジャブではありません。それは、デジャブが比較的正常な経験であるためです。ルイの症状は重複製の記憶錯誤あるいは集合的作話に当たります。健忘による記憶のギャップを埋めるために作られた記憶の集合なのです。

不明瞭な現象

集合的作話とデジャブの両方において、脳のいくつかの領域が関連していることが分かっています。集合的作話は、内側側頭葉と前頭葉が関係しているようです。また、感覚や感情と関連する脳の部位である島皮質と関連しているという研究もあります。

これを証明するためには、さらなる神経画像研究が必要です。また、研究室でデジャブを引き起こすことも可能になるでしょう。これは複雑なようですが、科学の発展はすさまじく、思っているより早く答えが出るかもしれません。それまで、ルイ・バー症候群のケースがすべて幸せな瞬間でありますように。

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  • Bertrand, J., Martinon, L. M., Souchay, C., & Moulin, C. (2017). History repeating itself: Arnaud’s case of pathological déjà vu. Cortex; a journal devoted to the study of the nervous system and behavior87, 129–141. https://doi.org/10.1016/j.cortex.2016.02.016 Labate, A., Cerasa, A., Mumoli, L., Ferlazzo, E., Aguglia, U., Quattrone, A., & Gambardella, A. (2015). Neuro-anatomical differences among epileptic and non-epileptic déjà-vu. Cortex; a journal devoted to the study of the nervous system and behavior64, 1–7. https://doi.org/10.1016/j.cortex.2014.09.020