半側空間無視、体の半分が「存在」しなくなる

· 2019年2月16日

半側空間無視(ヘミネグレクト)について聞いたことはありますか?脳に損傷を受けた人によく起こる障害の一種です。言葉の起源をみていくと、その意味を予想できるかもしれません。半側空間無視には、いくつか種類があります。

接頭辞「ヘミ」は、半分のという意味です。ここでは、視野の半分を意味します。「ネグレクト」は、何かに対する注意の欠陥や見落としを意味します。自分や周りの人に危険を及ぼす過ちをおかすことになりかねません。

この概念を脳の損傷に重ねると、半側空間無視は、体の半分への注意の欠陥となります。より詳しく言うと、体の半分に生じるあらゆる刺激(聴覚、触覚、視覚…)に対する注意に完全に欠けているということです。

 

半側空間無視と、左側にあるものをなくすその力

この状態の人は、本人の体の片側に起こることが見えていません。奇妙なものですが、それが半側空間無視の人を見た時や話した時の印象です。

操る脳

そこにある刺激を完全に受けることはできますが、問題は、その人の注意にあります。体の半分に注意を向けません。それは、まるで存在していないかのようです。ところが、その半分に集中するよう促すと、そこにある刺激を完全に受け取ることができるようになります。刺激の種類に関わらず、意識できるようになります。

皆さんご存知のように、脳は、2つの半球からなります。どちらかの半球が損傷を受けると、体で特にダメージを受けるのは、損傷した半球と逆の体半分です。

右側が損傷を受けると、左側に影響する

右脳が損傷を受けたのであれば、最も影響を受けやすいのは、左半身でしょう。また、左脳に起こったのであれば、右半身が影響を受けるでしょう。これらの体への影響は、片側不全麻痺(部分麻痺)から片麻痺(全麻痺)まで様々です。

矢印

半側空間無視は、通常、右脳に関連する脳の損傷に付随します。少なくとも、このケースが多いと言えるでしょう。つまり、左半身に影響を及ぼします。この状態の人が、半身が存在しないかのように注意を向けるのをやめてしまうのが左半身です。左を向こうとせず、左からくる刺激に反応できません。

半側空間無視の人は、より健康な脳の半球でコントロールできる側に注意を向けます。多くの場合、右半身です。左から話しかけても、相手は話を聞いていないようにみえます。ところが、右側からまったく同じことを言うと、反応はまったく異なります。

 

半側空間無視の治療には、補正ストラテジーが有効

「気づかなかった!ごめんなさい!」このような状態にある人に良く見られる反応です。だから神経心理学で行われる治療の一つが、完全に「損傷した」注意に働きかけることです。どうするのでしょう?傷ついた脳と反対側の体に注意を向けなおすようにするのです。

医師

また、この足りない部分に意識を向けることが大切です。それは、半側空間無視が、病態失認を伴うことが非常に多いためです。患者が問題に気づいていない状態を病態失認と言います。

そこで、これらの問題に気づかせることが必要です。そうすると、探しているものが見つからない時、自ら自分のガイドとなり、補うことができるようになるでしょう。探しているものはきっと、「存在しなくなった」片側にあるからです。