肥満―精神科にできること

2019年4月11日

肥満には、さまざまな身体的、遺伝的、心理的、環境的要因が関わっています。見た目への影響もそうですが、世界保健機関は、肥満には危険な結果が伴うと言っています。もっともよくあるものとしては、循環器系の問題、運動障害、そしてある種のがん(肝臓、胆のう、腎臓、結腸などのがん)などです。

近年では、精神科が肥満の治療に特に関わるようになってきました。精神科医が、太りすぎあるいは肥満の人が特別なツールを使えるように協力しているのです。これらのツールは、体重を減らしたり手術をした後に体重が増えないようにすることに役立ちます。

この記事では、専門家の言う肥満や太りすぎの人についての異なる要素について見ていきます。ここでは、精神的な性質に特に注目します。また、こういった場合の精神的療法の重要性とその性質についても強調していきます。

肥満や太りすぎにはどんな要素が関わっている?

肥満はさまざまな要素のある病気です。いろいろな原因や変数が、この存在と源に関わっています。次で、専門家が肥満や太りすぎに関わっているとする主な要素をざっと見ていきます。

遺伝的・身体的要素

遺伝子の肥満への影響は、とても議論になっているものです。しかしわかっていることは、遺伝的理由による肥満のケースはとても少ないということです。臨床データとして肥満や太りすぎになることが含まれる遺伝的症候群が存在することは事実です。しかし、肥満患者の約90%にはこれらの症候群が存在しないのです。

他にもよく信じられていることとしては、甲状腺疾患やその他のホルモンの問題が肥満を引き起こしているというものです。太り始めた人のほとんどは、自分の体重増加の説明として内分泌系や代謝の問題を見つけようとします。しかし、たいていそれは見つからないのです。

肥満と精神科

ですので、科学者が肥満に関するある遺伝子や身体的要因を特定してきましたが、これらの遺伝子はとても数少ないケースにしか当てはまりません。自分の親や家族も肥満であるため、肥満を自分の遺伝的構成のせいにしている人はたくさんいます。しかし、これは家族も似たような環境にあるということが大きな理由なのです。家族は皆似たような食習慣を持ち、食べ物や体に対して同じような姿勢をとります。これらの要因が「家族に遺伝している」のであり、遺伝子のせいではないのです。

「健康な体とは、魂にとっての客室である。一方病気の体は魂の牢獄である。」
―フランシス・ベーコン―

肥満や太りすぎに関する精神的変数

感情は、専門家が肥満や太りすぎに関わっているとする精神的要素です。その人の精神状態が、その人の食欲、食事の時間での態度、そして食べ物の好みや選択に直接関わるのです。

感情は直接食欲に影響します。それがどのように影響するかは人によって違います。悲しみや喜びのような感情が、食欲を増進させることもあれば減退させることもあります。その効果は人それぞれなのです。不安を感じるとたくさん食べてしまう人もいれば、食べられなくなってしまう人もいます。これは感情に起因するものであり、その物理的発現の直接的な効果なのです。

間接的には、感情は特定の種類の食べ物を食べたくなる傾向に関わっています。例えば、仕事のストレスは食欲を減らす傾向にあります。そしてその悪い点は、ほんの少し食べるものが加工食品やカロリーの高いものだということです。ポジティブでリラックスしているときには、よりたくさんの量をゆっくり食べます。

また、自分の感情をコントロールするために食べ物を使ってしまうことで、肥満や太りすぎに悩まされているという人もたくさんいます。この場合、イライラした時、暇なとき、あるいは不安な時に食べてしまうのです。食べ物が気分をよくしてくれ、一時的な安心感を与えてくれるからです。自分の気分をよくするために食べ物に頼ってしまうのです。しかし、多くの場合、後から罪悪感を感じ自分を責めてしまいます。

近年では、「食べ物依存症」という考え方が人気を博しています。科学コミュニティや心理学コミュニティは、この話題について統一した意見を持っていません。これはある程度議論の余地のあるものなのです。それは研究によって異なる結論が出ているためです。食べ物依存症は存在するという考えを支持するものもあれば、それを否定するものもあるのです。

食べ物と食べることが、脳の中にご褒美と認識されることは興味深いことです。食べ物は、気分の変化を起こし認知力をゆがめる物質、例えばアルコールやその他の薬物、ギャンブルなどと同じ場所を活性化させるのです。そのことを頭に置いておくと、特定の食べ物はとても強力で繰り返しポジティブにさせてくれるものであるため、食べ物依存症は存在すると言えるでしょう。

最も重要な心理的変数の一つが、「個人的習慣」です。心理学者はそれを「ライフスタイル行動」と呼んでいます。日々の日課、食事、食習慣に関わる全ての行動は、人々を肥満や太りすぎにする変数になります。また、これらの習慣が手術や食事をうまく変えた後太ってしまうことの主な原因なのです。

私たちを肥満や太りすぎにする原因となる習慣はいくつかあります。最もよくあるものは、運動不足と無意識に食べてしまうこと(食べているときに上の空になること)です。他には、自分の気分に合わせて食べ物を選んでしまうこともあります。また、何かをしながら食べたり、何も食べずに何時間も過ごしてしまうことも関わっています。これらすべての理由から、私たちの子どもには、小さい頃から健康的な食習慣について教育することが欠かせません。これらの習慣は、肥満になることから子どもを守ってくれるでしょう。

健康的な食習慣を身に付ける

肥満や太りすぎに関する環境要因

環境要因は、最も重要なものの一つです。それは、環境的な影響が肥満や太りすぎのカギとなる役割を果たしているからです。まず、あなたがいる環境があなたが食べる食べ物の量に大きく影響します。例えば、人は誰かと一緒に食べると、より多く食べる傾向にあります。

仕事の種類やスケジュールも、あなたがどれだけの量食べるかに影響します。夜のシフトで働く人は摂食障害や体重の問題(拒食症、過食症、肥満など)を抱えやすくなります。仕事のスケジュールの変化や、夜仕事をすることが睡眠障害を引き起こし、日周リズムや体内時計を狂わせてしまう恐れがあります。そうすると寝るのが困難になり、ネガティブなムードになってしまいます。こういった場合、食事が自分の精神状態をコントロールするための方法になってしまうかもしれません。それが食べすぎや食べなさすぎになってしまう可能性があるのです。

肥満や太りすぎの人のための精神療法とは?

精神療法は、肥満や太りすぎの人の治療には必要不可欠です。これは食事の変化や手術の結果を成功させ、効果的にするのに役立ちます。精神療法はまた、患者が長期的な変化を維持することにもつながります。精神科医が患者の食習慣、状況、その人の習慣に影響する要素を診断します。そして、特定の心理的介入を提案するのです。

肥満や太りすぎのための精神療法は、その患者の具体的なニーズに常によっています。一般的には、精神科医は食べ物に関する全ての習慣に取り組むことになるでしょう。まず、食べ物や食事に関する全ての心理的要素を詳しく診断します。心理的診断の結果によって、患者が心理療法の中でどんなことを行っていくのかが決定するのです。

肥満や太りすぎの人を、精神科医はどう助けるの?

精神科医は行動、感情、そして思考に特化した健康の専門家です。ですので、あなたの不健康な習慣を変えるのを助けるのに最も適した人たちなのです。精神科医はまた、あなたの自尊心を高めてくれるようなポジティブな方法で、自分の気持ちをコントロールする手助けもしてくれます。

精神療法を行わなければ、肥満へのいかなる介入も完成しません。体重の問題だけに取り組めば、患者は体重を数キロ落とすかもしれません。そしてそれはとてもやる気を起こさせるものかもしれません。患者に強さを与え、自尊心を高めてくれるでしょう。しかし、これでは問題の根っこに取り組んだことにはなりません。治療は、患者の人生における食べ物の感情的な役割と患者の不健康な習慣も考慮に入れなければならないのです。

「健康と幸せは互いに高めあう。」
―ジョセフ・アディソン―

肥満には精神療法が必要

あなたは自分の習慣を変え、ストレスや感情に対処できるようにならなければなりません。そうでないと、不健康な習慣は戻ってきてしまいます。食べ物との関係が変わっておらず、体重が減っただけになってしまいます。体重だけが減り、ライフスタイルや食べ物との関係が変わっていないと、おそらくまたすぐに体重が増えてしまうでしょう。

ですので、肥満を精神的要素が重要な役割を果たす健康問題だと理解することがとても大切なのです。肥満を体重問題以上のものとして考えたとき、それに苦しむ人の生活の質を改善することができるのです。同時に、私たちは肥満である人に心理療法を探すよう動機づけする必要もあります。それを普通なことにすればするほど、それが非難されるものでなくなっていくでしょう。