ほぼ誰もが経験する感情、未知への恐怖について

未知への恐怖は、ある程度までの度合いであればかなり多くの人に見られます。そして、この感情のせいで身動きが取れなくなり、前進が妨げられてしまうことも多いものです。この記事を読み進め、未知への恐怖をもっと詳しく知っていきましょう。克服するためのガイドラインも紹介しますよ。
ほぼ誰もが経験する感情、未知への恐怖について
María Vélez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Vélez.

最後の更新: 21 12月, 2022

未知への恐怖は、最も基本的で有益な人間の感情の一つです。全世界の歴史を通して私たち人類は、生き延びるのに役立つこの感情のおかげで危険な状況に遭遇してもそこから抜け出すことに成功してきました。お気付きでないかもしれませんが、人間は危険性の高い状況を経験した後、そこから貴重な情報を学び取っています。何が自分たちを危険に陥れたのか、そして自分はそれをどう克服したかを記憶していくのです。その一方、情報不足に関連する恐怖心というものも存在します。

未知への恐怖は普遍的かつ人間に本質的に備わる感情です。事実、専門家たちはこれを様々な恐怖の中でもごく基本的なものだと考えています。不確実性は生活の一部です。将来どんなことが、どんな風に起こるのかを確実に知っている人など一人もいないのですから。これに関して、世の中にはこの恐怖への向き合い方が優れている人々もおり、この感情へアプローチして考え得る解決策を検討することができます。しかしながら、それ以外の人々は同じ状況を上手く乗り越えられず、自らの感情を遮断してしまうのです。

“人類の感情で最も古く、最も強いのが恐怖心である。そして恐怖の中でも最も古くて最も強いのが、未知への恐怖なのだ”

-H・P・ラヴクラフト-

ほぼ誰もが経験する感情 未知への恐怖

未知への恐怖

この種の恐怖は、心理学の専門家たちの間では「不確実性への不耐性」としても知られています。つまり、何か見知らぬものに遭遇した際にそれを危険だと捉えるがために恐怖心を経験する傾向、として定義しているのです。言い換えれば、人は自分の身にどんなことが起こるかわからない状況(あるいは刺激)に直面していることに気づくと、恐れを抱いてしまうということです。なぜならこの感情は、起こり得ることはおそらく不愉快なことだろう、という知覚とともに生じる場合が多いからです。

恐怖の個人差はありますが、この恐怖の出所は進化に関連しているようです。 古代の人類はあらゆる類の危険と直面せねばなりませんでした。そして、未知の領域へと入り込むリスクは相当なものだったにも関わらず、確実にそこから学びを得ていたのです。意識はしていないかもしれませんが、人間の脳は未知なるものを恐れるよう進化してきました。

不確実性は脳内に暗号化して記憶されており、これに対応するための独自の神経システムが存在すると考えられています。さらに、人が何か新しいものに出会った時にその情報が通過することになるフィルターのうちの一つは、その物体あるいは状況が脅威であるか否かをふるいにかけるものです。脅威か否かを判断するために、この神経回路は過去の経験の記憶が備蓄された倉庫のような場所にアクセスします。そして関連する情報が倉庫内で発見できない場合、脳はその新たな物体あるいは状況を潜在的な脅威として分類するのです。

結果

未知への恐怖に関するいくつかの研究により、この感情が扁桃体と海馬の活動を増大させることが明らかになりました。また、エラー関連陰性電位が増加し、行動抑制システムが活性化します。つまり、不確実性は恐怖と陰性電位を引き起こし、人を身動きの取れない状態にさせるということです。そのため、私たちは新たな状況から逃げ出したくなってしまいます。

この恐怖は古代においても現代においてもある程度の適応機能の役割を果たしており、潜在的な危険を前にして注意深く行動することを可能にします。しかしながら、恐怖の強さによって食べ物や避難場所の獲得、新たなチャンスの探求、そして人との新しい出会いといったその他の活動が抑制されてしまいかねないのです。

未知への恐怖から引き起こされる麻痺状態と、その結果生じる障害により、恐怖心に立ち向かうよりもネガティブな結果を受け入れることの方を選びやすくなります。また、この種の恐怖は不安障害や社交恐怖、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、薬物依存、うつ病など、他の精神疾患との関連が深いようです。

ほぼ誰もが経験する感情、未知への恐怖について

未知への恐怖を克服するための5つのガイドライン

未知の何かに対する強烈な恐怖心は、何らかの精神疾患の出所あるいは結果である可能性があります。このような感情を抱えていると、個人面、仕事面、そして社交面の領域での成長が妨げられかねません。これに対処するには認知行動療法が最善の選択肢だと言えるでしょう。この療法により、苦痛の原因となっているあらゆる思考を特定し、修正することができるからです。

しかし、恐怖心がそこまで強いわけではない場合は、一連のガイドラインに従うことで克服を目指すことができます。

以下が、未知なる場所を探検できるようになるためのキーポイントです。

  • 自分の恐怖心を受け入れ、特定しましょう。恐怖心は自然な感情であり、誰もが感じるものであるということを理解するのが一歩目のステップです。これは生命活動の一部であり、理性的な思考に基づいた感情ではないのです。そして次に、その恐怖心が全般的なものなのか、あるいは具体的な何かに対するもの(例えば死ぬことへの恐怖など)なのかを判断せねばなりません。
  • 特定の原因が存在するのかどうかを分析しましょう。恐怖は大抵の場合、何らかの悪い経験によって生じるわけではないということを心に留めておいてください。ただし、その未知への恐怖がこれまで受けた教育の産物であるか否かについてはよく考えてみる必要があります。
  • 自らの思考を疑いましょう。恐怖心に繋がる思考を分解してみることが、最も強力なツールの一つです。「この恐怖心の正当性を証明するような証拠を私は持っているだろうか?」、「何か悪いことが起こるだろうという考えの根拠は何だ?」、「起こり得る最悪の事態は何だろう?」といった質問を自分自身に投げかけてください。さらに、無事に不確実性を乗り越えられた時の例を三つ挙げてみましょう。この作業は、恐怖心を解体し、そこから生まれる不安感を和らげるのに役立ちます。
  • 失敗する可能性を受け入れましょう。期待をコントロールすることは、今後何が起こるかわからないという状況に陥った際の感情マネージメントにおいて特に重視されます。ミスを犯すことは悪いことではありませんし、それによって取り返しのつかないような結果になってしまうこともほとんどありません。事実、失敗から学習することにより、ある種の真理のようなものを得ることができますし、新たな状況を実験の機会と捉えることができれば、やがてそれが自分をワクワクさせてくれるものへと変わることも多いのです。

未知への恐怖についてのまとめ

これは、不快だとは言え自然な感情です。しかし、特定のゴールにたどり着くのを阻んだり、将来訪れ得るサプライズを享受するのを妨げる要因になる可能性もあります。したがって、賢く感情をマネージメントすることが、この恐怖を活用して自分の利益を勝ち取るための良い手段となるはずです。


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  • Barlow, D.H. (2002). Anxiety and its disorders: the nature and treatment of anxiety and panic (2nd ed.) New York, NY: Guildford Press.

  • Carleton, R. NORTE. (2012). los intolerancia de incertidumbre construir en el contexto deansiedad trastornos: teórico y práctico perspectivas. Experto revisión deNeuroterapéutica, 12, 937–947. http://dx.doi.org/10.1586/ERN.12.82


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