ハンチントン病 − その特徴と兆候

21 2月, 2020
ハンチントン病は、優性遺伝する神経変性疾患です。全般的に、その臨床的特徴は三つの兆候:運動障害、行動障害、認知機能障害を介して現れます。この記事では、この病気について医療介入の可能性も含めて紹介していきます。

ジョージ・ハンチントンが最初にハンチントン病について説明したのは1872年のことで、彼はこれを遺伝性コレア(遺伝性舞踏病)と呼んでいました。このコレアという用語はギリシア語で「ダンス」を意味するchoreiaという言葉に由来しています。彼はこの言葉を、患者の経験するひきつりや顔の歪み、そして制御不能な動きを強調するために用いました。それが、一部の地域でこの病気が”サン・ビットーのダンス”あるいは”サン・ビットーの悪事”としても知られれている理由です。

いずれにせよ現在の名称はハンチントン病であり、その症状は運動機能の問題だけではありません。これは皮質下発症の認知症の一部なのです。

ハンチントン病 特徴 兆候

疫学

この病気の有病率は10万人に5〜10人です。発症年齢は幅広く、10歳から60歳の間とされています。しかし普通は人生の中程の35歳から50歳の間に発症することが多いようです。そして始まり方は以下の二つのうち一つです:

  • 幼少期発症タイプ。症例のうち3-10%で、20歳以下の年齢の時に症状が現れています。ここには親からの遺伝の優位性、動作緩慢、体の凝り、重大な認知機能障害、そしててんかんにも特徴付けられる臨床像が見られます。
  • 後期あるいは老年期発症タイプ。症例の10-15%が60歳以後に変化が現れるタイプです。この病状は母系伝達され、ゆっくりと進行していきます。主に舞踏的症状を引き起こし、認知機能の変化はほとんどありません。

病状の進行は、初期症状が現れた後に進んでいきます。患者の寿命は10〜20年です。

ハンチントン病の遺伝的要因 − 脳構造の変化

ハミルトン病を引き起こす遺伝子変化は、第四染色体短腕で起こります。この遺伝変種が、線条体構造と大脳皮質の一連の変化を引き起こすのです。

病気が進行すると、両側の尾状核や被殻の萎縮および、前頭葉と側頭葉の萎縮が顕著になっていきます。

同様に、神経伝達システムにも変化があり、ドーパミン受容体の密度が減って新皮質から末端に向かうグルタミン酸値が減少してしまいます。

線条体は脳の前方に位置しており、大脳基底核へ情報を送るためのメインルートとなっています。この大脳基底核は運動機能および非運動機能に関わっています。これらの構造で起こる変化や変性の結果がハンチントン病に特徴的な三つの症状を引き起こす原因となっているのです。

ハンチントン病の3つの症状

運動障害

これが、この病気に関して最もよく知られている症状です。小さなチックから始まり、徐々に舞踏病型運動が増え、頭、首、そして四肢にまで広がっていきます。そしてこれらは最終的にその人物の生活に大きな制約を与えてしまうこととなります。

例えば、歩行がどんどん不安定になり、全体的な可動性を失っていってしまいます。

また、発話にも悪影響があり、時間とともにコミュニケーションがより困難になっていきます。そして嚥下による窒息の危険性が高まります。さらに体の凝り、動作の遅延、随意運動、特に複雑な動作のイニシアチブを取れないなどの変化があります。また、ジストニアや眼球運動障害も見られます。

認知機能障害

病気が発症してから最初の数年間の間、特に顕著な認知機能の欠陥が記憶や学習に影響を与えます。前者は、情報統合の問題というよりかは情報復元の問題が原因で起こります。しかし、認識能力は保持されます。

空間記憶および長期記憶の障害もよく起こりますが、深刻な漸進的劣化は見られません。

手順に関する記憶も変化するので、患者が学習済みの自動化された行動をどう行なっていたか忘れてしまう可能性があります。また、注意力にも悪影響があり、集中したり集中を保つのが困難になってしまいます。

中には発話流暢性の変化、認知処理速度の低下、視空間の変容、実行機能の障害などに苦しむ患者もいます。

行動障害

これらは最初の運動機能の兆候が現れる数年前から現れ始める可能性があります。ここには、頻繁なパーソナリティの変化、苛立ち、不安、診断前の段階での脱抑制などが含まれます。

この病気と診断された人の35-75%がその他の精神障害にも苦しむこととなります。その中の一部が、うつ、怒りっぽさ、興奮状態、不安、アパシー、自発性の欠如などです。また、感情面の変化、攻撃性、虚言や幻覚、不眠、自殺念慮なども見られます。

ハンチントン病 特徴 兆候

ハンチントン病患者の治療と、クオリティオブライフの改善

現在のところ、ハンチントン病を止めたり進行を逆戻しにする治療法はありません。医療介入が主に症状自体の治療や運動・認知・情緒・行動障害の補正となります。その目標は患者の持つ機能関連の能力を最大限に増大させることであり、それによって彼らのクオリティオブライフを改善させることです。

運動機能の症状は薬物治療や理学療法で対処されます。また、薬理学と神経心理学的リハビリテーションを組み合わせることで行動面や感情面の変容もコントロールすることができます。

この病気を扱うに当たって、遺伝カウンセリングは重要なツールです。これは、このカウンセリングがハンチントン病を受け継いだ可能性のある人々に発症前診断を提供することができるからです。そのため治療を早い時期から始めることができ、気持ちの面でもこの病気に備えることができるのです。

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