イライラ男性症候群:本当の中年の危機?

2019年9月10日
この病気やその名前は新しい用語なのであまり知られていませんが、イライラ男性症候群の症状は非常によく見られるものなのです。

イライラ男性症候群とは、ミッドライフクライシス(中年の危機)と呼ばれる中年期の様々な心理的な危機と考えられています。

イライラ男性症候群を発症すると、過敏症やイライラ、不安感、欲求不満、怒りなどが症状として現れます。これは、生化学的変化、ホルモン変動、ストレス、および「男性的なアイデンティティ」の喪失と密接な関わりがあると考えられています。

この病気やその名前は新しい用語なのであまり知られていませんが、イライラ男性症候群の症状は非常によく見られるものなのです。

これは中年期の男性におけるホルモンバランスに関連するさまざまな現実と、中年期の男性が対処しなければならない社会的な責任やそれに対する感情的なジレンマなどを反映しています。

2002年、医学研究評議会の人間生殖チームに所属するスコットランド人科学者ジェラルド・リンカーン氏が、数年間にわたって動物のオスを使ってテストステロンのレベルを測定した研究の結果を発表しました。

このホルモンの漸進的な減少は、動物をより刺激的で過敏にし、性的コミュニケーションが低下することが示されたのです。

中年の危機 イライラ男性症候群

その後ジェッド・ダイヤモンド氏が、リンカーン氏が発表した現象に関する研究が不足していると感じたため、この現象を正確に研究することにしました。

そして2004年にThe Irritable Man Syndrome(イライラ男性症候群)という本を出版しました。これは、40〜50歳までの男性を何年も診察、そして観察して気づいた問題などを提示する書籍となりました。

ケーススタディにより、エネルギーとモチベーションの欠如、性的欲求の減少、著しい気分の変動、イライラ、抗うつ症状、攻撃性などが指摘されました。

ダイヤモンド氏は、イライラ男性症候群の例として、白雪姫という物語に登場する小人のグランピーを使用しました。イライラ男性症候群の症状や発症している人を「グランピー・マン」と呼ぶのはこのためです。

ロンドンのウェルマンクリニックの医師であり、中年期の男性の心理研究の専門家であるR. ペティ博士によると、イライラ男性症候群は主に、45歳以上の男性の50%にその影響を及ぼします。

この病気は理解されにくく認知度も低いですが、女性と同じようにホルモン治療などの治療法を確立することが期待されています。

イライラ男性症候群 中年の危機

イライラ男性症候群は、世間に認識されている?

一般的には、有名な「ミッドライフクライシス(中年の危機)」と同じように思えるかもしれませんし類似点もありますが、イライラ男性症候群に悩む人の感情も考慮し、それと完全に同じだと認識しないことが大切です。

イライラ男性症候群は、正式に認められた病名でも診断でもありません。しかし中年期という人生の中の特定の時期に、男性に影響を与える様々な症状について、より科学的な根拠と一般の理解を得るために現在も研究が続けられています。

中年期には、社会心理学的な変化や身体的変化が絶えず起こっているため、社会に認められて適応できるような取り組みが行われるべきであり、決して無視されるべき症状ではありません。

本記事で、新しい症状である「イライラ男性症候群」が提示されたからと言って、両手をあげて諦めてしまってはいけませんし、過剰に心配することでもありません。

これは私たちが既に知っている現実を反映する名前であり、今回の記事の目的は、男性の心身の健康状態の変化に合わせた最新のケアや対処方法が必要になるという現実を理解することです。

イライラ男性症候群の原因とは?: 5つの大切な要素

イライラ男性症候群の症状の原因は、男性にとって不快な心理的および身体的な状態を引き起こす5つの異なる要因に影響を受けます。

このジレンマを引き起こす要因を詳しく見ていきましょう。

1. ホルモンの変動

ダイヤモンド氏は「愛と欲望の錬金術」の著者であるテレサ・L・クレンショーの言葉を引用して、テストステロンというホルモンについて丁寧に説明しています。

「テストステロンは、危険な香りのする口調で話す、性的で、官能的で、魅惑的でいながら暗い影を持つ、若い頃のマーロンブランドのようなものなのです。」

テストステロンのこの定義は、攻撃性、競争力、さらには暴力などの行動に起因しているというのも覚えておく必要があるでしょう。

ダイヤモンド氏は「テストステロン値が高すぎる男性はイライラし、攻撃的になる可能性があるが、最近の研究により、男性のホルモンの問題の大部分が、テストステロン値の低下が原因で起こる」ことを明らかにしました。

イライラ男性症候群 中年の危機

2. 脳内化学物質の生化学的変化

イライラ男性症候群の原因となるもう一つの物質は、セロトニンです。

セロトニン値の低下の原因は、ある研究によると食生活や生活習慣であることが明らかになりました。

マサチューセッツ工科大学のジュディス・ウートマン氏とその同僚は、タンパク質が多く炭水化物が少ない食事は、イライラ男性症候群を引き起こす可能性があることを発見しました。

この研究により、男性は健康な炭水化物(ジャガイモ、米、トウモロコシ、カボチャなどの野菜)を食べたいという欲求を、肉などの動物性タンパク質を食べたいと感じる欲求と混同することが多いことがわかりました。

「炭水化物が必要なときにタンパク質を食べると、気分が悪くなる、またはイライラする」とウートマン氏らは指摘しています。

これらの研究により、アルコールの消費量は最初はセロトニン値を増加させるが、アルコールを定期的に消費することでセロトニン値を劇的に低下させることもわかりました。

これは、抑うつ状態、炭水化物への過剰な欲求、睡眠障害、およびイライラなど引き起こすことがあります。

こちらもご参照ください;トリプトファンとセロトニン:なぜこれらが健康へつながるのか

3. ストレスの増加

良い変化であれ悪い変化であれ、ストレスを感じるのは「変化」と同義です。

引っ越し、新しい仕事、家族の成長や独立など、これらのすべては素晴らしい前向きな変化ですが、これらの変化が緊張やストレスを引き起こすことがあります。

そして良い緊張が時には不安感やイライラなどの感情を引き起こすこともあります。

4. 役割とアイデンティティの変化

社会は常に変化していますが、自分の性別が「果たすべき」とされる役割に関する教育と情報は、あまり明確ではありません。

矛盾の一形態と言われるダブルスタンダードで満たされている環境では、何かを行動に移すことや個人的な自由を求めることは簡単なことではありません。

ご存知ですか?:パートナーとうまく議論する方法

5. 失敗したまたは不完全な愛

イライラや過敏症は、パートナーとの結びつきがなくなることで増加すると言われています。

ストレス、コミュニケーションの欠如、誤解、および個人的な痛みは、残念なことに非常に一般的なことであり、人間関係においても、日常茶飯事です。

そして、これらの複数の要因が起こることで、パートナーとの感情面での距離が生じてしまうのです。

  • Diamond, J. (2006). El síndrome del hombre irritable: Gestione las cuatro causas de la depresión y la agresión. Editorial AMAT.
  • Noriega, A. T. (2013). La actitud y la Testosterona, la hormona del estilo de vida. Horizonte Médico (Lima)13(2), 46-50.
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