自分を見つめなおすために一度距離を置くこと

18 4月, 2020
不安を解消し自分を見つめなおすことで自分の本当のニーズを理解するためには、距離を置くことも一つの手です。だからといって、飛行機に乗る必要はありません。心を落ち着かせ、クリアな視点を得るのに必要なのは、時に一人で散歩に出るだけでもいいのです。

距離を置くことは見方を変えたり一時的に近くにあるものから離れ、全体像を見るのに役立ちます。より良い決断を下し、思考、欲望、感情を明確にする手助けとなるでしょう。しかし、私たちは目の前の現実に固執する傾向があるため言うほど簡単にできることではありませんが、試してみる価値は十分にあることです。

人間は生活のあらゆる場面で距離を置くことが非常に上手い生き物です。これはとても興味深い事実ですが、それは多くの場合で落ち着きのない不安定な心を生み出してしまいます。

それは自分の心配事、さまよう思考、記憶などの迷路に迷い込むようなものです。このような精神的な変化は、有用でないだけでなく疲弊に繋がります。

ダニエル・ゴールマンは、彼の著書「FOCUS(フォーカス)集中力」の中で注意力と集中力の訓練の重要さを述べています。奇妙に聞こえるかもしれませんが、注意力と集中力の訓練法の一つには、特定の距離を設けることが挙げられます。距離を設けることで脳が無意味な精神的ノイズの錨を上げて、穏やかで静かな海へ航海を始めることができるようになるのです。そうすることで、重要なことに集中できる場所に行くことが可能になります。

では、この訓練法の詳細について説明していきましょう。

「目標のために感情を整理することは、注意を払うため、動機づけと習得のため、そして創造力のために不可欠だ。否定的な感情の自己抑制、欲求不満の抑制、そして衝動性の抑止は、あらゆる種類の達成の根底にある。」

―ダニエル・ゴールマン-

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距離を置いて見つめなおす:より良い意思決定の鍵

心理学の世界では、「セルフ・ディスタンシング」という新しい言葉が使われるようになってきました。これはストレスや不安管理の改善に関連した素晴らしい概念で、より良い意思決定を行ったり、創造性を探求したりするための機会を与えることなどを意味します。

このトピックについてはいくつかの研究が行われており、2018年には全米の重要な大学の心理学文門のメンバーによりある研究が発表されました。マイケル・ダックワース博士とアル・クロス博士は、穏やかで目を引くような風景を見るという単純な行為で目の前の現実から離れ、自分自身とつながるのに役立つと述べています。

つまり、距離を置き全体像を見るためには旅行に行く必要はないということです。日常生活や周囲の環境から物理的に自分自身を切り離すためには、1マイル以上の距離を移動する必要はありません。ほとんどの場合、精神的な距離を置くことを覚えてしまえばそれで十分なのです。これは思いがけないメリットをもたらすこともあります。

二人称で世界を見ること

心理学でよく語られることは今を生きることの大切さです。その他にも、自分の思考とニーズを同調させることの重要性についても多くのことが言われています。場合によっては、このように俯瞰的に見るためにも距離を置くことが必要になってきます。そのための一つの方法は、自分だけでなく世の中を二人称で見ることです。

二人称で見ることが本当に有用なのか疑問に思うかもしれませんが、二人称で見ることで感情的なノイズの音量を下げることが可能になるのです。つまり、自分自身をいたわりながら正直に自分と向き合うことができるということです。また、自分の内面を客観的に、そして冷静に分析をすることもできます。それを行うには、静かな場所に行くことが非常に有用なのがお分かりいただけるのではないでしょうか。そして、次の質問や文章を自分に投げかけてみてください。

  • 今のあなたを悩ませているものは何?
  • 今のあなたにとって最善の選択肢は?
  • この問題を解決するために出来ることは?
  • あなたは幸せになることができるが、それには勇気が必要。全てはうまくいくということを忘れないで。

セルフ・ディスタンシングは、あなたの自己中心的な自分との会話を一時的に消す方法です。こうすることでエゴから切り離されたより穏やかな感情的な場所から、自分の人生を評価することができるようになるのです。

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幸せのための心理的距離

ご説明してきた通り、視点を変えるためには遠く離れた場所に行く必要はなく、地球の裏側に行ったからといって心配事や問題から逃れられることは少ないのです。これは単純な事実です。本当にあなたを助けてくれるのは、物理的な距離ではなく、心理的距離なのです。

“心理的距離”という言葉は、さまざまな研究によって裏付けられています。ニューヨーク大学の心理学教授であるヤアコフ・トープ博士は、このことについて興味深い研究を行いました。博士が発見したしたことをご紹介しましょう。

  • 「今、ここ」を超えた場所に自分を置くことが必要性になることもある。つまり、ストレスを感じている時、物事をより客観視できる穏やかな場所に自分の心を持っていくということです。これはまた、特定の状況や行動、刺激に影響を受けすぎないようにする方法でもあります。
  • 心理的距離を置くことは、自分自身とのより健全な対話を可能にする。「そんなことに影響されないで」「自分にとってベストなことを選んで」「自分の幸せのために選択して」などと自分に言い聞かせるのです。

視点を変えるために距離を置くことが精神状態にどれだけの影響を与えるのかを理解することは重要です。精神的に距離を置く練習を重ねることで、日々のストレス管理が格段に楽になります。とはいえ、旅行に行くなど物理的な距離をとることも、セラピーの観点からは非常に有効なことでしょう。

  • Trope, Yaacov, Liberman, Nira (2010) Construal-level theory of psychological distance. Psychological Review, Vol 117(2), Apr 2010, 440-463 https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0018963
  • White, R. E., Kuehn, M. M., Duckworth, A. L., Kross, E., & Ayduk, Ö. (2018). Focusing on the future from afar: Self-distancing from future stressors facilitates adaptive coping. Emotion. Advance online publication.