自尊心とHIVの関係性:スティグマを超えて

あなたは、自尊心とHIVの関係性について考えてみたことがありますか?今回の記事では、このテーマについてお話ししていきます。
自尊心とHIVの関係性:スティグマを超えて

最後の更新: 27 11月, 2020

自尊心は、心理的なウェルビーイングと健康にとって欠かせない要因です。しかし、世の中にはある病気のせいで汚名を着せられ、拒絶されている人々がいます。その結果、その人の自尊心は悪影響を受けているのです。HIV感染者と自尊心の関係性がまさにこれに当てはまります。

幸いなことに、今ではこの現象に悩まされるHIV感染者は減ってはいますが、それでもまだ問題は存在したままです。少し立ち止まってじっくり考えてみましょう。あなたは、快くHIV患者と共に仕事をすることができますか?お子さんがHIVウイルスを持つ子と同じ教室で勉強しなければならなくなったらどう感じますか?

この病気について詳しく知っていれば、上記のようなシチュエーションが全く心配のいらないものだとわかるでしょう。しかし、最近あるヨーロッパの国で行われた調査が、これが社会における深刻な問題であることを指し示しています。この調査では、人口のうち半数以上の人が、冒頭でお伝えしたのと同じ理由からこの問いに対して「仕事を変えたい」あるいは「子どもの学校を変えたい」と回答したのです。

スティグマ(汚名、負のイメージ)や偏見はHIVを抱える人々の自尊心にどのように影響するのでしょう?自尊心により、HIV関連の危険行動を防ぐことは可能なのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。

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自尊心とスティグマ

健康への危機的意識のせいで、スティグマや偏見は非常に生々しいものにも象徴的なものにもなり得ます。その病因のせいで特定のイデオロギーに反する行動や、古くから道徳に反していると見なされてきた行動と結びつけられてきたという意味では、象徴的と言えるのです。

恐怖心や拒絶のほとんどは、病気に無知であることから生まれています。しかし原因はそれだけではありません。HIVへの感染は予防可能な病気だというイメージがあるので、病気にかかった人を非難してもいいと思う人もいるのです。自業自得だ、とまで言う人もいるほどです。

以下のうち、どちらがより非道徳的かを考えてみましょう。一部の人々が非道徳的であると見なしている行動それ自体でしょうか?それとも、この病気にかかったのは自業自得だと考えることでしょうか?ここで忘れてはならないのが、最初にエイズが注目を集め始めた時、この病気が同性愛者や麻薬中毒者たちと関連づけられていた点です。

調査結果それ自体が語ること

スペインの学際的エイズ学会によって行われた調査の結果は驚くべきものでした。人口の半数以上の人が、HIVウイルスを持つ人々の存在を不快に感じており、彼らとの接触を避けようとすることが明らかになったのです。

もちろんこれは、差別的行動や態度に繋がります。これには、公の場でHIV患者を名指しして他の人々が彼らを避けられるようにする行為などが含まれます。

このような恐怖心は、おそらくこの病気についての知識不足から来ているのでしょう。人口の17%の人が、公共トイレを共用しただけでHIVウイルスを感染させられてしまう、と思い込んでいるのです。これに加えて、最大34%もの人が蚊の媒介によって感染し得ると信じています。

大切なのは、正確な情報を入手することです。そうでないと、このウイルスがどのように人から人へ感染するのかについての誤った認識に繋がります。そしてその結果、この誤解が偏見やスティグマ、差別を生み出すのです。

関連してもたらされる影響

偏見やスティグマは多くの人々を危険に晒します。特に、これによって社会的サポートを受けづらくなってしまう人が出てきてしまう危険性があるのです。このせいで、HIV感染者が自身の置かれている状態を恥ずかしく思い始める恐れがあります。そして自分自身を責めるようになるかもしれません。これはセルフスティグマに繋がりかねません。

彼らの自尊心は極端に低い可能性があり、これがかなり高いレベルの不安感やストレスを生み出してしまいます。自尊心の低下を早期に発見できないでいると、後々うつ病性障害を発症してしまう危険性もあります。

特に深刻なケースでは、苦痛を終わらせるには自殺を試みるしかない、と患者が思い始める恐れがあります。HIV陽性者の自殺率が一般人口より6倍も多いというのは、大いに懸念されている問題です。

自尊心の低さによるもう一つの深刻で危険な影響は、その他の情動障害と同様に、患者が抗レトロウイルス治療に積極的に参加しなくなることです。これはHIV患者に非常に多く見られます。事実、治療への積極性を高めることを目的とした心理的治療も行われているほどです。抗レトロウイルス治療が効果を発揮するには、95-100%のアドヒアランスが必要となります。

自尊心とHIVの関係性:スティグマを超えて

自尊心と危険行為

一方では、低い自尊心と早期の性的行為には関連性があることが研究によって示されています。さらに、こういった人々の性的パートナーの人数は普通より多い上、性的アサーティブネスに問題がある場合が多く、危険な性行為に及ぶ頻度も高くなるようです。

他方では、自尊心が高い人々の方がコンドームを積極的に使用し、その効果に関する信頼度もより高いとされています。

しかしながら第三のトレンドが示しているのは、高い自尊心を持つ若者たちはリスキーな性的行為を行う可能性が高いだろうという恐れなのです。なぜなら、自分たちは感染するほど弱くないと考える若者たちが考えているからです。

セクシュアリティの発達には自尊心が重要な役割を果たしていることがわかっています。今回の記事では、具体的にこれに関わる危険行動およびHIV感染予防に関わる危険行為について見てきましたね。若者たちに適切な性教育を受けさせることに加えて、指導内容に自尊心を高めるためのモジュールも含めるべきだ、というのが私たちの結論です。

私たちの態度がHIV感染者たちの自尊心にどう影響するかに関しては、この病気についての信頼できる情報を提供し、社会の意識を高め、寛容さと理解を育んでいく必要があります。私たちの目指すべきゴールは、彼らにとって非常に有害なスティグマや差別を終わらせることです。


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  • https://www.infosida.es/vivir-con-vih

  • https://www.seisida.net

  • Ruiz-Palomino, E., Ballester-Arnal, R., Gil-Llario, M. D., & Giménez-García, C. (2017). El papel de la autoestima en la prevención del VIH de jóvenes españoles. International Journal of Developmental and Educational Psychology2(1), 15-21.


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