情動の自己制御がもたらすパワーについて

情動の自己制御は、前頭前皮質と情動中枢の特に扁桃体に集中している回路との相互作用に大きく左右されています。記事を読み進め、この魅惑的な脳のプロセスについて学んでいきましょう!
情動の自己制御がもたらすパワーについて
Fátima Servián Franco

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Fátima Servián Franco.

最後の更新: 21 12月, 2022

自分自身の主君になることが、完全な自由を手に入れるための唯一の方法です。そして自らの支配者になるためには情動の自己制御がカギとなります。実は、2000年前にエピクテトスも同じ主張をしていました。理解し難いかもしれませんが、1995年にダニエル・ゴールマンが『EQ〜こころの知能指数』を発表するまで、情動がそれほどまでに重要なものだと考えている人はそれほど多くありませんでした。そのため、心理学の分野でもこのテーマが深く掘り下げられることがなかったのです。

しかし、現在の神経科学では不安に影響された衝動的な情動反応に備える扁桃体の重要性が強調されています。そうは言っても、さらに適切な反応を精巧に作り出すプロセスは、脳の別の領域が担っています(ゴールマン、1996年、p.50-53)。したがって、情動の自己制御力は鍛えることが可能なのです。

ゴールマンによれば(1996年、p.61)、心の働きを鍛えることで以下のようなことが可能になるそうです。

  • より強いモチベーションを得ること。
  • 不満を感じる可能性があるとしても、自分がやりたいことを屈せずにやり通すこと。
  • 衝動を制御すること。情動表出には四つのパターンがあることを覚えておきましょう(身体レベル、認知レベル、感情レベル、衝動レベルのいずれかのレベルで現れます)。
  • 満足感を引き延ばすこと。
  • 気分を調整すること。
  • 苦悩による推理力の低下を防ぐこと。
  • 他人に共感したり、他人を信頼すること。

情動の自己制御力を鍛えるべき進化上の理由と必要性

私たちの祖先にとって、危険に対して素早く反応する能力を発達させることが進化上非常に重要だったことは間違いありません。幸運なことに、この設計は人間を含む全ての原始哺乳類の脳に備わっています。

哺乳類の脳の中で「原始脳」と呼ばれる部分は、もともと先祖である非哺乳類のメインの脳だった部分です。この脳は非常に急速な情動反応を起こすことができます。しかしその反応は素早いながらも同時に荒々しくて不愉快なものでもあるのです。

情動 自己制御 パワー

この反応に関わっている細胞は、迅速ながらも不正確な処理を実行します。これらの原初的な情動の混乱(思考よりむしろ感情に基づくもの)は未来を予知しようとする情動です(ゴールマン、1996年)。

このようにして問題が生じることとなります。驚くべきことに、扁桃体は頻繁に間違いを起こすのです。見たものや聞いたことに関する情報は目と耳にある単一の神経細胞で受け取られ(脳の処理スピードとしてはとても速く)、集められた情報のほんの一部分のみが扁桃体に届きます。そして残りの部分の大半は脳の別の領域へ伝えられるのです。これらの情報を分析するのにはより長い時間がかかるため、その分より正確に判断がなされます(ゴールマン、2015年)。

自己制御と社会性・情動性の学習

人は心の知能の力を基本的学習の中で発達させていきますが、これは幼少期から始まります。社会性・情動性の学習プログラム(SELプログラム)では、子どもたちが脳を進化させるのに必要なレッスンが提供されます。だからこそ、専門家たちはこれを全ての人の発達に適合させられる、と主張しているのです(ゴールマン、2015年)。

また、脳は解剖学的に見て最も成熟が遅い器官で、実は、実際に脳の発達を目の当たりにすることが可能です。ただ長年に渡って観察を続ければ、子どもの考え方や振る舞い方、そして反応の仕方に違いが生まれてくるのがわかるでしょう。

視床下部-下垂体-副腎系の活性化により、認知の効率性や学習に支障が出ます。つまり、懸念や怒り、苦痛、不安、あるいはその他の高レベルなストレスを伴う情動に意識を集中させている人は、他人から言われたことに対して持続的に注意を向けることが難しくなります。しかし情動の自己制御によりこういったプロセスを特定し、各個人の文脈にそれらを適合させることができるのです。

一方で、このような情動による妨害をコントロールすることができればワーキングメモリーが驚くほど向上するので、情報を蓄積するために集中力を持続させられるようになります。社交性・情動性学習が示しているのは、これらの不健全な感情への対処の仕方です。そして今度はそれが学習を促す要因となります。

情動の自己制御がもたらすパワーについて

情動学習を続けるためには?

情動の自己制御により、停滞する情動のバランスを整えることができます。この学習をやり遂げることができれば、新たな神経回路の繋がりが生まれ、より強い自分へと成長できるのです。そしていつか、どんなことにでもためらうことなく挑戦できるようになるでしょう。

その時点でそれらの回路の結びつきは非常に強くて分厚いものになっているので、脳が自動的に活性化できるようになるはずです。この変化が起これば、修正された習慣の方が行動の規範となるでしょう(ゴールマン、2015年)。

もちろん、子どもだけでなく大人も職場などで同様のスキルを取り入れ、パフォーマンスの向上を目指すことができます。情動の自己制御という分野においては、その能力を磨くのに遅すぎることなど決してありませんよ。


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  • Caruso, David R. y Salovey, Peter, The Emotionally Intelligent Manager, Jossey-Bass, San Francisco, 2004. [El directivo
    emocionalmente inteligente, Algaba, Madrid, 2005.]

  • Goleman, Daniel (1996). Inteligencia emocional (4a ed. edición). Barcelona: Kairos. 

  • Goleman, D. (2015). El cerebro y la inteligencia emocional: nuevos descubrimientos. B DE BOOKS.

  • Mora, F. (2012). 1.¿ Qué son las emociones?. El Observatorio FAROS Sant Joan de Déu (www. faroshsjd. net) es la plataforma de promoción de la salud y el bienestar infantil del Hos-pital Sant Joan de Déu (HSJD) de Barcelona., 14.

  • Salmurri, F. (2004). Libertad emocional. Estrategias para educar las emociones.


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