情動学習 – 学校で教えるべき?

2020年7月3日
情動というものは、私たちが誕生した瞬間から存在しており、パーソナリティー形成の面で大きな役割を果たします。学校の授業スケジュールに情動学習を盛り込むことで、子どもの時からどう考え、感じ、行動すべきかを認識・理解し、選んだりできるようになるでしょう。

現在の通常の教育計画の中では十分に取り上げられていない社会的ニーズへの回答となるのが、情動学習です。社会には、不安症やストレス、うつ、暴力、麻薬の使用、自殺、そして危険な行動といった問題があふれています。これらすべての原因の大部分が、心の仕組みについてしっかりと理解できていないことなのです。

さらに、名前の通り、情動学習が目指すのは情動スキルを発達させることです。情動スキルとは、自らの心理的現象を知り、理解し、表現してなおかつ適切に調整するために必要な知識と理解力、能力、そして態度を合わせたものを指します。例えば、情動の認識と調整、自律性、社交能力、生活スキル、ウェルビーイングなどです

子どもに学ばせる必要性が最も高いものを、学校では教えていない

そして、情動スキルを発達させるためには継続的な訓練が必要になります。なぜなら、情動学習とは人生の初期段階から始まり、生涯を通じて続けていかねばならないものだからです。

そのため、社会コミュニティメディアや高齢者向けの組織を通じてのみならず、幼稚園や小中学校、そして家庭やおよび大人向けの教育システムの中にも情動学習を組み込んでいくべきなのです(Bisquerra、2011年)。

情動学習

学校教育に情動学習を含める必要性の有無は?

このトピックに関して最も権威を持っているのが、『心の知能指数(1995年)』の著者で、CASEL(学習・社会性・情動学習促進協同チーム)の創立者の一人でもある心理学者のダニエル・ゴールマンです。人は情動をコントロールする方法を学ばなければならないのだ、と彼は述べています。特に、ストレスを伴うような情動や自分を無力化するような情動に関してはなおさらこれが当てはまります。

この理由は、ほとんどの人々が自分が今いる精神状態のタイプを特定できないまま常にその状態に足を踏み入れてしまうためです。つまり、人は何を学習したとしても、その内容は自身の心理状態による制約を受けているのです。

私たちは、この世に生を受けた瞬間から情動とともに生き始めます。事実、情動は私たちのパーソナリティが形成され、他者との関係性が築かれる際に大きな役割を果たしています。さらに、情動はどんな場所でもどんな時にも、そして家族との間にも友人や周囲の環境との間にも存在しています。また、同級生や仲間、学校、教師との間にも情動はあるのです。

加えて、学校という場所は情動を発達させるための知識や経験が培われるところでもあります。実は、教育を行うということは、人間の認知的・身体的・言語的・倫理的・愛着的・情動的能力に関する全体的な発達について熟慮するということを意味しているのです(Cassà、2005年)。

学校教育のカリキュラムに取り入れることが可能な情動学習の内容

  • 一つ目は、情動認識です。これは自身の情動状態を認識し、それを言葉あるいは非言語表現を使って伝える能力と他人の感情や情動に関しても同様に認識できるようになる能力です。
  • 二つ目は、情動調整です。これは、不快な衝動や情動を調整する能力や、不満に思うことを我慢する力、そして満足感を得るための方法を理解する力を指します。
情動学習

ウェルビーイングのための情動学習

ウェルビーイングには、個人的な側面と社会的な側面があります。したがってこれは日常的に取り組むべきものであり、それにより個人のウェルビーイング観を短絡的なものから一歩先へ踏み込んだものに変えることができます。つまり自分だけでなく、それぞれの組織内の人々全体の発達に貢献できるようになるのです。この目標は、個人的なウェルビーイングと相互に影響を与え合う社会的なウェルビーイングを高めることを目指すものです(Bisquerra、2011年)。

最近の研究では、情動学習がポジティブな影響を与えることを示すのに十分な証拠が見つかっています。一般的な結論は、こういった学習プログラムが内容の質と授業時間に関して最低限の条件を満たして体系的に確立されれば、人々の全体的な発達に重要なインパクトを与えてくれるだろう、というものです。

ただ、情動スキルは最も獲得の難しいスキルであるという点を忘れないようにしましょう。平均的な生徒であれば、二次方程式の問題を解く方法についてすぐに学習することができます。しかし、怒りを感じている状況で湧いてくる衝動を自然に調整できるようになる(そして暴力に走らないようになる)には、数年間の訓練が必要なのです。これが、情動学習教育の課題の一つです。したがって、そのために必要な時間枠を情動学習に充てなければなりません。

現在の知見では、一学期を通して毎週45〜60分の授業を数年間行えば、十分な時間枠が確保できるとされています(Bisquerra、2011年)。

Bisquerra, R. (2011). Educación emocional. Propuestas para educadores y familias. Bilbao: Desclée de Brower.

Cassà, È. L. (2005). La educación emocional en la educación infantil. Revista interuniversitaria de Formación del Profesorado19(3), 153-167.