計画的陳腐化と消費者操作

2019年5月19日

1901年、カリフォルニア、リバモア(アメリカ)にある消防署に電球が付けられました。電球が灯さてからというもの、それが消されたことはありません。100年以上たった今も、初日のようにその電球は輝いているのです。この電球が計画的陳腐化という現象を反映しています。

この電球の、何が特別なのでしょうか?実は、何も特別なことはありません。1881年に、トーマス・エジソンが発明し、1500時間の耐用時間があった物に似ています。百年電球は、その改良されたモデルです。ここで、疑問が生じます。なぜ、初期の技術の方が、耐用時間が長いのでしょう?現代のメディアや技術の方が発展していることを考えると、今の電球の方が良いと考えるのが論理的ではないでしょうか?なぜ、反対なのでしょう?

また、現代の機器について考えると、さらに不思議です。昔のテレビは、今の物より長くもちました。家電についても同じです。なぜでしょう?答えはとてもシンプルです。1924年に結ばれた協定により、全世界で計画的陳腐化が進んだからなのです。

「消費主義は、過剰で無駄な経済であり、まったく同じように、詐欺経済である。消費者の十分に情報を得た上での決定ではなく、不合理性が元になっている。理性を養うのではなく、消費者の感情を呼び覚ますことに賭けている」

-ジグムント・バウマン-

携帯の墓

 

計画的陳腐化とは?

計画的陳腐化とは、人工的かつ意図的に、製品の寿命を制限することです。一定の期間が経つと、動かなくなるように作られていることを意味します。その製品は、違うようには作れないと言うわけではありません。消費主義を促すために、そう作られているのです。

もし、長期間使える製品を買ったのであれば、その人は、何年もそれを取り換える必要はありません。しかし、その製品が、比較的早く劣化すると、消費者は頻繁にそれを取り換えなければなりません製造者にとって、売り上げが上がります

計画的陳腐化は電球だけではありません。ストッキングも良い例です。初めは、一年以上使える物でした。最近では、2度以上使えない物もあります。

 

悪だくみとその他の陳腐化

1924年のクリスマス、ジュネーブ(スイス)に強力な企業集団が集まりました。この集団は「ポイボス・カルテル」と呼ばれています。最初の合意のひとつが、10万時間以上もつ、特許のある電球を禁止するものでした。同様に、その他多くの製品で、計画的陳腐化を進めるよう協定が結ばれました。

現在、明らかになっている計画的陳腐化の形はたくさんあります。次は、その一部です。

  • 機能の陳腐化:製品の機能を徐々に下げ、消費者は新たなモデルを購入せざるを得なくなります
  • 質の陳腐化:一定期間使用すると、正常に動かなくなります
  • デザインの陳腐化:ファッションや流行は、ひとつ製品が求められなくなるよう操作されています。デザインが変わり、詳細が組み込まれ、消費者は「アップデート」したくなるのです

最近、計画的陳腐化は感情と強く結びつけられています。継続的な修正は、意図的に計画されており、これは特に電子機器に当てはまります。大きな改良が無くても、製品の最新モデルが欲しくなるように調整されているのです。

 

リサイクルは自由の形

この消費すべての最終目的は、売上量を高く維持することです。計画的陳腐化は、これを達成するためのひとつの方法です。問題は、現在、人は、製品の質や有用性を意識しなくなっていることです。買い続けたいという強い欲求があるのみです。

商業操作の形であったものが、今、渇望になっています。計画的陳腐化が内在化されているのです。使ったものはすぐに捨て、新しいものと取り替えます。これにより、人は満足、コントロール、パワーを感じます

この操作のますます明白な形を受け、リサイクル傾向が出現しました。これは、再利用を進めるものです。歯止めのない消費主義を制限すること、そして、環境保護が目的です。

さらに、リサイクルには心理学的影響もあります。捨てることではなく、修理することに焦点を当てる姿勢を促します。物は、完璧でなくてもよく、使うことができ、価値があるということを認めます。問題があると捨てるというたくさんの実体のない現実と向き合う上で、これはより建設的で人道的であると解釈できるでしょう。

電球と計画的陳腐化