計算論的思考とその重要性とは?

計算論的思考とは、ますます複雑になる未来において、人間のニーズに対し答えを出すよう新たなテクノロジーを働かせ、より革新的に問題を解決する方法を知るということを意味します。
計算論的思考とその重要性とは?
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

計算論的思考は、将来へ向け、多くの扉を開くことができるスキルです。問題を組織立てる、情報を論理的に整理する、あるいは抽象的に考えるということは、この価値ある認知的アプローチを形成する基本的プロセスになります。

ますます複雑になる世の中で、私達は間違いなく周りにある課題への対処法知っておく必要があります。

では、このアプローチは、機械のように考えることを学習することを意味するのでしょうか?そうではありません。これは現在、人工知能が処理あるいは達成することのできない領域の多くを統合します。また、水平思考にも感情的変数、そして何より人間の行動の理解が含まれ、計算論的思考と関係があります。

「計算論的」という言葉から、自動的に、最新のコンピューターの対数、チップ、サブルーチンなどの世界を思い浮かべるのは当然です。しかし、このアプローチが求めるのは、これらとは大きく異なります。計算論的観点は、テクノロジーと人間性、答えとニーズ、革新的な提案を伴う挑戦を融合させ、これから数年間に現れる可能性のあるすべての問題と向き合うことを目指します。

これに関し、もう少し分析していきましょう。

計算論的思考

計算論的思考:定義、特徴、目的

計算論的思考の起源は、人工知能のパイオニアで、1968年にLOGOプログラミング言語を発明したシーモア・パパートの理論にあります。

1995年、彼は教育体系の再編成と学校教育にコンピューターと言語の統合を取り入れる必要性を提案しました。コンピューティングの分野において訓練を受けた人々を世界に広める必要性を予見していたのです。

パパート博士は、90年代を通し、このアプローチの基礎を作り上げました。そして彼の死後、ジャネット・ウィングがこのアイデアをさらに発展させました。コンピューター・エンジニアで、マイクロソフトの前副社長であるこの人物は、研究の中で、計算論的思考が活動のすべての分野に影響するであろうと説明しています。『Computational thinking and thinking about computing』は、彼女の主要論文の一つです。

また、彼女はパパート博士の「この新たな能力は、学校教育に組み込まれるべきである」という提案の重要性を強く訴えています。エンジニア、人間性、科学など、将来多くの分野で支えとなるであろう必要不可欠な力です。それでは、計算論的思考にはどのようなものが含まれるか見ていきましょう。

計算論的思考とは何か?

計算論的思考は、高次の認知プロセスで、これにより私達は問題を解決するに当たり、科学的に考えることができます。分かっているのは、コンピューターとテクノロジーは、複数の困難を解決することができ、私たちの生活が楽になるということです。しかし私達は、これよりもさらに前に進む必要があります。

さらに、将来機器のオペレーションを向上させるためには、機械がどう「考えるか」を理解する必要があるとジャネット・ウィング博士は指摘します。私達は、自然のプロセスと人工のプロセスをつなぐ方法を学ぶ必要があるのです。直感と水平思考をコンピューティングから抽出する認知プロセスと統合させる方法を知らなければならないということです。

計算論的思考の特徴

このタイプの考え方には、一連の実行機能の発達が含まれます。実際、私達は日常的にこれらを使っていますが、それについて意識しておらず、使うべきものすべてを利用しているわけではありません

要するに、「より良く考える」ことほど、豊かなものは他にありません。このおかげで、私達はより革新的に日常的な問題を解決することができるのです。

計算論的思考は、次の4つの軸に基づいています。

  • 分解:あらゆるタスクや問題は、より良く理解するために、小さく分解することができます。
  • パターンを識別する方法を知る:現象、経験、刺激、問題、状況はそれぞれ、大抵、内的図式に従い、私達が知っているパターンに応じています。
  • 抽象的思考:このタイプの思考は、人間特有です。このおかげで私達はオリジナルのアイデアが思いつき、さらに状況やシナリオを予測し、状況に合わせてどのように行動すべきか考えることができます。
  • アルゴリズム:アルゴリズムとは、ステップ・バイ・ステップで問題を解決するための計画、一連のステップ、ダイアグラムです。このおかげで私達は、出くわした出来事と向き合うために、一連の明確で単純な指示を生み出すことができます。これを定義する面はいくつもあり、例えば多数のステップがあり、頭の中で明確な終わりがあって、具体的(曖昧ではない)だということなどです。

計算論的思考のステップ

計算論的思考を用いると、これまで分析してきたように、これを定義する要素や変数すべてに意識を向けるだけでなく、知っておくべき他の一面もあります。それは、このタイプの思考は多くの場合、順番があるということです。

  • 分析:問題を解決しようとする時、必ず、前もって徹底的に問題を分析する必要があります。
  • 抽象化:第二ステップは、その問題の構成を知ることです。実際に何が起きているのでしょう?パターンはあるでしょうか?どのような対策ができるでしょうか?同じような状況の過去の経験からどのようなことが言えるでしょう?
  • 解決法や提案の実行:とるべき対策を頭の中で練った後は、実行し、試しましょう。
  • 評価:実行したら、評価しましょう。思っていた結果が得られましたか?あるいは、どこか改善点があったでしょうか?
  • 一般化と転嫁:得られたものの評価をする時、発展させたものを他の分野で利用することができます。
計算論的思考

考えることを学ぶことの重要性

ノーベル賞受賞者ダニエル・カーネマンは、世界で最も重要な思想家の一人です。彼は昨今、多くの人が推論を全くせずに決断をしていると指摘します。衝動に動かされ物事を決めていると言うのです。また、何にあるいは誰に投票しているのかさえ分からずに投票する人もいます。

若い世代に考えることを教えることほど、有用で必要なことはありません。物事に対し批判的な視点を持つ、あるいはより分析的て内省的な視点で現実を観察することを学ぶよう、サポートしてあげる必要があります。

計算論的思考は、将来へのはずみです。これはより知的に問題を解決するのに役立つだけでなく、これにより私達は人工知能の一歩先を行くことが可能になります。これはテクノロジーが常に人間が使われるものであり続けるために、非常に重要なことです。このことを忘れないようにしましょう。


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