嫌悪感の処理に、脳はどう働く?

21 4月, 2020
人間の脳がどのように、幸せ、悲しみ、恐怖を処理するかについての情報はたくさんあります。では、嫌悪感の処理はどうでしょう?この基本的感情は忘れられがちですが、何千年と人の生存に役立ってきました。嫌悪感の処理に関して学びましょう!

嫌悪感の処理は人間の最も基本的な機能の一つで、これにより人間は何世紀も生かされてきました。心理学の世界では忘れられたようになっていますが、脳がこの感情をどう処理するかに関する情報はすでにたくさんあります。嫌悪感とは、特定の出来事や物を強く嫌うことだと定義できます。嫌悪感を抱くと、その対象を追い払いたい、距離を置きたい、拒絶したいと思うようになります。

この感情は全世界共通のもので、あらゆる文化に存在する6つの基本的感情の一つであり、感覚に制限のある人も例外ではありません。また、嫌悪感には特徴的な表情が伴います。例えば、上唇が上がる、しかめっ面になる、口角が下がるなどです。

さらに、緊張の低下、ガルバニック皮膚反応、吐き気、心拍の低下、嫌気、対象と距離をとること、呼吸の変化、「オエッ」などの声が伴います。

嫌悪感 脳

 

嫌悪感の特徴

人間は生き物として、また個人として、経験に指揮されてきたことを頭に入れておきましょう。ご存知なかったかもしれませんが、人間は今の私達が持つ洗練されたものを発達させるまで、行動的免疫システムのようなものを持っていました

行動的免疫システムとは、パラサイトや危険の可能性があるものとの接触から人間を守るためのバリアの役割をした基本的システムです。

嫌悪感の処理から得られた主な利点には、病気を避けることがあります。人を嫌うことに対し文化的に異なる点はありますが、嫌悪感の引き金となるものには主に次のようなものがあげられます。

  • 分泌物や体の部位:糞便、唾液、血液、怪我、嘔吐、汚い足など
  • 腐った食物
  • 昆虫、クモなどの生物
  • 知らない人や変わった人の独特の性格
  • 社会的・道徳的規範の侵害

嫌悪感は生得的なものですが、人が何に嫌悪を抱くかは経験の中で身に着けていくものでもあります。これに関しては文化や発達の違いがより明白です。例えば、2歳にならない子どもは嫌悪感が何なのか分からないようです。

これは、子どもがまだ親の元にいるからだと説明づけられます。人間は生まれてから最初の数年は非常に未熟で脆弱であることがその主な理由です。そして、幼児は親の行動を見て嫌悪感を発達させていくのです。

 

嫌悪感の処理に関し、脳はどう働く?

脳がどのように嫌悪感を処理するかに関し、まず知っておくべき2つの領域があります。それは、島皮質と辺縁系(扁桃腺と海馬)です。

島皮質は、感覚の経路から情報を受け、辺縁系や腹側線条体、眼窩前頭皮質などの構造へと情報や刺激を送ります。嫌悪感を抱くことや人が嫌悪感を示す行為の認識を司っているのが、この領域のようです

例えば、ハンチントン病患者の島皮質は適切に機能せず、嫌悪感を抱きづらくなっています。さらに、島皮質の刺激により吐き気を感じます。

辺縁系、特に扁桃体は、恐怖、嫌悪などの負の感情の処理や学習と関係しています。最近、グラナダ大学とバハカリフォルニア自治大学の研究グループにより、不快な味を拒絶させる扁桃の部位が特定されました。

 

嫌悪感の処理

これまで、科学者は嫌悪は脳のある領域の一部であると考え、関連していると思われる脳のエリアの脳画像をとってきました。現在、fMRI等の新しいテクノロジーのおかげで、脳がどのように嫌悪感を処理するかを動的に見ることができます

1年程前、カタルーニャ州の研究団体が30名を対象に研究を行いました。この研究では、被験者は食欲をそそられるたくさんの料理が映し出される動画を6分間見ます。また、ゴキブリ、虫を食べる人など不快なものと食べ物が写される別の動画も見ます。

その結果、不快な画像を見た40秒後も、脳はこの感情を処理していることが分かりました。さらに、脳画像により、嫌なシーンや物と向き合う時に活発化されるのは脳の一部だけでなく、脳の約半分であることが示されました。

科学者によると、この処理には3つのステージがあります

  • 刺激が生じると、脳は体の防衛や保護メカニズムを活発化し始めます。これは、無意識に行われます。
  • 次に、脳が意識的にその刺激をネガティブだと評価すると、意識的注意が働きます。
  • 最後のステージは同化で、人は嫌悪を抱くと将来の参考として記憶にこれを残します。これは約26秒間続く可能性があります。
嫌悪感 処理 脳

 

嫌悪障害

初めは何も思わなかった刺激に極度の嫌悪感を抱くことがあります。また、嫌悪に関わる精神障害や嫌悪の要素を含むものがいくつか存在します。

その例として、双極性障害や細菌や汚れが広がることを極度に心配する強迫性障害などの不安障害があげられます。

血液恐怖症や社会恐怖症をはじめとする恐怖症には嫌悪の要素が大きく関係しています。社会恐怖症の人は、人との接触に対し反発や嫌悪を感じるようです。最後に、摂食障害での嫌悪の役割に関しては、まだ研究が行われているところです。

Bunmi O. Olatunji y Dean McKay. (2009) Disgust and Its Disorders: Theory, Assessment, and Treatment Implications. Washington, D.C.: American Psychological Association.