嫌悪感:忘れられた感情

嫌悪感:忘れられた感情
Francisco Javier Molas López

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Francisco Javier Molas López.

最後の更新: 21 12月, 2022

嫌悪感とは、人間の基本的な感情です。しかし、それについて話すことはあまりありません。食べようと思った物から嫌な匂いがしたら、反射的にそれを捨てようと思いますよね。また同様に、キッチンから嫌な匂いがすると、何かが腐っていることを自動的に理解して、自分の健康を身を守るためにそれを捨てる必要があります。

最近、嫌悪感を感じたことを思い出してください。それはどのような気持ちだったでしょうか?それは食べ物に対して感じた物でしょうか?一度、嫌悪感を感じた食べ物をもう一度食べたいと思いますか?虫はどうでしょう?虫を食べることはできますか?また、何かに対する嫌悪感とは文化的な物だと思いますか?

嫌悪感とは、生活の中で幼児期から感じる感情です。だからこそ、この感情の裏に隠されている本当の意味を知る必要があるのです。私たちの世界の捉え方のように、時に嫌悪感の背景には何かが潜んでいることがあります。それでは、より詳しく見ていきましょう。

いつ嫌悪感を感じるのか?

腐ったものや腐りかけの食べ物を口にしたとき、人は嫌悪感を感じます。嫌悪感とは、自分の置かれた状況から自分の身を守る適応性のある反応だと言えます。またこれは、経験から得た知識から生じる感情でもあります。悪くなった食べ物を避けようとする意思もこの感情に裏付けされています。

例えば、冷蔵庫の中のスイカを食べようと思った時、その半分が腐っていて、それを捨てることになったとします。腐ったスイカを見たことにより、それが体に悪いものだと理解したということです。もしくは、コーヒーに注ごうと思った牛乳からツンとした匂いがしたら、迷わず流しに牛乳を捨てるはずです。

見た目や匂いが悪い食べ物を見ると、人は病気にならないために、それを食べようとせず捨てます。このように、嫌悪感とは害となる状況から自分の身を守るために順応した感情なのです。

様々な研究により、嫌悪感と島皮質との関係性が指摘されています。実際、島皮質に損傷を負った人は、嫌悪感やその原因となる状況への認識力に障害が起こります。

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嫌悪感とは文化的なものなのか?

嫌悪感の感じ方というのは文化によって異なっています。確かに、嫌悪感とは自分の身を守るための感情ですが、中には文化によって左右されるものもあります。例えば、無毒な食べ物に嫌悪感を感じることもあります。しかし、この感情には典型的な生理的、身体的、行動的反応に加えて、生まれつき目の見えない人に見られる特徴的な顔の表情が付随します。

例えば、パエリアとはエビが入ったスペインの国民的料理です。この料理が多くの国民から愛されている一方で、バッタやコオロギを食べることが好きだという人はあまりいません。しかし、中にはパエリアのように虫をご馳走と捉える国もあり、それを他国の人が見ると、嫌悪感が生じることもあります。

また同じ国でも、それを美味しいと感じる人とまずいと感じる人がいます。エスカルゴなどがその主たる例でしょう。つまり、嫌悪感とは個人の性格や今まで受けてきた教育によっても異なるのです。

確かに、嘔吐物のにおいなど、より単純に嫌悪感を生み出すものもあります。しかしそれでも、文化による影響を考慮する影響があります。文化によって、特定のものに対して嫌悪感を感じる度合いも違うのです。

思想的嫌悪感

確かに、人は嫌悪感を感じることによって、自分の身を守っています。しかし、嫌悪感を感じるのは食べ物に限った話ではありません。他の文化や人種、宗教、国などに対して嫌悪感を持っている人も多くいます。

中には、自分とは異なる文化的考えが自分に害をなすと捉える人もいます。このような人たちは、それらの考えが自分の信条や生活を脅かすと思っているのです。そして、このような嫌悪感が人種差別や外国人に対する恐怖などを生み出しています。他者を毒物だと思った時、人はその人を拒絶して、避けるようになります。

気分の悪い男性

嫌悪感に関する研究の第一人者であるポール・ロジンによると、嫌悪感とは人間に動物的本能を想起させる拒絶的出来事だといいます。

また嫌悪感とは従来、悪くなった食べ物を避けるために人間に備わっていた防衛機能であったものの、時間が経つにつれてそれが他の要素にまでも影響を及ぼすようになったとロジンらは指摘します。だからこそ、人間は自分の正義に反する人に嫌悪感を感じるのです。

さらに彼らによると、多くの人が人種差別や暴力に対して嫌悪感を抱くのは、社会的ルールの中で人々の尊厳を守ろうする防衛本能の表れだといいます。あなたはどのように考えますか?

参考文献:

Rozin, Paul and April Fallon. “A Perspective on Disgust.” Psychological Review. 1987. https://cpb-us-w2.wpmucdn.com/web.sas.upenn.edu/dist/7/206/files/2016/09/94DisgustPerspectivesPRev87-20oqhhu.pdf


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