キー・イン・ロック症候群:強い尿意を感じる理由

30 9月, 2020
強い尿意を感じすぐにトイレに行きたくなり、慌てたことはありませんか? そして、トイレを見ると、尿意が悪化することはありませんか? キー・イン・ロック症候群かもしれません。

今日は、人が経験があっても気づいていないであろう「キー・イン・ロック症候群」についてお話します。会議中や何かに集中している時、トイレに行きたいことに気づかなかった経験はありませんか? 会議が終わり、車に乗り、会議の内容を思い返します。音楽を聴き、会議について考え、家に着き駐車します。ここで現実に戻り、車から降り、家のカギを取り出します。この時初めて、膀胱が破裂するほどの強い尿意を感じるのです。

車から家までの180mほどの距離が長く感じます。落ち着き、速く歩くようにしますが、あまり効果はないようです。マンションの入り口で鍵を差し込み、非常に焦ります。エレベーターはまだ12階にあります。数分はかかるでしょう。エレベーターが来て、乗り込むと尿意は悪化します。自分の部屋の前まで着き、やっと楽園の門のカギを開きます。

まっすぐトイレに向かい、そして、目的は哀れに苦しんだ膀胱を空にすることひとつです。ここまでで良かったことと言えば、なんとか漏らさず間に合ったことです。

強い尿意 キー・イン・ロック症候群

トイレに近づくと尿意が強くなるのはなぜ?

消化管の運動においても同じことが起こります。トイレに行きたいけど近くにトイレがないということに気づくまでは、すべてがうまくいっているのです。待てば待つほど、緊急性が高まります。

全神経がこの身体的ニーズに集中するため、不安や緊張が高まります。このような時、公衆トイレを使ったことがないという潔癖症の人でさえ、トイレがきれいかそうでないか、非衛生的であるかに関わらずどんなトイレにでも駆け込みます。

最初に示した例や公衆トイレの例は、身体機能両方に当てはまります。では、トイレに近づくと緊急性が高まるように感じるのはなぜでしょう?体の中にある排泄物を排出したいと強く感じさせるのはどのようなメカニズムが働いているのでしょうか? 何が活発化させるのでしょう?詳しく見ていきましょう。

心と体は繋がっている

生理学的ニーズ、内臓機能(腸や膀胱)、脳、注意の矛先、環境、感情(不安、緊張、絶望)の深いつながりが、上で示した状況を作り出します。

家に帰ったらすることのリストを作ってみると、トイレが1番になるでしょう。これは当然あるいは考えるほどでもないと思うかもしれませんが、実は科学的に説明づけられます。詳しく言うと、この状態には、神経生理学的、生化学的、精神的、認知的解釈があります。

一般的に、心と体は別物であると考えられがちです。それは心身二元論やデカルト二元論といった死を拒む考えがあるためです。

神経科学の中の精神神経内分泌免疫学研究会(PNEI)により、人間は体と心からなっており、これらは別々に機能するものではないことが証明されました。トイレに行きたいという陳腐なことも科学的に説明できるのです。

強い尿意の解説

目的地への到着が近づくと、一連の生化学的変化が起こります。まず、体は膀胱や腸がいっぱいであることに気づき、警戒シグナルを出します。体の一部に対する新しい注意が尿意や便意を高めます。そして、注意が高まれば高まるほど、体はニーズを活発化します。

また、安全で落ち着ける家に近づくことでもニーズは高まります。漏らしてしまうのではないかという恐怖により生理学的メカニズムが働くのに加え、ストレスのかかる状況からアドレナリンやコルチゾールの放出が活発化します。また、お腹の筋肉やトイレというただひとつの焦点へ緊張やストレスが高められます。

この記事の最初でお話したように、緊急を要する強い尿意はキー・イン・ロック症候群とも呼ばれます。便意に関しても同様に呼ばれます。この症状は、膀胱や消化管と脳の繋がりを示すいい例です。長時間耐えることはできますが、膀胱は尿と家を結び付け、これによりコントロールが難しくなります。

その他の解釈

ドアを開けようとする時のカギの音というと、パブロフのベルを思い出します。この現象でみられる反応は、パブロフの実験と同じような条件反射です

現在有名な犬の実験を行ったロシアの心理学者イワン・パブロフをご存知の人もいるでしょう。彼はまず、犬にエサを与える時に、ベルを鳴らしました。その後、エサを与えずにベルを鳴らします。そこで、エサがなくても犬が唾液を出すようになることが分かったのです。

尿意や便意においても同じことが起こります。マドリード心理学研究所の所長であるHector Galvan氏によると、人はトイレと生理的ニーズを結び付け、身体的感覚により意識が活発化し、トイレに行くよう促されます。

キー・イン・ロック症候群に関わる環境要因

GheiとMalone-Leeは尿意を感じさせる環境要因を4つ認識しています。朝の目覚め、カギを差し込む、水道の水を出す、寒い日の4つです。また、彼らは、もう我慢できない状態と実際の失禁の緊急性も区別しています。さらに心配したり、疲れていることでも問題は悪化すると言います。

例えば、流れる水の音は誰かがトイレで排尿しているように聞こえます。自分が排尿する時に似た音を聞くと、脳は連想し、膀胱の筋肉(排尿筋)の収縮を高めます。

また、コロンビア国立大学の3名(Victor, O’Connell, and Blavias)は、この状況における条件反射の刺激になりうる環境要素を測るための予備研究を行いました。研究の結果は一部 Ghei and Maloneの研究と一致するものでした。第一位は朝の目覚め、第二位(88%)はトイレに行く時、第三位(76%)は膀胱がいっぱいの時、第四位(71%)は家のドアを開ける時でした。

トイレについて考えないこと

人は、膀胱に150~220ml貯まると尿意を感じます。また、膀胱がいっぱいの時、くしゃみや咳、笑いなどで漏れることがあります。それでも、コントロールすることができるため、すべて漏らすことはありません。

大切なのは、落ち着き、不安を解消し、トイレについて考えるのをやめ、気を紛らすことです。これにより膀胱をコントロールしやすくなります。しかし、尿意を頻繁に我慢しすぎると、臓器の障害につながる可能性があるため注意が必要です。

すべては頭の中で起こっていることです。脳が指揮官で現実を形成し、建築し、解体します。心、脳、感情、認知、体のシステムすべてが関わり、相乗効果を示します。